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◆◆0話 プロローグ◆◆
『恋なんてしたくない』
あたしの名前は佐倉実咲。あの時、そう思ったのが、小学6年生の夏───。
あたしには、大好きな人がいた。
その人とは仲が良くて、一緒にいて、いつも楽しかった。
近くにいられるだけで幸せだった。
笑顔を見れるだけで幸せだったのに……。
『俺、実は由宇の事が好きなんだ』
あたしと貴方は仲が良かったから、何でも話して、相談ごともした。
───そう。
仲良くなりすぎた。
だから、貴方は恋の相談を私にした。
『おまえの事、信頼してるから!』
そう言って、貴方は無防備な笑顔を見せた。
ある日、
あたしの親友が、あたしの大好きな人───宗に言ってしまったんだ。
『実咲って宗の事好きなんだよー!』
そしたら宗は、こう言った。
『あんなブス、俺は好きじゃねーし』
そりゃ、あたしは可愛くないし……由宇みたいに、素直できらきらしてないけど。
あたしの事、信頼してるんじゃなかったの?
友達としては好きじゃないの?
何で?
そんな夢を、今日の朝見た。
あれから1年経ち、あたしは中学1年生になった。