モブと主人公は紙一重 一話
ねみー学校だっるぅーーーー
そんなことを思いながら俺はペダルに片足をおき信号を待っている。顔をあげると街路樹は青々としておりイラストのように晴れ晴れとした綺麗な青空である。
「よーお!優人!」
「お!おはよ~」
後ろから声をかけてきたのは同じクラスで中学からの友人の山田である。
信号の緑が光り、少し重い足を動かす。
「そういやテスト順位どうだったよ?」
「クラスは2位だった~学年はしらん!w」
「お、顔は普通だけど頭はやるじゃんw」
「うるせーよwまあバカ校だしねー、お前は?」
「俺は35位だぜ!」
「バカジャーーーーン」
そんなこんなで会話していると「徒進高等学校」と書いてある門が見えた、そのまま通りすぎ駐輪場に自転車を置き、玄関で上履きに履き替え階段を上る。
「階段長げーよー」
「マジそれなんで4階やねん」
「ついたぁ」
「もう無理疲れた帰る」
「それな帰りてえ」
この会話毎日してる気がする、でもなんかしちゃうよねぇ?
そのまま廊下を歩き、2ー5の標識を確認し教室に入る
『おはよー』
「おは~」
かたまっていた友達3人と挨拶をし、席に荷物を置く、そして山田と一緒に3人と合流する。こいつらも と同じく中学からの友達だ、細川、鈴本、米倉、という、今年になって奇跡的に全員同じクラスとなった。基本的にはこいつらと一緒に行動している。
まず口を開いたのは細川だった。
「いやー、今日も音見友菜はかわいいよなぁ」
「それな!なんというか正統派完璧ヒロイン!って感じ」
「わかるー、いいよな神里俺もあんな幼馴染み欲しいわ、話しかけにいこっかなーw」
「やめとっけって音見は神里にたぶんベタ惚れなんだからさぁ、あんま下心丸出しでいくとキモがられるぞw」
「誰に対しても優しいから露骨にキモがられることはないだろうけどな。でも神里に報告されるとシバかれるぞw」
「あー、そういえば去年音見さんに手出したやつがシバかれてたねぇ、あれはまあ手出したやつも悪かったけどね」
「とはいえなーんで神里はモテるのかねぇ」
「さーあ、あいつ美人にだけはモテるのよなー主人公かよって」
「それな、正直言ってちょっと痛いし実際友達も少ないしなんでだろ」
「主人公補正だろwまーあ、俺らにはわからん良さがあるんだろ」
「モテないとはいえ僻んじゃダメだぞ~優人」
「うるせぇw」
「陰キャで女子と話せん上に奇跡的に仲良くなってもいい人止まりだからな優人はw」
「うん、しね、うんこ、」
キーンコーンカーンコーン♪︎
小学生みたいなことを言ったところでチャイムがなり、皆が席についたところで先生が話し始めた。
「皆さーん今日は転校生がいまーす」
『ええ!』
『なんでこんな時期に!?』
『女子ですか!!!』
「しーずーかーにーこんな時期になったのは特別な事情があるからです。」
「静かになりましたね、それでは入ってきていいよー」
ガラガラガラ
『おおーーー!!』
男子のテンションが爆上がりしてるのがよくわかる声が聞こえる、それもそのはず入ってたのは黒髪ロングのいかにもという美少女だった。
「初めまして」
『………………………………』
声を出したとたんあれだけうるさかった教室が静まり返り、とても澄んでいて美しい声だけが聞こえた。
「私の名前は霧谷冬華です。」
「うん、ありがとうみんな仲良くしてあげてね~席は、右後ろの神里君の隣に座ってね」
隣の席の山田が話しかけてきた。
「マジかよ神里いいなー主人公じゃん」
「男どもの嫉妬の視線やばくておもれぇw」
「男子高校生はこうでないとwお前もあれくらいでいかねえとまじで一生彼女できんぞーw」
「余計なお世話じゃい!」
そこから6時間目までいつもどうりの授業があった、ただ今日が昨日までと違ったのは休み時間の賑わいである。
休み時間になった途端に霧谷さんの席のまわりには人だかりができ、次第に他のクラス、他の学年までもが集まってくるようになっていた。ただ霧谷さんの反応は冷たく、最低限の受け答えのみという感じだった。
一人を除いて…
そして帰りのSHRが終わったのだが、案の定霧谷さんのまわりにはすぐさま人だかりができていた。
「うーわやっべぇなぁ人多すぎ」
「俺も喋りいきたいけどこれじゃあなぁ」
「というか早く帰らんと帰れんくなりそうだぞ」
言われて廊下を見ると通れるところがなくなりそうなくらいまで人が押し寄せていた
「やっばwはよ帰ろ」
「それな」
と、いうわけで俺たち5人はそのまま家に帰った。
翌日、いつもどうりに学校に行く。
『おはよう』
『おはよー』
「今日も賑わいやべーなー」
「それなー、教室入るの苦労したわーw」
「わかるマジやばかった」
「それにしてもこのクラス美人多いよな」
「霧谷さん入ってもっと華々した感じあるよね」
「マジ誰でもいいから付き合いてーわ」
「嘘じゃんw」
キーンコーンカーンコーン♪
SHRが終わり、休み時間
次の数学の準備をしにロッカーの方に行く、霧谷さん、神里、音見さんが話してたのを見かけた。男子の神里への視線がやばかったが「おもろw」と思いながら席に戻った。
隣の山田が話しかけてきた。
「おい三島?」
「ん?」
「なんか神里霧谷さんと仲良くね?」
「そうだねー、あの2人と仲良く話せるのはすごいよな」
「お前は女子とまともに話せんもんなw」
「話せはするけどね?」
