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第32話

本当に遅れて申し訳ありませんでした。スターレイルが楽しかったんです。

オフ会から2週間経った月曜日。

放課後の部室。文化祭の時に比べて夜はエアコンなしでも過ごしやすくなったのだが昼はまだむせかえるような暑さだ。もう何日かしたら10月だというのにこの暑さとは気が滅入る。年々季節がずれていっているのは気のせいだろうか。そんなことを考えながら早30分。終礼が終わってからかなり時間が経つというのに俺以外部活に来ていない。おかしいな。今日は休みか?とも思ったが我が万部には休みなど存在せず学校がある日は毎日部室に来いとあの八潮先生に言われている。しっかり毎日来ているのだからエアコンくらい設置してくれてもいいのではないだろうか。それにしても本当に遅いな。職員室に行って聞いてみるか。そう思い席を立ち上がると部室のドアが開き3人と八潮先生が続々と入ってきた。


「遅かったですね」

「悪い悪い。少し大事な話をな。とりあえず全員座れ」


全員が着席すると八潮先生が話を切り出した。


「単刀直入に言う。万部はしばらくの間停部になる」


突然のことに理解が追いつかない。万部が廃部?意味がわからない。俺たちは今まで何も問題は起こしてこなかったはずだ。いや、厳密にいえば一つ起こしたがあれは万部ではなく俺個人だったはずだ。それでも万部として依頼はこなしていた。俺の謹慎ならわかるが停部というのは重すぎる。


「ちょっと待ってください。それはあまりにも重過ぎます。あれは俺一人がやったことでこの3人は関係ないんですよ」

「何勝手に話し進めてんだ、お前は勘違いをしている。あの件は私が容認したはずだ。それにあの後職員会議で説明もして不問になった。PTAからも苦情がきたが元々の状況を伝えたら収めてくれたよ。理由は別にある。・・・すまない私の力不足だ」

「どういうことですか」

「文字通りだ。私の力不足でこの部は停部になる。最終的には廃部になるが今はなんとか抑えている状態だ。やはり私の独断で作った部というのは受け入れられないと他の先生からも言われてな」

「それなら・・・仕方ないですね」


取り繕ってはいるが本音ではやはり続けたい。この部が好きだ。部室の過ごしにくさもこの部ができた理由も含めてこの部が好きだ。でも俺たちの力じゃどうにもできないことがあるのはわかっている。だからこそこんなにきっぱり諦めがつくのだ、


「本当にいいんだな?このまま終わっても」

「先生でもダメなら仕方ないですよ。名残惜しいっていうのはありますけどね」

「・・・わかった。今日はもう帰っていいぞ。書類とかはこっちでなんとかしておく」


先生に礼を言い4人で下駄箱に向かう。道中誰も一言も発しなかったのがどこか不気味で嫌な予感を漂わせていた。

今日は珍しく河川敷から帰ることにした。陽が傾いて各々の顔を明るく照らす。だが3人の顔は暗いままだ。


「万部がなくなってもこのままの関係でいようぜ!俺たちの関係はもう部員ってだけじゃないだろ?」

「ええそうね」


無理に明るくしてみたが慣れないことすべきじゃないな。恥ずかしくなってきた。それにしても君達落ち込みすぎじゃないか?なんて声をかけるべきか迷っていると後ろから悠人が走り寄ってきた。


「蓮くーーん!!珍しいね今日は河川敷からなんだ!」

「たまにはな」

「ところで万部廃部になっちゃったね」


なんでこいつがそのこと知ってんだ。多分八潮先生が話したんだろう。確か描き忘れてた日誌を提出するまで残ってなきゃいけないとか話してたな。


「蓮君せっかく気に入ってたのにね。ところで廃部の理由知ってるんだけど知りたい?」

「いや知ってるからいいよ。八潮先生が他の先生達の反感買ったからだろ」

「何言ってんの?前前違うよ。本当はね・・・」

「ダメ!!」


突然花奏が大きな声を出して話を遮ってきた。


「その話はだめです。この場で話さないでください」

「なんでよー。折角みんないるんだから話しとくべきだって!」

「お前ら何か隠してるのか?」

「それは・・・」


花奏が言葉に詰まる。別に隠し事をするのは仲間じゃないとか言うつもりはない。隠し事自体は別にいい。誰だって人に隠したいことの一つや二つあるはずだからな。だがそれが俺に関係があるとしたら別だ。特に今回は事が事だ。


「関係ないわけじゃない。けどこの話は彼にすべきじゃないわ」

「僕はそうは思わないかな。ほぼ彼から始まった事だし」

「ちょっと待てお前らなんの話してんだ?」

「蓮君はこの話聞きたい?」

「・・・俺に関係があるなら」


優香が俺の手を引き逃げようとするがその手を振り払い悠人が話だすのを聞いていた。優香の手を俺が意思を持って離すのはこれが初めてだった。


「じゃあ話すね。まず桶川さんって覚えてる?」


桶川さんとは修学旅行で悠人への告白を依頼してきた女子のことだ。


「その桶川さんがね昨日自殺を図ったんだ」

「・・・それに俺がどう関係するんだ?」

「驚かないのかい?」

「驚いたに決まってんだろ。でもその件と俺との繋がりがない」


桶川さんとなんて修学旅行の時以来一言も話していないほどに関係性がない。それ故になぜこの話を俺に隠していたのかわからない。


「いやあるよ。君にはこう言えば十分かな。昨日は桶川さんの誕生日でそれと同時に振られた日でもあるんだ」

「・・・なんでそんなことを・・・」

「仕方ないだろ?僕は取引のために付き合ったんだから。そこに本当の愛なんてなかった。だから自業自得じゃないかな。そもそも彼女は僕に恋心なんて抱かなきゃよかった、君たちに相談しなければよかった。それに僕に告白してきた子がどんな振り方されてるか知ってたはずだろ?だったらそれはもう自業自得としか言いようがないよ」

「お前・・・何言ってんだ。人のせいにするなよ。お前が桶川さんの心をズタズタに引き裂いたんだ」

「そうだよ。それが彼女も君も知ってた結末だからね」

「何が言いたい」


悠人は俺の肩に手を置き


「この結末を分かっててなお止めることもせず流れに任せて事を解決し自分の居場所を守ることに走った君の責任でもあるんじゃないかな?つまり君も人のせいにするなよってこと」


違う、違う・・・違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!


「ちが・・・う・・・」

「何が違うんだい?君が万部を捨てる覚悟が出来ていれば、君が僕との取引を断っていればもしかしたら彼女は死にかけることはなかったはずなのに」

「あの時は仕方なかったんだ!万部としてやっていかなければいけなかった。でもそれには実績が必要でその実績がないとあの後にはもう終わってたんだ。だから桶川さんの依頼を受ける必要があった!取引を受け入れる必要があった!でも桶川さんをそこまで追い込んだのは結果的にお前だろ!」

「そうさ君が始めなければ起こらなかった出来事なのさ。そもそも君が楽しんでいいはずがないだろ?前に君が言ったことは嘘だったのかい?」


嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ。俺が・・・俺が桶川さんの命を奪いかけたのか・・・?

今回からまた雰囲気がガラッと変わりましたがいかがでしたでしょうか?しばらく重く苦しい話が流れますがそれを乗り越えた先にあるのは読んでてよかったという感動があるはずです!ではまた次回!

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