第四十八話 魔王様、黒幕と対決する
「魔王軍のみんな、こんまお〜〜〜〜! 今日もはじまりました、プリティまおのダンジョンさんぽだよっ!」
《きた〜〜〜》
《こんまお〜〜〜!》
《こんまお!》
《魔王様、相変わらずかわいいなぁ》
《毎日配信助かる》
今日も凄い勢いでコメントが流れていく。
ん〜、この感じ……なんだか日常が戻ってきたって感じがするよね!
夏休みも後半戦に突入したんだけど、最近はコンスタントに配信ができてる。
というのも、関東の半分くらいのダンジョンで立ち入り禁止が解除されてるからなんだよねぇ。
まおたちクリーナーズ関東チームが清掃活動を頑張ってくれているおかげ!
先日の白金ダンジョン顔合わせ以降、まおもダンジョン清掃活動をやってる。
普通に探索するついでにだけどね。
午前中はみのりちゃんかちずるんと一緒に夏休みの宿題をやったりして、午後からダンジョン清掃活動を兼ねたダンジョン散歩って感じかな。
この前まで心配になっちゃうくらい配信者さんの数が減っていたんだけど、立入禁止が解除されてきているおかげか復活してきているのも良き。
いや、前以上に盛り上がってる雰囲気すらある。
だってまおのチャンネル登録者数も、220万人を突破したし。
220万人って、やばいよね……。
赤スパいっぱいくれるし、ありがたいの極み。
魔王軍のみんなには感謝してるし、少しはお返ししなくちゃだめだよね!?
──というわけで、今日は少し趣向を変えてバラエティ企画の配信をしたくって。
《あれ? 今日はダンジョンじゃないの?》
《屋内?》
《雑談配信か?》
「そうなんです! 今日はちょっと前にやった宝箱開封配信みたいな特別企画で、まおのお部屋であずき姉とオフコラボ配信なんです!」
「皆さんこんまお〜〜! 大魔王軍四天王にして大軍師のあずきです〜〜〜!」
《ガタッ!》
《うおおおおおおっ!》
《黒幕きたあああ!wwww》
《あずき姐だ!》
《お姉様!!》
《てか、ここって魔王様のお部屋なの!?》
《意外と綺麗なんだな》
《↑それなww》
《もっと汚部屋かとおもってた》
「綺麗なのは、映ってないところにゴミを追いやってるからなんですよ。あっちのほうは、ほら……このとおり」
「あ、こらっ!! 勝手にドローンちゃん動かしてまおの汚部屋を映すな!!」
そっちには脱ぎ捨てたパジャマとかあるし!
《魔王様のパジャマが!!!( ゜д゜)》
《魔法少女マニキュアパジャマwwww》
《いや、幼女かよ》
《かわええww》
《なんだか親近感湧いた》
《これだよこれ》
《何だろう、この安心感》
《さすまおだわ》
何がさすまおじゃ。
ていうか、コメント欄見て思ったけど、あずき姉ってば意外と人気あるんだな。
学校でも人気あるみたいだしなぁ。
まさか、みのりちゃんの時みたいなことは起きないよね?
ほら、まおの収益化記念配信なのに、みのりちゃんにばっかり赤スパが来て──。
《今日もふつくしいです!! あずき姉に ¥5000》
《あずき姉頑張れ ¥9000》
《あずき姉におひねり贈ります ¥12000》
「うひょ!? みんなありがとう!! ちなみに彼氏募集中です♪ 石油王のイケメンがいたら、よろしくおねがいしま〜す♪」
「やっぱりこの流れ!?」
そしてしれっと彼氏募集すな!
赤スパはありがたいんだけどね!