「でも端から見てると動揺しすぎておもれえぞw」
「うっせw」
そこでチャイムが鳴り先生が入ってきた、教室中が慌ただしくなりすぐに静かになる。
「きりーつ」
「始めます」
『お願いしまーす』
「はい、今日は直線上の点の座標をやっていきます」
数十分後…
「よし、みんなこの問題をやってくださいねー後で当てるのでわかんない人は教えてもらっておいてね」
うわー、めんどい、と思いながら問題を解く簡単なので解くことはできるが書くことが多いのでけっこう面倒くさい、よし、解きおわったー。回りを見ると分からないので答えを聞いているもしくは写している人でクラス中は騒がしい。横を見ると山田が寝ている、いつもどうりか。
そんな感じで暇を潰していると、
「ねえ、これってどうやるの?」
と、言う声が後ろから聞こえる。誰に聞いてるんだろうと見てみると、俺だった。
「え、ああ、これはね…」
「ありがとう!教え方上手いね!いつも山田くんとかに教えてるからかな?」
「ありがとう、それはどうなんだろねw」
まさかの音見友菜から話しかけられた、なんでだろうと思ったがその疑問はすぐに解決した。
いつも音見さんが教えてもらっている斜め後ろの女子の席が空席になっている。
なるほど、そういうことか、とはいえ音見さんはさすがクラスの人気者、俺みたいなのにも目を配っているらしい。
そんなこんなで1時間目が終わる。
2時間目、3、4時間目と同じ様に進んでいき、昼休み。
「まじ疲れたー」
「それなー」
「でも5時間目体育だ、よっっしゃー」
「体育なかったら休んでるわw」
「体育ってなにやるんだっけ?」
「今回から男子はバスケで女子がバレーだったはず」
「よっしゃバスケサイコー」
「バスケかー、苦手だわー」
「山田モテるチャンスじゃんがんばw」
「よっしゃやるぞー!」
「わっははっはは」
「とりま飯食うか」
「そだね」
といって昼食を食べはじめる
神里と音見さんは話しているところを見たが霧谷さんは昼休み中一回も見なかったが、まあそういう女子は少なくないし気にしなくていいか。
昼休みが終わり5時間目女子は霧谷さんがめっちゃすごかった、女子とは思えないスパイクの速さでバレー部ですら手がでていなかった。男子は山田と神里がやりあっていた、神里は運動全般できるらしい。
6時貫目は古典だったが特に何もなく終わり、掃除、SHRを終え帰路につく。
「優希お前音見にめっちゃ話しかれられてたなw」
「まじでびびったわ」
「いいなー、席変われよ」
「変わってもお前は教えられないだろw」
「ソウダッター」
次の日、曇り空を見て雨が降らないか心配しながら学校に行き、いつもどうり教室に入ると、クラスの一軍女子鐘内さんと霧谷が言い争っていた。
「本っ当にあんたって最低だよね、転校してきたばっかの癖にちょっと男子からちやほやされた程度でイキがってんの?」
「なにがあった?」
と、山田が先に来ていた鈴本に聞く
「それがな、昨日の昼休み鐘内の彼氏が霧谷に告ったらしいで、それが鐘内にバレてこうなってる」
なるほど、だけどそうだとすると少しおかしい
「それなら彼氏に怒るのが普通じゃねぇの?」
「そう思うだろ?だけど鐘内は霧谷に怒りたいらしい」
「なるほどねぇ」
「人の彼氏に色目使うとかほんっとサイテー」
「色目なんて使ってませんが?しかもなんであんな人に私が色目なんて使わないといけないんですか」
「はあ?しらばっくれないでよあんたから手だしたんでしょすぐ手のひら返すとかほんとゴミ」
「おい待てよ、冬華はそんなことしてないし、したとしたらなんで告白断るんだよ」
と、神里
「お前は黙ってろよ!てめぇみたいな陰キャが口挟んでくんなよ!」
「神里くんは関係ないでしょう、当たらないでもらえる?」
「そうよ!こんなゴミ陰キャと関わってるやつはゴミなんだ!あー、そういえば音見あんたもよく神里と話してたよねぇ?ねえみんな、こいつらイジメましょ!」
『……………………………』
そりゃあ何も言えんわな、どうなるか様子見ってところだろう
「おい、お前いい加減にしろよ……」
神里が鐘内に向かって走り出す、そして気づいたらなぜか俺の体も動いていた。
神里が鐘内に殴りかかる、フォームがきれいだ、うん、そんなこと思ってる場合ではない、どうにか拳を受け止められる位置へ手をもっていく。
ドズバァァァァァン
鈍い音が鳴ったと思ったら鋭い戦闘アニメの効果音のような音が聞こえる。まじでこんな音なるんかw
というか痛い、めっちゃ痛い。
顔にでてなかったよね?たぶん大丈夫だよね?
あ、なんか言わんと
「落ち着きなって、気持ちは分かるけどさすがに女子殴るのはヤバいって、やったら確実に神里たちが悪くなるよ?霧谷さんのためにも落ち着いて」
「ああ、悪い…」
やっべみんなめっちゃこっち見てる、とりあえず戻ろ
「大丈夫か?」
山田たちが聞いてくる
「大丈夫、すげえ音なってたけどw」
そこからは鐘内の友達や音見さん、学級委員長によってこの場はおさめられた。
今は昼休み、俺は一人で保健室へ向かっている。痛い、何とか今まで隠し通せたが授業中見たら手の母指球と子指球の辺りがすごい色になっていた。
ついた、ドアを開ける。
「しつれぃ…え?」
保健室の先生はいない、その代わりに学級委員長の早川紗香がいる。なんで?
「来ると思っていたよ、大丈夫かい?」