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第七話 魔王様、とんでもない記録を叩き出す

 骨格大公開はいまいちな反応だったから、質問タイムに入ることにした。


 すでに色々質問されちゃってるけど、本格的にね?


 ちょっと雑談配信みたいになっちゃってるけど、いいよね。


 可愛い推しモンちゃんたちは後でしっかり紹介するから、待っててみんな!



《魔王様はどうやってモンスターを手懐けているんですか?》



 お、早速それっぽい質問が来た。



「魔王じゃなくて、まおね。手懐けてるっていうか、まおのユニークスキルのおかげで仲良くなれるんだよね。【以心☆伝心】ってスキルなんだけど」


《可愛い》

《スキル名も可愛いか》

《初めて聞くユニークスキルだな》



「最初は【従属化】ってスキル名だったんだけど、可愛くなかったから変えちゃいました」


《wwwww》

《草》

《いや、変更前のほうが絶対良いでしょw》

《センスどこいった?》

《というか、スキル名って変えられるのか》

《普通は変えられませんよ、魔王様》


「え? そうなの?」



 普通に変えられたけど?



《魔王様はどのくらいの実績をお持ちなのですか?》


「だから魔王じゃなくて、まおだってば! 実績って、スカベンジャーの実績だよね? ええっと……渋谷ダンジョン20号は最下層までソロでクリアしたかな?」


《は?》

《すごw》

《さらっと爆弾発言》

《トモ:ほんとうなのか!?》

《渋谷20号って、超高ランクダンジョンじゃねぇかw》

《しかもソロてw》

《RTAガチ勢でも無理だぞそれ》

《ウソ乙》


「う、うそじゃないよ! その証拠に……ほら、【この指と~まれ♪】」



 指を掲げてスキル発動。


 すぐにダンジョンの奥から1匹の推しモンちゃんがやってきた。


 体の大きさは、ゆうにまおの5倍はあるかな。


 大きい体で筋肉マッチョ。


 だけどお顔は可愛い牛さん。つぶらな瞳がたまらない。


 う~ん、このアンバランスさが可愛いすぎるぅ!



《トモ:すご》

《やば》

《草草草》

《ウソだろ》

《ミノタウロスwww》

《うぎゃああああ!?》

《まてまてまてまて》

《渋谷20号のダンジョンボスじゃねぇか!!!!!》

《俺の古傷が・・・》

《俺のトラウマが・・・》

《いやいやいや、マジでソロで渋谷20号踏破したんかよwww》



 ああ、良かった。


 みんな信じてくれたみたい。



「みろろん、みなさんに挨拶して」

「ぶも~(おじぎ)」


《み・ろ・ろ・ん》

《やっぱりセンスない》

《wwwww》

《みろろん賢い》

《おれたちは何を見ているんだ》

《さすまお》

《トモ:さすまおだ》

《え、みろろんかわいい》

《かわいい・・・のか?》

《可愛い気がする》


「あっ、ですよね!? わかりますよね!? みろろんって、すごく大きな体をしているのに瞳はつぶらなんですよ! 最初にあったときも、手を出したら甘噛されて、仲良くなりたいってアピられちゃって。うふふふ」



 思い出すなぁ。


 ちょっと暴れたりしたけど、あれって恥ずかしかったからなんだよね。


 ふふっ、可愛い。



《あま・・・がみ?》

《それ、甘噛じゃなくて捕食しようとしてたんじゃね?》

《さすまお》

《てか早口だな》

《あずき:まお、大好きなモンスターの話になると早口になるのキモいから》

《↑やめなよ》

《さっきからチョイチョイいるあずきさんってもしかして、魔王様の参謀?》

《あずき:姉です。うちの幼女魔王をよろしくおねがいします》

《姉!?》

《魔王様にお姉様が!?》

《お姉さん!》

《姐さん!》


「ちょ、あずき姉!?」



 うちの幼女魔王って何!?


