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第20話

トランザム!!

3日目

ゆっくり朝ごはんを済ませた我々は金閣寺へと向かった。

不動堂でお参りを済ませた後本命の金閣へと向かった。

金閣は元々足利義政が隠れるために作られたものらしいがこんなにも目立つ外見にするとは、きっと命は大事。でもエゴは捨て切れない。みたいな人間性をしていたのだろう。現代の人間と変わらないな。

それでも景観はいい。

金閣寺を見学後は15時の集合時間までお昼ごはんの時間だ。

嵐山駅近くのご飯屋さんに入り時間を潰す。少しすると依頼者の女子とその班の奴らが合流した。悠人達の班が来る前に作戦の打ち合わせをしておくのだ。


概要はこうだ。


1 嵐山の名所を周る

2 最後の夕暮れ時に渡月橋で告白する


と言う作戦らしい。

なんとも大雑把だが成功が確約されている今、以前なら不十分と思っただろうが今は露も思わない。

15時前になると悠人達の班も到着し嵐山見学が始まった。

最初は法輪寺に行く。

山の中腹から嵐山を見渡せるスポットらしいが長い階段が不健康な現代人にはとても辛い。

景色はよかったけどね。

次に宝厳院に向かった。

宝厳院は青々と苔むした庭園が広がっていた。

なんだろう。心が洗われた気がした。

次に竹林の道を歩いた。

「こんな感じの禁足地を都市伝説系の動画で見たことがある気がする」と言ったら未央に殴られた。

その後も嵐山各所を周り本命の渡月橋へ。

時刻も18時を過ぎて夕日が差し、シュチュエーションは申し分ない。

悠人の班の誰かが「俺達先に言ってるからお前ら2人は後から渡ってこいよ!」と雑な離れ方をしたが全てを知っている悠人だ。「なんでだよ」と言いながら大人しく従ってくれた。

俺たちは先に渡月橋を渡り依頼者に合図を出す。

すると2人は橋を渡り始め真ん中辺りで立ち止まり向かい合う。

依頼者が手を差し出し何か言っている。少しの間の後、悠人が依頼者の手を取りそのまま手を繋いで俺達の元に帰ってきた。


依頼者は少し恥ずかしそうに、けど嬉しそうに笑っている。悠人は「みんな知ってたの!?なんだよー言ってくれればよかったのにー!」と楽しそうにサッカー部の連中と話している。

ひとまず悠人は取引を守ってくれたようだ。彼に感謝しなければ。

そのまま皆で焼肉を食べに行くらしく駅へ向かい歩き出す。

皆から一歩離れた距離を歩いていると悠人が俺の元へ来て他の人には聞こえない声で


「これは貸しだよ」

「分かってる」


と返すと前の集団に戻って行った。

その後は皆で夕飯を済ませ解散する。

宿に戻った後温泉に入りベッドで修学旅行最後の夜を終える。

隣で優香が寝ているのを感じながら今回の依頼を思い出す。


今思えばほぼ不可能な依頼だったと思う。悠人は事実あの依頼者に対して恋愛の感情を持っていないだろう。それどころか鬱陶しいとまで感じていそうだ。それにこの不可能な依頼を失敗したら廃部と言う嫌な条件付きだ。さらに言えば俺は悠人の取引を心のどこかで疑っていた。それは杞憂に終わったがあいつなら「面白そうだから」と言う理由で告白直前になって依頼者の心をへし折るというのをやりかねない。だがしっかり取引は守ってくれたのだ。俺もいつか借りを返さなければ。

やはり今回は難しい依頼だった。正直しばらく依頼は受けたくないな。


4日目修学旅行最終日

俺は朝早く起きて朝風呂を堪能していた。今日が最終日なのだ。最後に一度くらい入っておきたい。すると同じことを考えたのか未央が俺に気づかず風呂場に入ってきた。俺を見るなり手を上げいつものビンタの姿勢に入るがたまたま目に入ったのか俺の息子を見るなり「ふっ」と嘲笑い「邪魔して悪かったわね。上がったら言いなさい」と脱衣所に帰っていった。

あの女殺してやろうか。俺を嘲笑うならともかく俺の息子を嘲笑いやがって。俺の息子だってやる気出したらすごいんだぞ!!


