22 1章 22話 氷霊剣鬼
ストックが切れました。
2章は未定です。
続きを読みたいと思う方は評価をよろしくお願いします。
ランキングに最下位でも、乗れば確実に続編を書くことを約束します。
良いね。賛否感想お持ちしております。
読み終わったら、星マークの評価をよろしくお願いします。何卒。
後書きにおまけがありますのでそちらもご覧ください。
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「カミナ、良かった本当に。また、誰も助けられなかったのだと、あの星のように。また」
「ちょっと、シーカ。苦しい。あたしがそんなに恋しかったのかしら」
「ああ、本当に。もう一度会いたかった」
「何を」
カミナの意識はしっかりとして、体が動かないみたいなこともない。以前と違うのは、その植物と氷の混じり合った異形の心臓と、それを塞ぐ人離れした痛々しい傷跡。そして失った腕だけだった。
腕の中の彼女は、とても温かかった。
「おいシーカ、感動の再会の所悪いが、俺は今すぐここを離れることを推奨するぜ」
「ウォーディーン」
この男はどうしたものか。恨みとか色々思うところがある。
結局彼の力を手に入れたいという欲求。義務感は取り除かれなかった。ウォーディーンは最強だ。彼より強い戦士が想像つかない。
だがその言葉は全てが信用ならなかった。
「どういう意味だよ」
「お前、アウミルの、氷精霊の力を使っただろう。あの氷精霊が、報告する前に殺せたのは良かったが、アレでお前の位置が、氷霊の神、アウミル殿にばれたと考えた方が良い。あまり、この町でふらふらしていると本人が来るかもしれん」
「何を、氷霊の神が何だって。何がどうしてそんなこと」
正しくても間違っていても、この男の言うこと全てが胡散臭い。そして、どうしても邪悪で気に入らなかった。
「詳しいことはその内教えてやるよ。ともかく俺の弟子になれシーカ」
「はぁ、なんでそんな話に」
「良いよ、シーカ。行ってきなよ」
「カミナ」
カミナはこの男が何をしたのか知らない。だから判断は私がしなければならない。けれど、ウォーディーンが差し出した手を掴まずにはいられなかった。
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今回の後日譚。
結局、氷精霊が何だったのか、どこからやってきたのか、なんて話は割愛しよう。結局アレがどういう行動原理で、こんな騒乱を起こしたのか。どんな目的で私に語ったのか、どんな立場にあったのか。そんなのは意味が無い。死んでしまっては意味が無い。
同時にストウデンという男が、何故に人を裏切ったのか、それも今になっては興味が無い。
死体はものを語らない。故に生者は死者に思いを馳せるのかもしれない。死者が思い残すものもあるだろう、生き残ったものが間違っていることもあるだろう、だが死者は黙って、生者に従えば良い。
ならば話は、死からよみがえった人に聞こう。今回のことの顛末、私の知らない物語を。知らなければならなかった物語を。
カミナは今回の事件を私よりも早く聞くこととなった。それは彼女の義父、キース・ストルトム が今回の事件に関与していたからである。
この町ニューケイオスにおいて、貴族の立場はとてもあやふやで儚げだ。ニューケイオス伯爵を中心とした、第二の王都としての発展させてきた、現代の英雄達。そしてウースー・ウーダンコットのような、武力以外の面で先祖という高い壁を超えた偉人。そんな人はごく僅かだ。
この町にはストルトム家を初めとして、多くの領地を失った貴族が多くいて、それらは自らが迫害されていると錯覚してすらいた。
彼らがもし伯爵の部下としての立場に満足していたら、貴族としての身分を失うかもしれないが、幸せな生活が保障されていただろう。だが彼らはそうでは無かった。
本来、その土地の管理者として不老長寿の英雄を据え、そこに住む民を統治するためだった貴族という称号は、多くの英雄が死に形だけとなった。しかしその英雄達先祖と自身を同一視していた、愚か者共は、どこまでも愚かだった。氷精霊を利用しようと思いついたのだ。
それが今回の事件の元凶である。
あるときまで、氷精霊は力を失い貴族に従順だったようだが、それが貴族達に技術と力を与える対価として、あることを求めるようになる。
それは生きたまま、神子とやらを捉えることである。