 まおは魔王じゃなくて、可愛い清楚系キャラで行きたいって口酸っぱく説明してるよね!?


 あずき姉の登場が引き金になったのか、リスナーさんたちの「まおたん」とか「まおちゃん」呼びは完全に消え去り「魔王様」一色になっていく。


 解せない。


 本当に解せない。


 なんで配信開始のときより、魔王の汚名が広がってるわけ?


 こうなったら……本気を出さざるを得ない!


 超絶可愛い無害キャラだってアピールしてやる!


 配信中に野良モンスちゃんを愛でるのは忌避してたけど……もう手段は選ばないもんね!


 モンスちゃんを可愛く愛でてる姿を見せて、絶対に魔王の汚名を晴らしてやるんだから!


 ダンジョン配信者……いや、プロとして──。



「あっ! ほら見てください! あそこに友達になりたそうなスライムがいますよ、みなさん!」



 早速、物陰からチラチラとこちらを見てるスライムちゃん発見!


 隠れてるつもりかもしれないけど、ぷにぷにの体がはみでちゃってますよ!


 えへへ、可愛いっ!



《スライムが友達?》

《全然友達になりたそうじゃないんだが》

《ミノタウロスにビビってるだけだと思うよ!》

《もしくは魔王様にビビってる》

《もしくは魔王様を消化したいと思ってる》

《幼女+魔王+異常性癖=最高》



 コメントうるさい!


 絶対スライムちゃんはまおと仲良くなりたいって思ってるんだから!


 ずんずんとスライムちゃんに近づき、がしっと掴む。



「えいっ」

「ぷぎっ!?」


《以心☆伝心が発動しました》



 ほらぁ、やっぱり友達になりたかったんじゃん。


 怖がってるなら、こんな簡単に心を開いてくれないよね?


 ていうか、相変わらず最高の手触りだなぁ。


 このぷにぷに感がたまらない!



「うふふ、今日もぷにぷにで可愛いですねぇ~」

「ぷぎっ♪」



 すりすりと体を擦り付けてくるスライムちゃん。



《冗談だろ》

《スライムがマジで従順になってるんだがw》

《草》

《何が起こってるんだ》

《ようじょがスライムと仲良くしている》



 ふふふ、これで少しはリスナーさんたちも理解してくれたよね。



「ぷぎっ♪ ぷぎっ♪」

「あはは、くすぐったいですよ~、もう、スライムちゃんってば」


《トモ:まおさん!? それ、捕食されかけていないか!?》

《ほらみた定期》

《幼女がスライムに》

《服、溶かされちゃう?》

《おらワクワクしてきたぞ》

《センシティブ認定ww》

《魔王様! BANされちゃう!》



「ちょ、ちょっと待って、スライムちゃん。少しヒリヒリするかな? あはは、やめて、やめ……ちょ、やめなさいっ!」

「ぶもぉおおおおっ!(怒)」



 まおの声に反応して、みろろんが巨大な拳を振り下ろす。


 その拳の下には、スライムちゃん。


 あっ、と思った瞬間──ブチュっと。


 静寂。


 沈黙。


 まおの手からだらりと垂れる、かつてはスライムちゃんだった()()



「……ええっと、ほ、ほら、みなさん見てください。ス、スライムちゃんと、こっ、こっ、こんなに仲良くなりました~」


《友達、垂れてるよ?》

《これには魔王様もニッコリ》

《サイコパス感ぱねぇw》

《あわあわする魔王様かわいい》

《トモ:まおさん大丈夫か!? 怪我はないか!?》


「だ、大丈夫です! たま~に激しくじゃれてくるモンスちゃんにびっくりして、推しモンちゃんたちが手を出しちゃうことがあるんですよね。あっはっは」


《主の危機に敏感な配下たちだね》

《優秀な部下で草》

《推しモンちゃん?》

《なにそれ?》


「ええと、まおが推してるモンスちゃんたちのことです!」



 口で説明するより実際に見てもらったほうがいいよね。


 よし、まおの推しモンちゃんたち、全員紹介しちゃおうかな。



「それっ! 【この指と~まれ♪】」



 今回はちょっとカッコつけちゃう。


 くるっと回って手を挙げ、人差し指を天井に向けてピンと伸ばす。


 ふふふ、まおのセンスに脱帽かな?



