第12話
今回読みづらいかも
夜の散歩はいい。昼間と違って人通りも少なく心地のいい孤独を感じることができる。特に土手を歩くと夜風が気持ちいい。気分が良くなってきて歌い出した時に人が現れるのはなんなんだろうな。
モ◯ストのスポットを取るついでに散歩でもと思い夕飯後、外を歩いている。今日から母親が友達と2週間の旅行に出かけるため家には俺だけだ。ご飯は毎食優香が作ってくれるらしい。さらに明日は土曜日。つまり夜通しゲームができるわけだ。最高じゃないか。
スポットはある程度目標に近づかないと拾えないようになっているため拾える範囲まで近づく。角を曲がればすぐの小さな公園が範囲なのだが何か声が聞こえる。何かを一方的に怒鳴りつけているようだ。この時間に外で怒鳴り散らかすのは正気の沙汰とは思えない。スポットも取りたいが少しタイミングをみて角を出ることにした。
だが1分経とうと2分経とうと怒号が止むことはない。
一体どうなってるんだ。
首だけ出して覗いてみる。
大人の男が高校生くらいの女子を怒鳴りつけ殴る蹴るの暴行をしている。
ウッソだろ。普通外でDVするか?尚正気の沙汰とは思えない。
巻き込まれたくないが見過ごせないな。警察に電話するか。
すると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
しきりに「ごめんなさい。お父さん。ごめんなさい」と涙声で訴えている。
毎日聴いてる声だ。聞き間違える訳が無い。
狭山さんだ。
まずいまずいまずい。
電話してる場合じゃねぇ、まず止めなきゃ。
気づくと駆け出していた。
2人の元に着くと男を突き飛ばし間に入る。
「狭山さん立てる?歩けるなら・・・そうだな、未央の家に行け!」
「川口くん?なんで・・・ここに・・・」
「いいから立って歩け!」
そう怒鳴ると彼女は立ち上がり足早に歩き出した。
俺はというと男の前に立ち狭山さんが逃げる時間を稼ぐ。
「なんだぁお前?ヒーロー気取りか?ああん!」
「ああそうだよヒーローだよ!かっこいいヒーローで悪いか!」
自分でも恥ずかしい事を言ってるのは分かっている。だがこうでもしないと恐怖で逃げ出してしまいそうだ。
俺の態度が気に食わなかったのか今度は俺に拳を上げ始めた。
一方的に殴られ、蹴られ収まる気配のない暴力が俺を襲う。
狭山さんが逃げる時間を稼げるならそれでいい。
ただひたすらに受け続ける。
だが一度大きなダメージを受けてしまえば後は大したことはない。アドレナリンが分泌されるのを感じる。
次第に痛みを感じなくなり笑いが溢れてきた。
「てめぇ何笑ってんだ?きもいんだよどいつもこいつも!」
そう言い残すと男は家に入ってしまった。
地面に仰向けに倒れ込み「俺の勝ちだ!」と勝利宣言をし拳を突き上げる。身体中の痛みと口の中に広がる血の味がそう感じさせる気がした。
起き上がりさっきの角を曲がると全速力で走ってくる優香が見えた。
すると安心感からか足の力が抜けてしまいその場に倒れ込んでしまった。
優香におぶって貰い未央の家に向かうよう指示する。
そして優香の背中の温かさを感じ少し目を瞑る。
なぜ優香がピンポイントに俺の元へ走ってきたかというとある少年誌で読んだ方法を実践してみたのだ。
位置情報だけを2人に一斉送信し後は彼女らに任せてみた。すると優香が来てくれた。作戦は成功だ。
今だけヒーローになった気がした。
狭山さんの事は何か知ってるか優香に聞いてみると、無事に未央の家まで辿り着き未央に応急手当てをしてもらっているらしい。
よかった。今は彼女を守れたらしい。重要なのはこれからだがアドレナリンが切れてきたのか全身で痛みを感じてきたから後にさせてくれ。
俺たちも未央の家に着くなり俺の応急処置が始まった。
傷口を消毒し絆創膏を貼る、幸今回は骨折のような大怪我はしてないみたいだった。
ただ全身の打撲が多いためめちゃめちゃ痛む。
全身絆創膏、ガーゼ、氷まみれになった俺と狭山さん、と優香、未央の4人でテーブルを囲んでの状況把握とこれからの話し合いが始まった。
「まずどうして2人とも怪我してるのか教えてもらっていいかしら?」
「狭山さんの親父さんにやられた」
「どうして?」
「狭山さんが殴られてたから割って入った」
俺からはこうとしか言いようがない。
根本的な理由は彼女に話してもらわなければ。
「狭山さん。話しづらかったらいいのだけれどどうしてこうなったか教えてもらっていいかしら」
少し躊躇った後彼女は話始める。
「私の父は元Jリーガーで私がサッカーを始めたのも父の影響です。父は優秀な選手でした。日本代表の選考まで行ってのですが後一歩のところで代表にはなれず父はそれが悔しかったんでしょう。選考会の後チームメイトに対して暴力事件を起こしてしまいます。その後父はチームに契約を切られ事実上の追放になってしまいました。どん底にいた父の頭に浮かんだのが『自分が代表になれないなら息子にやらせればいい』と考えたんです。退団後少しして母と結婚し私を産みました。母は大変喜んだらしいのですが父は絶望しました。息子でなければ自分と同じ道を歩ませられないからです。その頃から父の酒癖は悪くなっていきました。私が5歳になり私は父がしていたサッカーに興味を持ちサッカーを始めました。どうやら私にはサッカーの才能があったようで父はそれに大喜びし無理やりクラブや個人練習を強要してきました。そこから私はだんだんサッカーが嫌になってきて去年の夏に勝手にクラブを辞めてしまいました。それに気づいた父はこの時から私に手をあげるようになりました。母はそんな父とはやっていけないと感じたのでしょう。私を置いてどこかに行ってしまい、今は父と2人で暮らしています。そしてこの間部活もやめようとしたのですが学校としては私を手放したくないのでしょう。退部を認めてくれませんでした。そのことを八潮先生に相談すると条件付きで退部させてくれました。その条件というのが万部に入ることです。当然そのことを知った父は激怒し今まで避けてきた足や顔にも暴力を振るうようになりました」
まとめるとこうだ。
彼女の父親は自分ではなれなかったサッカー日本代表にさせるべく彼女を産み、無理やりサッカーを続けさせようとしたが、彼女は無理にサッカーをするのに嫌気がさしたのだ。それで思い切って辞めてみたら父親の怒りが爆発し体育祭の時や今みたいな怪我をさせたみたいだ。
「私のせいで川口くんは怪我をして皆さんに迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい」
「気にするなよ。これ以上ひどくなってたら取り返しつかなかったから気づけてよかった」
そして連絡が来たのは翌日の朝早くだった。
もう気づいてる人いるかもしれないけど登場人物の苗字は埼玉県の市から取ってるよ。
さいたま市はダサ過ぎて使わないけどね。懐かしいなコクーンに映画見に行ってた頃が




