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第27話

優香と校内を歩いていると八潮先生に話しかけられた。


「川口お前深谷について何か知らないか?」

「まあ知ってます」

「深谷が屋上で黄昏てるからどうにかしてこい。問題にしないでおいてやるから」


問題になったところで俺にダメージが一切ないんだがなぜか俺は脅されている。だが仕方ない。盗み聞きしてしまった罪滅ぼしとして話だけでも聞いてやろう。というか八潮先生に逆らいたくない。怖いから。

ひとまずたまたま側を通った花奏に優香を預け屋上へ向かう。

屋上へ向かう階段の前に置かれている机をくぐりなんとか屋上へ辿り着く。

ドアを開けると柵にもたれながら遠くを見つめる深谷が目に入った。


「俺屋上入ったの初めてだわ」

「俺もだよ。何か用?川口君」


深谷の隣まで行き、先生から貰った缶ジュースを一つ渡し俺は段差に腰掛けた。


「八潮先生が話を聞いてやれって言うもんでな」

「そっか。それなら納得だね」

「なんでもいいから話てみろよ。一緒にクラスの出し物作った仲だろ」

「それもそうだね」


そう言うと彼はゆっくりと話し始めた。


「彼女を意識し始めたのは入学式の日なんだ。一応この学校って私立だからほとんどの人は初対面で話しかけづらいはずなのに彼女は誰にでも分け隔てなく接しててその姿に一目惚れしたんだ。その頃の俺って実は人と話すのあんま得意じゃなくてさ、それから俺は彼女にふさわしい人間になるために色々努力したんだ。人と話す練習もしたし中の下くらいの成績も彼女に近づけるよう必死で勉強して今じゃずっと上位5位から外れたこともない。だから今告白しようと思ったんだ。でも結果は見ての通りだけどね」


確かに言われてみれば彼が陽キャとして受け入れられ始めたのは去年の終わりくらいからだった。まさかこの世に本当に努力で陽キャになる人間がいるとは思ってもなかった。


「お前すごいな。とてもじゃないけど俺には出来ねぇわ」

「でも成績を上げる理由としては不純極まりないよね」

「それでもその努力ができる人間はそういないぞ」

「君はいいやつだな川口君。君みたいな人間もそういないよ。それに比べて俺は酷い人間だよ」

「何言ってんだ?」

「君も少なからず感じていただろ?違和感。なんで君と話した事もない俺が君に助け舟をだしたと思う?」


やはりか。何か裏があると思っていたがまさか本当にあったとは。


「でも俺はお前を酷い人間とは思わないぞ。少なくとも俺はお前に救われた。でも相当大きな賭けだったんじゃ?」

「そうだね。最初はかなり迷ったよ。彼女に意識させる絶好のチャンスだけど文化祭を失敗させるわけにもいかない。なんせ夏休み前からこのタイミングで告白するって決めてたからね。でも彼女の君への熱い信頼を見て決断したよ。それにシンプルに君が心配だったし姉ちゃんの事もあったし今は後悔してないよ」

「ここで礼を言っとくわ。ありがとう。助かった。お前がいなかったら今もあのままだった。本当にありがとう」

「いいよ俺こそクラスを代表して言わせてくれ。ありがとう。これ打ち上げの時に言うべきだったかな」

「行かないのに?」

「彼女に首根っこ掴んででも連れてきてもらうよ」


ひとしきり笑い合う。下から聞こえる文化祭の音が場を和ませ俺達の間にあった心の壁を壊してくれた気がした。


「なぁ川口君。蓮って呼んでもいいかな?」

「いいよ。じゃ俺も遥希って呼ぶわ」


文化祭の魔法はこんなところにも及んでいたらしい。やはり高校生にとって文化祭は偉大だ。


「それにしても蓮が羨ましいよ。未央に好かれてて」

「そうか?そもそもあの扱い方好きというより飼われてる気がするんだが」

「それはあれだよ。小学生が好きな子をいじめたくなるのと同じだよ」


まあ仲間として認識はされてるみたいだが好かれてると言われてもあまりピンと来ない。


「本当は俺が彼女を支えてあげたかったけどそれはどうやら俺じゃなかったみたいだから君が支えてやってくれ」


遥希はそう言って屋上を出た。

俺はスマホを取り出し珍しい屋上の景色を記録しておこうとシャッターを切ろうとし間違えて内カメにしてしまった。改めて自分の顔を見てみる。とてもじゃないが遥希とは比べ物にならない顔をしている。まさかこんな俺が未央に好かれてるなんてことありはしないだろう。嫌な再確認したな。せっかくなので自撮りをして階段を降りた。


教室に戻ると片付けが始まっていた。少しずつ教室の装飾が外されていく様は去年は無かった寂しさを感じる。そしてここでも再び違和感を感じた。未央と遥希が普段通り話しながら片付けをしているのだ。こういうのって普通気まずくて疎遠になっていくものじゃないだろうか。やはり彼らには普通の人間には真似できない特別なものを持っているらしいな。


1時間ほどすると後夜祭が始まった。後夜祭と言っても体育館に集まり実行委員によるちょっとした出し物を1時間するだけの小さなものだがクラスのほとんどが行ってしまい教室では俺と未央が残って最後の段ボールの解体をしていた。ちょうど周りに人もいないし違和感について未央に聞いてみることにした。


「なぁ未央。告白して振ったor振られた後ってギクシャクするもんじゃないの?」

「あれわからないのよね私。特にお互いにとって悪いことをしたわけじゃないのにどうしてギクシャクするのかしら。今まであった枷が無くなってより友達として仲が深まるものじゃないの?」

「いやそういうのじゃないだろ。あとまず男女の友情は成立しない」

「じゃあ私達の仲って何かしら?」

「確かに」


言われてみればこの仲はなんと言えばいいのだろう。まず男女の友情は成立しないから友達はない。そして恋人もない。知り合いもどこかそれだと距離がある感じがする。考えれば考えるほどわからなくなってきてしまった。


「それはいいとして少なくとも俺はお前らみたいな接し方は無理だな。考えるだけでそもそも振られるのが怖すぎる」

「なら試してみる?」


そう言って未央は俺の元に来て俺を押し倒した。

さぁさぁ文化祭編も終盤に差し掛かりましたね。ちなみに文化祭後は何も考えてないです。オワタ

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