第30話
後書きに補足あります
月曜日昼前池袋駅。
普通の平日だと言うのにそこそこの混み具合を見せる池袋駅で俺は待ち合わせをしていた。
そもそもなぜ平日の真っ昼間から池袋にいるのか。さっきから通りがかる人の視線が痛い。昨日が文化祭で今日明日の月曜日、火曜日が振替休日で休みなのだ。そして目的はゲームのフレンドとのオフ会だ。
待つこと20分。集合時間をとっくに過ぎ連絡は「もうすぐ着く!」が3回きているだけで全く進展はない。
仕方ないのでコンビニに行って飲み物を買いに行き戻ってくるなり話しかけられた。
「あの、蓮君ですか?私虹保留なんですけど・・・」
どうやらようやく来たみたいだ。
彼女は香澄さん。かれこれ2年くらいほぼ毎日ランクを回してる一番親しいフレンドで年齢は確か24歳。初めて会うためどんな化け物が来るかと思えば杞憂だったみたいだ。メガネと女性らしいファッションでパッと見は清楚って感じがするが俺はこの人の本性を知っている。そのギャップがなんともいえずなんとも言えず・・・なんとも・・・まあいいや。社会人ともあろうのに遅刻とは。暑い中待たされたのだ。少しやり返してやろう。
「はいそうです!あなたは0tiンポギンギン丸さんですね!」
「ちょ!その名前で呼ばないで!!」
そう。彼女のSNSの名前は虹保留だがゲーム内IDは0tiンポギンギン丸という小学生がノリでつけるような名前なのだ。ちゃんとセンシティブに引っかからないように0tiで直接的な表現を避けてるところがなんとも小賢しい。お酒が入ったノリで付けたらしくめちゃめちゃ後悔してるようだ。
「ごめんて!実はかなり早く着いちゃってさ、パチンコ打ちに行ってたんだけどラッシュが終わんなくてながびいちゃったんだよ!好きなもの奢ってあげるから許して!」
「じゃあラーメンで」
近くのラーメン屋を調べて歩き出した。階段を登り駅を出ると見慣れた池袋の景色が目の前に広がる。
大きな横断歩道や左を向けば家電量販店やとんでもなく高い謎の白い塔の先端が見える。休日に比べて人が少ないせいか横断歩道が前に来た時より広く見える。自販機を投げるバーテン服の男や黄色のバンダナを身につけた集団、全身真っ黒なライダースーツに身を包み馬の鳴き声のするバイクに乗った女のいない平和な池袋だ。以前このアニメの聖地巡りをした時は人混みに潰されながら行ったせいで異常に疲れたのを思い出す。
そんなことを考えながら香澄さんに前から思っていた疑問をぶつけてみた。
「香澄さん今日平日ですけど仕事どうしたんですか?」
「ん?ああ仕事はね有給使って休んだ!今年の有給使ってなかったしどうせ後で使えって言われるからこういう機会に使わないとね」
そういえば「暇になるとゲームに課金するかパチンコ打っちゃう!!」って言ってたな。
「蓮君こそ今日学校どうしたんだよ?もしかしてサボりー?」
「そんな期待しても無駄ですよ。昨日一昨日と文化祭があって今日明日はその振替休日です」
「文化祭!懐かしいなぁ。私が高校の時はねバンドやってたからステージで弾いてたなぁ」
「ギターですか?」
「ううんベース。かっこいいでしょ!」
すごいな。でもバンドやってたなんて話今まで聞いたことなかったな。
そんな話をしていると目的のラーメン屋に着いた。
お互い同じものを注文し席に着く。それから間も無くしてラーメンが来ると丼から豚骨のいい香りが鼻をくすぐる、ああ、豚骨スープの風呂に浸かりたい。香澄さんをみるとメガネが曇ってよく見えてないようで手探りでコップを探していた。
二人共無心で麺を啜り完食したが店内に我々しかお客さんがいなかったため少し雑談することにした。
「そういえば最近はゲーム以外だと何してるの?ここ半年くらいオンライン率が下がってたから」
「ここ半年は・・・部活の奴らと買い物行ったり依頼こなしたりしてましたね」
「依頼?」
そりゃそうだ。万部なんてまず普通の学校にあるわけがない。さらにあの部活は八潮先生の独断で作ったわけだからな。万部の事を端的に話した。
「面白い部活だねぇ。部活の子とも仲良いみたいだし、お姉さんは君がネットの住人だと信じてたのに悲しいよ!」
