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第22話

ねみい

『こんにちは文化祭実行委員の皆さん。俺は万部の川口蓮です。まずこちらの映像をご覧ください』

始まったのは蓮が誰もいない視聴覚室で実行委員会で使っているパソコンを触っている映像だった。


『俺は昨日全てのパソコンからデータをコピーしこのUSBに詰めて全てのパソコンから文化祭関連の情報を全て削除しました。試しに見てみてください』


そう言ってUSBを取り出しカメラに向かって見せてくる。

最初に流れた映像で蓮がパソコンに挿していた物と同じだ。

誰かが確認するとやはり全ての進捗が消えていたらしい。


『文化祭まであと3週間。実行委員の仕事の期限は2週間。この期間にクラスの予算やステージの順番、保護者や来賓の案内用の装飾、etc...をやらなければいけません。ですが本当なら3週間×30人でやるはずの作業でした。それをこの1週間委員長や委員3人と俺達万部である程度やってきましたがどう足掻いても無理です。今回のスローガンは「一致団結!楽しい文化祭!」なのにね。でも30人でやれば確実に終わる量の仕事です。この今まで関係ない俺達や委員長が体調を崩してまでやってきた進捗さえあれば』


今まで来てなかった人達は先輩が休んでいたことは知っていたがなぜ体調を崩したのかまでは知らなかったのだろう。誰かが謝ると次々と「ごめん」という声が聞こえてきた。


『皆さんはこのUSBをどうするつもりか知りたいことでしょう。俺はこのUSBを・・・破壊します」


それを聞いた彼女らは唖然とした。少しすると状況を飲み込めたのか口々に「深谷さんが頑張ったものをどうしてそんなことができるんだ!」「深谷さんがかわいそうでしょ!」と訴え始めた。


『でも安心してください。俺も鬼ではありません。ゲームをしましょう。ではパソコンを開いてこのサイトにアクセスしてください』


そう言うとスクリーンにURLを表示させた。

サイトには名前と学籍番号を入れる欄があり自分のものを入力すれば次に進める仕組みだ。

各々進むと次に表示されたのは中や掃除ロッカー、教卓などの単語だった。


『そこに表示されている単語は正しい順番で組み合わせると次のヒントを手に入れることが出来て、そのヒントを合わせると最終的にある場所に辿り着けます。ちなみに最初の問題は7つの場所に隠してあります。皆さんには制限時間以内にその場所にたどり着いてもらいます。万が一制限時間内にたどり着けなかった場合このUSBは粉々になって土に還ります。あとカウントは皆さんがこのサイトにアクセスした時から始まっています。それじゃ、健闘祈ってますよ』


そう言って動画は終わった。

動画が終わるとすぐに深谷さんが委員全員を集めて作戦を出し始めた。


「ひとまず単語のコピー作るからその間に4人の班作って!それとその中で1人グループのチャット作ってそこで通話を開始して!もし見つけた時は見つけた場所のワードを消すように言って!」


29人はそれに従い4人班を作り捜索に出る。

7つ見つかったのは制限時間が残り30分を切った頃だった。

そこからアナグラムを並び替え残り25分。

並び替えて出てきた単語は『西川口4丁目公園』だった。

学校からは走れば10分ほどで着く位置にある。

深谷さんをはじめ半分ほどが一斉に走り出し公園へと向う。

途中大通りを跨ぐため信号を待たなければいけないが余裕があると頭では分かっていても体が動いてしまいそうになる。

公園に着いたのは残り5分を切った頃だった。

蓮はブランコに座り息を切らしながら近づいてくる彼女らを見て拍手をした。


「先輩。他に向かっていて着いてない人はいますか?」

「ええ、でもすでに私がついたんだからいいでしょ。早くUSBを渡して」

「分かってますよ。でも最後はここにいるみんなで見届けたいでしょうから待ちましょ」


最後の1人が着き、全員俺の前に立った。


「皆さん。まずはお疲れ様です。それとおめでとうございます」

「そんなのはいいから早くUSBを渡して」

「焦らないでくださいよ。皆さんは俺との勝負に勝ったんです。でも問題が簡単すぎたかな?本当なら少し遅れて来るはずだったんですけどね」


そう言って立ち上がり歩き出す。


「今回の万部の依頼は『文化祭実行委員を手伝って』であり、このゲームやデータの件に他の万部員は関わってないことを一応言っておきます。で、皆さんが欲しがってるUSBここにあるんですけど皆さんに渡す前にしておかなきゃいけないことがあります」


すると蓮はUSBを地面に叩きつけトンカチで追い討ちをかけた。

少しの間の後、状況を飲み込んだ彼らはまず俺を殴りつけ割れたUSBを拾い、直せないかと震える手でヒビをくっつけようとするが地面に落ちた破片がこれは現実であると彼らに事実を突きつける。


「あなたのせいですよ先輩!あなたが不甲斐ないせいで!あなたが無駄な心配してるせいでこうなったんですよ!あはははははは!」


先輩は泣き出し周りの女子が「大丈夫。恭子のせいじゃないよ」と励まし場を離れる。

蓮を殴った男子は最後に俺を睨みつけ「・・・悪魔」

と呟き公園を去った。


終わった。全てが終わった。でも依頼は完遂できた。今回の彼女の他の委員との関係を悪くせず全員で作業できるようにしたい。と言う難しい依頼。

まず全員参加しなければいけないゲーム。これは全員で作業すると言う経験をさせるための方法で、成功した。

次に関係を悪くしない件だがこれに関しては簡単だ。悪者を作ればいい。全員のヘイトをその悪者に向けさせれば全員が協力して潰そうとするはずだ。さらに同じ敵を撃破したということで仲間意識が芽生えてさらによし。


「あなた何も変わってないわね」

「そうだな。でも今回はお前達を巻き込むわけにはいかなかった」

「分かってるわ。後始末として3人で手伝うんでしょ」

「さすが未央だな。2人はどうした?」

「2人は残ってあなたの残した必要なデータを使って早速作業をしてるわ」

「そうか。あとは頼んだぞ未央。俺は少し寝るよ」

「何言ってるのよ。せめて私の家で寝なさい」


そう言って俺に肩を貸して久しぶりの未央家に向かった。

殴られた頬が痛む。それにしても殴られたのは久しぶりだな。

まだ続くよ。それと今のところ完結は7月内になりそうだから予告しとく

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