表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事!?  作者: 未知香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/54

第22話 【SIDEフィスラ】魅了

 この力は、ミズキが元居た世界でも効力はあったはずだ。それでも聖女としてこの世界によばれるとは、そういう事だ。


 自分に対しての自信があり、野心が強い。


 過去の文献でもぼかされているが。その辺に聖女についての記述が少ない理由があるのでは、と思う。


 それでも。

 それでも自分にはミズキの浄化を安全に行わせる責任があると、ため息と共に思う。


 いくら更に何かを手に入れるためにこちらに来ているとしても、よんだのは最終的に自分なのだから。

 ミズキに対しても、聖女としての役目に関しては、きちんと関わるつもりだ。


 微塵もツムギへの責任を感じていなそうなミッシェを見つつ、もう一度紅茶を飲んだ。


「もちろん、私もそう考えておりますのでご安心ください」


 にこりとほほ笑むと、ミズキは満足したように頷き頬に手を当てた。


「お披露目会でも、是非近くに居てお祝いをしてくださいね」


「ええ、それはもちろん。近くでお祝いしたいと思っております。……ただ問題がありまして」


「なんでしょうか?」


「私のパートナーはツムギになってしまいます」


「どうして? 何故あの人がパートナーなの?」


「私は魔力量が多く、感情の揺れがあった場合相手に影響が出てしまう事があるのです。特に女性で魔力量が多く家格が合う方は少ないので。そのせいでしばらくパーティーには出ていませんでした。ツムギは無魔力なので問題が出ません。庶民の出の助手として紹介するので、心配されませんよう」


「平凡なおばさんじゃない」


 フィスラよりも年下のツムギだけれど、確かに子供のようなミズキから見たらそうなのかもしれない。

 それでも、非常に不快な気持ちになった。


「先ほども申しましたが私の隣に立つには、相応しいと思います」


「そうとはとても思えませんけど。ねえ、ミッシェ様」


「実際コノート師団長にパートナーが居ないのは問題ではあった。それで度々出席を断られていたので、私としては出席してもらえてほっとしている」


 ミッシェはため息と共に認めた。


 女性に言い寄られ、自分の娘を紹介したい男たちに囲まれるパーティーにいくなら研究をしたい。それは正しい感覚ではないだろうか。


 部下たちは楽しみにしているものもいるので、それはきちんと認めている。


 それでもミズキは不満げな顔をしている。

 フィスラが靡かないことに不満げにはしつつも疑問は持っていないあたり、魅了は無自覚のようだ。


「あの人の事ばかりですね」


 ミズキの目に暗い影が宿ったのをフィスラは感じた。そして、その対象はフィスラではない。


「お祝いの気持ちがあるのですが、貴族はやはりパートナーが居ないと出られないのです。お許しください聖女様。私はいつでも聖女様の味方ですし、力になりたいと願っています。信じてください」


 フィスラが下手に出ると、ミズキは満足そうに笑った。


「仕方がないわね。いいでしょう。聖女召喚成功のお祝いですものね。あの人の事は必ず研究助手と紹介してくださいね」


「もちろんです。実際、そうでしかないですからね」


 ……ツムギを目の敵にされても困る。


 自分の不快さを優先して発言をしまった事を、反省した。


 ツムギには先に招待状を渡してしまったし、しっかり言質を取るために来たというのにツムギの悪口を流すことが難しかった。

 不思議だ。


 ツムギをミズキの前でぞんざいに扱えばいいのだろうが、それは無理だ。

 ツムギの事は自分に責任がある。

 彼女を不快にはさせたくない。させてはいけない責任があるのだ。


 自分の責任感がツムギに偏っている事は無視して考える。


 明日からは、ある程度ミズキに付き合わなくてはいけないだろう。にこやかに受け答えを続けながら、心の中で大きくため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓↓★やブックマークいつもありがとうございます!別作品も読んでもらえると嬉しいです↓↓
▼▼未知香の別作品(下記文字をクリックで表示されます)▼▼

新着投稿順

 人気順 

書籍化します!『悪役令嬢は冷徹な師団長に何故か溺愛される』クリックすると詳細ページへ!
9435.large.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