「将来有望かどうかは知らないけど高校生にそんなこと思ってたんすか・・・」
「だって前まで夕方から朝方までずっとオンラインだったからてっきり友達のいない陰キャ君だと思ってた!」
「いやまぁ間違ってはないですけど・・・」
そんな嬉々として言われるとなかなかクるものがある。
「それはそれとして女の子との甘酸っぱい話とかないの?」
「あることにはありますけど甘酢っぱいってかなんというか・・・」
「まあまあいいから話してみてよ。何か役に立てるかもよ」
「じゃあまあ。昨日告白されたんです、例の部活の女子に。そこで俺は気づいたんです自分には他に好きな人がいるって。でも俺はその恋愛で部活の関係を壊したくないんです。できることなら卒業後も4人で関わりたいと思ってるくらいに今の関係が居心地が良くて好きなんです」
久しぶりに自分の望みを口に出した気がする。やはり2年もほぼ毎日ゲームをしている仲だ。話やすさあ段違いな感じがする。
「そっかそっか。でもそう言う関係になってみたくないの?」
「まあ男子高校生ですしなってみたい気持ちは山々ですけど関係が・・・」
「なるほど。君は言い訳をしているね」
「言い訳?」
「言い訳して言い訳?なんちって!でも君は言い訳をしている。部活の関係が好きっていうのは本心だろうけど確かに君とその部員の一人が恋人になったら関係は変わるっていうのを分かってて君は自分に言い訳してる。結局は君が決めることだからお姉さんはとやかく言うつもりはないけど一つ知っておいてほしい。関係というのは水みたいなものでそれはどんな形にもなるしどんな色にもなる。その関係を掬い取ってもてからこぼれ落ちてしまうし蒸発して無くなってしまう。けれどオアシスになって恵みをもたらすこともある。だから関係が壊れるのを警戒するのは正しい。けど進む選択肢を最初から捨てると幸せになれないよ。お姉さんからの助言!」
そう言って微笑み俺にデコピンをかましてくるが香澄さんの話は一理あるかもしれない。俺が警戒してるのは新たな要素を持ち込んで悪い方向に進んでしまう結果で、今まではそれしか見えていなかった。でも新たな要素を入れて100%壊れるかと言われたらそうではない。きっといい方向に進む結果もあるだろうが今ここで決心することはできない。けれど凝り固まった考えをほぐしてもらえて気が軽くなった気がする。
「まさか香澄さんとこんな話ができると思ってませんでした」
「私のことなんだと思ってたの!?」
「だって香澄さんお酒入るとプレイには影響しませんけど支離滅裂な変なこと口走るじゃないですか。yuiさんも言ってましたよ。『報告以外話が通じてない』って」
「その、はい。以後気をつけます・・・」
萎縮している香澄さんはいつもと違う感じでオフ会のいいところが出たな。
「香澄さんの話も聞きたいです。バンドの話とか」
「それはまた今度話すよ。それにほら」
指を刺した先には食券を買うために列に並ぶスーツ姿のサラリーマンがいた。店を出て駅の方向へ歩き出す。
「この後何しよっか?」
「なんでもいいですよ。でも池袋で遊ぶって言ってもあんまないですよね」
「そうなんだよ〜。!!そうだ蓮君は門限とかある?」
「高校生が補導されない時間に帰れればいいです」
「じゃあさ秋葉原いこ!」
どうも。実は今回以降の話を考えてなかったので結構苦労しました。
で、補足です。まず呼び方の件ですが蓮は親に呼ばれたり優香に呼ばれたりしてバレました。香澄は自己紹介の時に「かすみでいいよ!」と言ったためお互い名前バレしました。
香澄ですがパチンコ好き、お酒好き(ある程度の量が入ると暴走する)、タバコは吸わないみたいな人です。
で、この人意外と優秀です。成績優秀、容姿端麗の一応結構な完璧さんなんですが大学で狂いました。でも社会人になって再びそれが戻りました。いつかこの部分出すかも
以上が思い出せる限りの補足です。
さーーーーーーーーて次のイベント考えないとなーーーーーーーーーー!!!!!ネタ切れだよちくしょう;;




