主人公とモブは紙一重 二話
「来ると思っていたよ、大丈夫かい?」
「えっと…なんでここに?」
「君がここに来ると思ったからだよ」
「俺がここに来ると何かあるの?」
「なにを言っているんだい、君が心配だったから来たんじゃないか保険室の先生は出張だが私が体調が悪いと言ったらすぐに鍵を貸してくれたよ」
「さすが信頼があるねwなるほど、ばれてたってことか」
「これでも一応学級委員長だからね、こんだけのことがあったんだ、注意して見るさ、まあ、とりあえずこっちにおいでよ、治療してあげるから」
「いや、それぐらい一人でやるよ」
「知ってたかは知らないけど私の家は病院だよ?多少は私も医療の知識はあるしね、そんな私と君、どっちが効果的な治療ができるかは、わかるよね?」
「そこまで言うなら…頼むよ」
「うん、さあこちらへ来て手を見せておくれ」
早川さんが座っている椅子の横にある椅子に座り右手を見せる
「すごいことになってるねぇ、よくここまで耐えたね」
「こんなになるとは思わなかったよ、というかまさか…」
「それは安心しなよ、私以外にはばれてはいないから、君隠すの上手いんだから」
「それは良かった、ってことでいいの?」
「ああ、みんなにばらすようなことはしないからさ、そんなことをしたら君が隠した意味がなくなってしまうからね」
「さすがだね」
「まあ、これでも君には感謝しているんだよ、あそこで君が割り込んでくれなかったら今ごろどうなっていたことか」
「まあ、女子にはあれをとめるのは荷が重かっただろうからね、空手やってたような打ち方だったから男子にも重いけどもw実際こうなっているし」
「ああ、よくわかったね彼は実践空手をしていたそうだよ」
「なるほどだからあんな様になってたのか、それにしても神里はクラスの皆が見てるなかよくあそこまで感情的になれるね」
「あはは、君には無理だろうね、彼は自分の正義は曲げない人だからね、特に女の子への理不尽に対しては容赦がないよ。さ、できたよどうだい?」
「めっちゃ楽になったよありがとうさすがだね、それじゃ」
「ちょっとまっておくれよ」
「ん?どうしたの?」
「時間はまだあるんだ、もう少し話さないかい?」
「ああ、うんいいけど、じゃあ気になってたことだけどよくそんなに神里のことを知っているね」
「それは学級委員長だから、という答えでは納得してくれないかい?」
「まあ、さすがにそれは知りすぎな気がするからさ、嫌なら無理に話さなくてもいいけど」
「じゃあ特別に話すとしようか、一年生のとき彼に助けられたことがあってね他のクラスでほとんど面識もないのにあそこまで真剣に助けてくれた彼に少し興味が湧いてね」
「神里はけっこう強力なライバルがいると思うけど?」
「あはは、そういう意味での興味はないよ、あまり彼のような人は得意ではないからね」
「へー、神里に助けられて好きにならない人なんているんだ」
「確かに彼はヒーローや主人公のようだったよでもまあ私はそのような人を好きにはなれないようなんだよ」
「ほお、男子なら主人公は憧れるけどね、モテるし、まあタイプは人それぞれか」
「主人公とは言ってもいろいろいると思うけどね、それはそうと君だって一歩間違えれば主人公のようなことになっていたよ」
「どういうこと?」
「それは簡単さ、君だって体を張ってたくさんの人を助けたじゃないか、物理的に言えば鐘内さんのみだが神里くん、クラスの皆、私も間接的に君は助けられたことになる普通だったらハーレムの完成さ」
「実際にはそんな感じにはなっていない、ハーレムは言い過ぎだけどw」
「うん、そうだよ違うのが物理的に助けた女の子が感謝どころか君を嫌っている点、君に助けられたことをわかっている人があまりにも少ないという点だね」
嫌われてたんか、確かにあそこで殴られてたら女子殴った神里を悪者にできたし、俺が入り殴らなかったせいで鐘内さんが悪い的な感じになっちゃったか
「あー、考えてみたらそりゃ嫌われるよね」
「そうだね、しかもクラスの皆からしてみればあの問題他人事なので正直どうでもいい、だから深く考える人がいないんだろうね君が神里くんを止めてくれなかったらなんて考えないだろう、これからどうあの3人と接するかを考える方が重要なんだろう」
「そうだろうね、そっちの方がありがたいけど」
「そういえばそうだったね、まあ、結局言えることは君は紙一重で主人公になれなかったってことだよ」
「なるほどね、なんというかさすが学級委員長って感じ、優しいね」
「優しいのは君の方だろう、だとしてもあのやり方は褒められたものではないがね」
「自己犠牲ってほどかっこいいものじゃないよw」
「でも、私は好きだよ」
「あ、ありがと」
「おっと、喋り込んでしまったがもう昼休みが終わってしまうね、私は鍵を返してくるから先に戻っていてくれ」
壁にかけてある時計を見ると授業が始まる7分前となっていた
「了解、これ、ありがとう」
右手を見せる
「あ、そういえば、後でノート貸してあげるから帰ったら写しなよ」
「ありがとう」
さすがは学級委員長という感じだった。俺なんかにも優しく良いところを見つけてくれるらしい。クールな感じだと思ったら意外とお喋りな人らしい、友達が多いのも納得だ。
それにしても楽しかった、やっぱ美人な人とここまで話せるとテンション上がるな最後まで内心ウッキウキだったw
よし、頑張って隠し通しますかね。
そうして軽い足取りで教室へと戻る。
5.6時間目はなんとか終わりSHR
「はい、今日の連絡は以上です、あとホームルームが終わったら…」
うわ、まじか
「現代文赤点だった人は残ってくださーい教科の先生からの宿題がありまーす」
隣を向き…
「山田おつw」
「まじくそぴえん」
「はい、それではさようならー」
「三島、宿題もらってくるから待っててくれね?」
「はいよー、了解」
待っているとスカートと髪を揺らして誰かがが近付いてきた避けるか、と思っていると…
「三島くんはい、どうぞ」
ん?、俺の名前。
ああ、早川さんか、手元をみると今日あった教科のノート
「ああ、ありがとう」
「君なら大丈夫だと思うがもしわからないところがあったら聞いておくれ」
「了解、ありがとう、ちなみに全然大丈夫じゃないよw」
「君、クラス2位だろう、大丈夫さ」
「早川さんに大差つけられての、だからねぇ、授業の内容は理解できてもテスト前になると忘れちゃうんだよねw」
「なら一緒にテスト勉強でもするかい?」
「え、それはありがたいけど…いいの?」
「私から誘ってるんだよ?駄目なわけないさ」
「あ、うん、ありがとう」
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
早川さんと別れたらすぐに山田がやってきた。
「おいー、早川さんとあんなに親しげに喋るとか三島もなんだかんだいってすみに置けないな」
「早川さんは誰にでもあんな感じでしょうよ」
「そうかぁ?そんなことないと思うけど、まあいいか、帰ろぜ」
「そだねー」
窓から見た空は、雲ってはいたが雨は降っていなかった。
軽いペダルをこぎ、ゆっくりと家へ帰った。