そんなトラブルもあったが9時にチェックアウトしそのタイミングで俺たちの大きな荷物を家に送ってもらうことにした。この後は三重の伊勢神宮に行ってから帰る予定なので荷物は軽い方がいい。


電車を乗り継ぎ13時ごろ伊勢神宮に到着した。

到着するなり「まずは飯だ!」と移動中に調べていた伊勢うどんの店で伊勢うどんを堪能した。

伊勢うどんとは濃いタレで食べるうどんで麺にコシがなく検索するとサジェストに『伊勢うどん まずい』と出てくるので少し身構えていたがなかなか美味しかった。コシがない理由は伊勢うどんのお店が参宮客を待たせることなく提供できるよう、常に麺を茹で続けていたかららしいがどうやら少なからず昔の人もコシがないと美味しくないと感じていたんだろう。


その後は参拝をするのだが何せめちゃめちゃ広い。昨日嵐山を歩き回った疲れがここにきて響いてきた。一通り回った後はおかげ横丁で赤福を食べたのだが思った。ずんだ餅の餡のせたらずんだ餅になるんじゃね?その後もおかげ横丁を歩いていると射的があったので4人で勝負してみた。勝者は意外にも花奏だった。花奏の才能は意外なところにもあったようだ。


帰りの新幹線の中。

優香と花奏は寝てしまい、未央と少し話をしていた。


「今回の依頼うまく行ってよかったわね」

「そうだな。厳しいと思ってたけどとんとん拍子で行ったな」

「ええ。あなたのおかげでね」

「俺は何もしてないぞ」

「あなたを見てれば分かるわよ。最初の大阪城の時先生に先生に何か言われてたでしょ。その時は焦っていたのに2日目の夜に日高君が協力してくれたって言ってたわよね。あの告白の後、駅に向かう道で一瞬日高君と話していたわね。『取引』って何」

「聞いてたのか。悪趣味だな」

「なんと言われようと構わないわ。私だって日高君の噂は知ってるわ。それに今回の依頼は彼の強力なしに達成はできなかったのも分かってる。でも私たちに相談しなかったのはなぜ?」

「それは・・・ほら、なんにしたってこうする他なかったんだからいいだろ」

「よくないわよ!私たちはあなたと同じ万部の部員よ。あなたは今まで私たちを駒として使ってきた。それ自体はいいの。でももう少し私たちを頼ってもよかったんじゃないの?あなた1人の万部じゃないのよ」

「・・・。分かった。善処するよ」

「でも今回のことはありがとう。あなたのおかげで万部が存続できた。もし今後万部で何かあったらあなた1人で決めずに私たちに相談しなさいよ」


彼女もまた俺と同じく万部が好きなのだろう。だからこそ俺1人で事を決めたことを怒っている。俺は万部の関係が好きで、それを壊したくないがために依頼について真面目に取り組んでいる。それは彼女達も同じだろう。俺は少し彼女達を過小評価していたのかもしれない。


「そういえばまだ4人の写真撮ってなかったわね」


そう言っておもむろにスマホを取り出し俺の腕を組み寝ている2人が入るアングルでシャッターを切った。


「後で送っといてくれ」

「いいけれど今度どこかに遊びに行きましょ」

「じゃあ決めといてくれ」

「2人で相談しましょうね」


そう言って俺の額にデコピンを食らわせる。

まだ慣れないな。


この後川口に着いたのは22時過ぎだった。

家まで着いてきた優香が「蓮ちゃんと一緒に寝るの!」と駄々をこね出し母さんも「いいじゃない。小学校の頃みたいで!」と言い出し罰ゲームは継続した。

でもさ優香。ベッドから蹴飛ばすのはやめてくれ。宿のベッドだと静かだったのに俺のベッドになった途端寝相悪くなるのやめてくれ。安心してるのか知らないけど毎回毎回床に叩きつけられる気持ちも考えてくれ。

と床に突っ伏しながら思った。

はい。修学旅行編FINです。書いてて思ったけど金銭面で花奏の親父出すのめっちゃ楽だわ。お前(花奏の親父)金ずる決定な。

ところで今回で50000字行きました。結構早いね。

次のイベントどうしようかな・・。

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