《ださ》

《魔法少女かよww》

《ダサかわいい助かる》

《草》



 なんでよ!?



《さっきも使ってたけど、そのスキル何?》


「このスキルはまおが【以心☆伝心】で仲良くなったモンスちゃんたちを呼びつけることができるスキルです! 元々は【従者召喚】ってクソダサな名前だったんですけど、まおのセンスで可愛くしました!」


《う~ん・・・0点!》

《赤点だな》


「なんで!?」



 どう考えても可愛いでしょ!?


 この指と~まれ♪ だよ?


 まおのセンスがわからないなんて、あずき姉と一緒で人として終わってるよ?



「あ、ほら見てください! まおの推しモンちゃんたちがやってきましたよ!」



 ダンジョンの奥からぞろぞろとまおの推しモンちゃんたちがやってくる。



「それじゃあ、まおの推しモンちゃんたちを紹介しますね。こっちがスライムの『ぼよよん』で、こっちがホワイトウルフの『ぶちたろー』……それで、こっちが歩きキノコの『えりんぎ』です」



 順番によしよししてあげると、みんな嬉しそうにじゃれてきたりお腹をみせてきたりしてくれた。


 うん、可愛いっ!



《草草》

《もしかしてセンスは売り切れですか?》

《センスの次回入荷はひと月後です》

《絶望的センスw》

《いや、むしろセンスの塊ともいえる》

《トモ:まおさんかわいい》

《あずき:うぎゃ~~~! やめろまお~~~~! ネーミングセンスゼロの恥部を晒すな! フォロワーが減るだろ! ばかやろう!》



 ばかやろうはそっちだよ!


 センス良すぎて増えるでしょ!


 だけど、コメント欄をみてたら、ほとんどが否定的な意見。


 はぁ。わかってないなぁ、この人たち。


 ……っていうか、だんだんコメントが流れるスピードが速くなってない? 


 あれ? 気のせい?



《すごいよ魔王様! 同接8万いってる!》


「…………は?」



 8万? 800の間違いじゃなく?



《おお、マジだ》

《やべぇwww》

《さすまお》

《トモ:まおさんかわいい》

《8万とか見たことねぇぞw》

《すごい! おめでとう!》


「あはは、またまたそんなこと言って。そんなわけないじゃん。冗談はやめてほしいんだけど……ってホンマやぁああぁ!?」


《www》

《お約束なやつな》

《突然のエセ関西弁やめい》



 ウソでしょ!?


 同接8万なんて、聞いたことないんだけど!


 どど、どうしようあずき姉!?



《あずき:まお、落ち着いてよく聞いて……なんと、ダンTVの同接ランキングで1位になってるぜ!》

《はぁ!?》

《はぁ!?》


「……はぁ!?」



 え? ちょっと待って!?


 同接ランキングって、リアルタイムで計測してるやつだよね?


 慌ててダンTVのホーム画面を見てみたけど、数十万人のスカベンジャーさんたちが日本中で配信している。


 トモ様が所属している超大手のBASTERDの人もやってるし、ダンジョンRTA配信してる超実力派の「セブンスレイン」の人たちもいる。


 その中で、まおがトップ……?



「あわわわ、あわわわああ……」


《魔王様?》

《白目剥いてますよ》

《魔王様、お気を確かに》

《トモ:まおさんかわいい》

《トモ様さっきからまおさんかわいいしか言ってないんだがwwww》



 どど、どうして?


 まだ何もしてないし、本格的にダンジョン散歩するのこれからなんですけど……。

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