《というか、今日は本当にあずき姉とコラボなの!?》
《楽しみだけど、どうした突然?》
「ほら、この前、白金ダンジョンでわからせバトルしたでしょ? もし観てなかったらダンジョンさんぽのアーカイブ確認してほしいんだけど」
《わからせバトルww》
《一応、切り抜きもあるで→URL(魔王様、白金10号わからせRTAで出現したウルツァイタイマイを素手で倒す)》
《素手www》
《タイトル草なんだが》
《わからせバトルって、喜屋武ちゃんのやつか》
「そうそう! それで、もうひとりわからせバトルしなきゃいけない相手がいるなって思い出したんだよね」
《・・・ああ》
《なるほど》
《把握》
《諸悪の根源だしなwww》
「そうそう。それそれ」
ほら、あずき姉って、魔王の悪名を広げた張本人だったじゃん?
色々あって有耶無耶になってたけど、しっかりお灸をすえておかなきゃだよね!?
《でも、どんな種目でわからせバトルするん?》
《今からダンジョン行ってタイマン?》
《いや無理だろwww》
「まお的には、それでもいいんだけど」
「いやいや! いきなり打ち合わせと違うこと言い始めるのやめて!?」
あずき姉の顔が、サッと青ざめる。
おもろ。
《www》
《あずき姉、ガチで嫌そうww》
《魔王様にタイマン勝負挑むのって喜屋武ちゃんくらいだし》
《リセット確実だからな・・・》
「その通り! 負け確定の勝負なんて、この大軍師様がやるわけないでしょ!」
配信のコメントを見ながら、あずき姉が続ける。
「相手の得意とするフィールドで勝負するわけにはいかないからね! だから、今回は良い勝負が出来そうな場を用意したってわけよ! じゃじゃん!」
あずき姉がドローンちゃんのカメラに向かって掲げたのは、小さいコントローラー。
そう……現代人であれば誰でも知っている超人気ゲーム機「Nindontei Swotches」だ。
「てなわけで、どっちが上なのかゲームでまおをわからせてやるぜ!」
「いや、わからせられるのは、あずき姉のほうだからね!?」
そこ、間違ってもらっちゃ困るよ?
《おおおおお!》
《ゲーム対戦だと!?》
《魔王様がゲーム!?》
《大丈夫なのか?》
《不安しか無いwww》
ちょ、なんで不安!?
勝利は確実だから、安心のニッコリでしょ!?
「言っとくけど、まおってゲーム得意なんだからね!? 三目並べで負けたこと、あんまりないし!!」
《へぇ〜》
《え?》
《は?》
《( ゜д゜)??》
《いや、久しぶりのドヤ顔は助かるけど・・・》
《三目並べって、マルバツゲームのことだよね?》
《だね》
《あれって、手順間違えなければ負けることないよな?》
《せやな》
《うん》
《むしろ負けるほうが難しい》
《多少なりとも頭使うし、負けたことないのは魔王様にしてはすごいのでは?》
《いや「負けたことがない」じゃなくて「あんまり負けたことない」だぞ? つまりたまに負けてる》
《あ》
《wwwww》
《た・し・か・にwwwww》
《さすまおwww》
《これはさすまおだわ》
《流石は大軍師あずき姐だな! 巧みな言葉で魔王様を不利な場所へ引きずり出したってわけだ!》
《流石大軍師あずき姐》
《さだあね》
《さだあねwww》
《もしかして魔王様ってば、超絶不利な勝負挑まれてるって気づいてない?》
《……あっ(察し)》
「あっ、こら! しーっ! しずかにっ!」
「……?」
何を焦ってるんだろ?
よくわからないけど、あずき姉や魔王軍のみんなは、まおが負けるって思っているっぽいな。
神様はひとりの人間にいくつもの才能を与えないって言いたいんだろうな。
だけど、何事にも例外がいるって知らないみたい。
何を隠そう、その例外が、このまおたんなのだっ!
ふっふっふ、言いたければ言ってればいいんだ。
言葉より結果で魅せるのがまお流……。
この後、全世界のまおファンが気づくはず。
まおが隠しもっている、ゲーム力のすさまじさを!
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