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第三十八話 魔王様、最強チームを結成する

 不穏な空気の中始まった、合同探索──という名のダンジョンゴミ拾い活動。


 八十神さんの説明も終わって各々が探索準備を始めてるんだけど、なんていうか……待機フロアの空気がすんごく重い。


 喜屋武ちゃんの件でげんなりしちゃったけど、他のメンバーさんもなんだかピリピリしちゃってる。



「……どうやら私たちは歓迎されていないのかもしれないな」



 そう声をかけてきたのはトモ様だ。



「先ほど八十神さんから古参のメンバーたちを紹介してくれたんだが、あからさまに敵愾心を向けられてしまった」

「え? どうしてですか?」

「ここにいるメンバーは実力はあるが事務所には入っていないスカベンジャーが多いからな。私や四野見さんみたいな人間を嫌っているのかもしれない」

「ええっ!?」



 な、何それ?


 ただの僻みじゃん!


 だって「実力は自分のほうが上のはずなのに、なんでお前が人気者になってるんだ」って思ってるってことでしょ?



「ひ、ひどいですね……」

「まぁ、そういうやっかみを向けられるのは慣れているから大丈夫なんだが、探索に支障が出るのは少々困るな」



 確かにそうだよね。


 誰がホウキを持って、誰がチリトリを持つかで揉めちゃいそう。


 それどころか、「なんでお前がチリトリもってんだ!」って、いきなり後ろから襲われそうだもん。


 喜屋武ちゃんは別の理由で襲ってきそうだけど。


 だけど、と周囲を見渡して思う。


 待機フロアを見る限り、古参メンバーとの間だけじゃなく、新人メンバー同士にもなんだか壁があるように思える。


 まおとトモ様、四野見さんのグループ……は良いとして、セブンスレインの刈谷さんと、メリッサさんのグループは誰とも喋ってない。


 白鯨のふたりは七本指の3人と仲良くしているみたいだけど、他のメンバーさんたちには近づこうとしていない。


 明らかな壁だよね、これ。


 なんだかイヤだなぁ。


 ボランティア活動なんだし、もっとこう、和気あいあいとやったほうが楽しいと思うんだけどな。



「う〜ん。ちょっと空気が悪いですわねぇ」



 まおと同じ空気を感じたのか、八十神さんがぼそっとそんなことを言った。



「顔合わせの合同探索なんですし、もっと明るい雰囲気でやりたいのですが……」



 そうして八十神さんはしばし考え、ぱちんと手を叩く。



「そうだ、ゲームをしましょう!」

「……え? ゲーム?」



 つい反応してしまった。


 八十神さんはにこやかに続ける。



「ええ。楽しい競争ゲームですわ。誰が一番にこのダンジョンを最速でクリアできるか競争です」

「……え?」



 最速クリア? 


 つまり、ダンジョンRTAってこと?


 八十神さんの思いつきに、待機フロアのメンバーたちも次第にざわつき出す。



「報酬はそうですねぇ……ダンジョンボスを最初に倒した方を、クリーナーズ関東チームのリーダーに任命いたしましょう」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、八十神さん!」



 流石に異議ありだったのか、ひとりのスカベンジャーさんが物言いにやってきた。


 確か白鯨に所属してる山川さん……だったっけ。



「一体どういうことですか? あんな乳離れもしてなさそうな子供がリーダーになる可能性もあるってことですよね?」



 ちらり、とまおを見る山川さん。


 おい、こっちみんな。


 てか、誰が乳離れしてないじゃ。


 こちとら16歳の立派なJKだぞ。


 大失言をぶっ放した山川さんに向けて呪殺怨念をビシバシ放っているまおをよそに、八十神さんがにこやかに続ける。



「ええ、もちろんですわ。この場にいる全ての方に可能性があります」

「古参メンバー全員、納得していないですよ?」

「メンバー全員? 納得していないのはあなたでは?」

「……っ!?」

「それに、あなたが最初にボスを倒してしまえば何も問題ないでしょう? わたくしが選出したのは、ソロでダンジョン探索をしていらっしゃる実力派の方たちばかり。口よりも実力で周囲を納得させてみてはどうでしょう?」

「ブラボー! おお、ブラボー!」



 完璧な論破に、思わず拍手しちゃった!


 八十神さん、良いこと言うね!


 だけど、山川さんは納得していないらしく、険しい顔で続ける。



「し、しかし、八十神さん! 物事には順序というものが──」

「山川さん、引き際を見誤ると、あなたの品位が疑われますわよ?」



 八十神さんの空気が、ピリッと張り詰める。



「クリーナーズの代表がどなたかご存知で?」

「そ、そりゃあ、八十神さんですけど」

「では、()()()()()()()()()()()

「……っ!?」



 突然、山川さんがピシッと姿勢を正す。



「さぁ、白鯨のみなさんの傍にお戻りを」

「……わかりました」



 白鯨のメンバーのところへ帰っていく山川さん。


 その異様な光景に、待機フロアにいた全員が唖然としている様子。


 まおも目が点になっちゃった。



「い、今のって、何が起きたんですかね……?」

「多分、八十神さんのスキルだね」



 そう返してくれたのは、四野見さん。


 スキル?


 ……ああ、そっか。


 八十神さんもダンジョンに入ってるわけだし、ユニークスキルを持ってて当たり前か。


 ていうか、待機フロアでもスキルって使えたんだね。


 ふむ、とトモ様が四野見さんに尋ねる。



「八十神さんのスキルについて知ってるのですか?」

「いや。どんな能力かまではわからない。けど、かなり凶悪そうだ」



 四野見さんは苦笑い。


 あんなに食らいついてた山川さんがあっさり従ってたし、相当ヤバいスキルだよね……。こわ。


 あんな凶悪なスキルを与えるなんて、ダンジョンの神様もちょっと考えたほうがいいんじゃないかな?



「しかし、RTAとはな」



 トモ様は、どこか嬉しそうな顔。



「これはスカベンジャーの血が騒ぐな、まおたん?」

「うえっ?」



 突然同意を求められて変な声が出ちゃった。



「……ご、ごめんなさいトモ様。まお、リーダーにはあまり興味がないかも」

「え? そうなのか?」

「僕もそういうのにはあまり惹かれないなぁ」

「四野見さんはどうでもいいです」

「そ、そんなぁ……」



 トモ様にツッコまれ、泣きそうになるイケメン四野見さん。


 四野見さん、やっぱりいじられキャラだ。



「あ、そうだ! 良いこと思いつきました! まおたちチームでやりません?」

「チーム?」


 

 首をひねるトモ様。



「はい。まおとトモ様、四野見さんの3人で協力して最速クリアを目指すんですよ」

「なるほど。それは楽しそうだね」



 四野見さんは乗り気みたい。



「トモ様、どうですかね??」

「もちろん私もかまわないが、報酬は誰がもらうんだ?」

「そりゃあ、トモ様ですよ」

「……え? 私?」

「だって、まおと四野見さん、リーダーになんて興味ないですし」



 それに、トモ様が関東チームのリーダーになったら、まおも頑張ってゴミ拾いできそうだし!!


 まおがリーダーになっても誰もついてこないよ、絶対。うんうん。


 ていうか、トモ様と四野見さんと3人でダンジョン探索なんて、すごく楽しそうだよね。


 だってこの前のコラボ、めちゃくちゃ楽しかったもん。


 これから配信もするし、きっと魔王軍の皆も大盛り上がりの予感!!!

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