この時すでに、貴族の思惑は崩壊し、たちの悪い犯罪組織に成り果てていた。この世界における最大にして、最悪の犯罪者はウォーディーンだという話を本人の口から聞いたりしたが、最悪の犯罪組織はこうして誕生したのだった。
組織と言っても、実態はザコ貴族同盟という凄く情けない集まりだった訳だが、それに町を落とされかけたこの町もまた情けない。
その組織の研究所だったのがあの地下施設だ。実は協力していた貴族の屋敷全てと、下水道からアクセス出来たらしい。隠れるにも、町中であの繭の材料を入手するには最適だったのだろうか。
あの繭が何だったのかはカミナは知らないみたいだったが、私が見た、父親だったものを見れば想像に容易い。そんな父親の末路も、ストウデンという男の物語もカミナは知らなくて良い。
それらは私が背負うべき話だった。
カミナがその繭にならなかったのは幸運としか言い様がない。
氷霊鬼が死んでしまい、ウォーディーンは次の日には忘れてしまって真相は藪の中。だがそれで良い。カミナが生き返ったそれだけが重要なのだ。
だから今回のMVPはジャッカーロープの子供だ。
カミナの記憶は私と別れた後から混濁している。彼女が精神的ショックを受けていた理由は、先ほども述べたがこの事件に関して私よりも先にこれから起こるであろう事実を聞いてしまったからだ。SANチェックに失敗したという奴だ。キーマン・ストルトムがなぜ真っ先に娘を明け渡さなかったのか、地下の成れ果てが物語っている。キーマン・ストルトムは全て間違えていた、そこに正しさは無く、邪ばかりで人の道も踏み外した。だがきっとそこには愛があったんだろう。
血のつながりが無くても、関係は歪でも、人らしい父親の愛が。
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何で海というのはお決まりのように、潮の香りがするのだろうか。おかげでどうしてもコーヒーが不味い。
「よお兄ちゃん、どうしたんだそんなに見つめてよ。ああ、この新聞か?隻腕のヴァルキリー、戦場を駆ける。凄いよな。新たな英雄の誕生を俺たちは歴史の転換点をこうして目に出来ているわけだ」
別に見つめていたわけじゃないけれど、物思いにふけっていたのもまた間違えじゃない。しかし随分愉快な名前をつけられたものだ。今度、思う存分弄ってやろう。
「ああ、そうだね。とても会うのが楽しみだよ。何せ10年ぶりだからね」
「おいおい、兄ちゃん。ヴァルキリーと知り合いなのか、羨ましいね。せっかくの縁だしよ、俺を紹介してくれよ。剛力無双のポー・リーパイとは俺のこと、コレでも地元じゃブイブイ言わせてたのよ」
「へーそれはすごいねー」
「おい、今名前のところで完全に笑っただろう」
いや、名前というかその中国人風なのに、ムキムキ西洋ゴリラなのが面白かったと言うか。そんな事言っても通じないだろうけれど。
「まあ、紹介すること自体はかまわないのだけれど、私のことをあっちが覚えているか分からないけれどね」
ウォーディーンと共に本土に渡り、バージの修行をして5年。実際にバージとして暮らし3年。あちらこちら余所の国に行って2年。全て合わせて10年。この時間はこの世界ではとても短く、ささやかな間だったけれど、また同時に人ひとりの顔を忘れてしまうには十分すぎる。
「兄ちゃんが連れてるペット。その角の生えたウサギが居れば、嫌でも気がつくだろう」
「ああこれは、ペットじゃないんだ。何でか分からないのだけれど、ずっとついてきちゃって。ジャッカーロープのはずなんだけどなあ」
この角ウサギとも10年の付き合いだ。全く何を考えているのやら。
「そう言えばヴァルキリーには、恋人がいるらしいぜ。ニューケイオス伯爵が縁談を用意したが、それを理由に断ったんだってさ」
「それは知らなかった。へーそうなんだ。それは良かったな」
「何だ。てっきり、兄ちゃんはヴァルキリーのことを好きで追いかけてる奴らのお仲間なのかと思ったが、違うのか」
あいつにそんなファンクラブがね。それと恋人か。アレも今は立派な英雄って事かな。
「何でも名前をシーカって言うらしいぜ」
「フンヌ。へえ、そ、そうなんだね」
かなり聞き覚えのある名前だな。
「しかもだ。裏面を見ろ、噂の男シーカ、その素顔を暴く。どうやらシーカの師匠を名乗る男の独占取材だってよ」
ブフゥェ。
「おい大丈夫か。兄ちゃん落ち着け落ち着け、深呼吸だ、深呼吸」
ああ、全く次出会ったら覚えておけよ。本当にとっても楽しみだよ。なあカミナ。
2章は丸々書き終わってから投稿するのでしばしお待ちを。ブックマークを行ない、通知を楽しみにしつつ、レビューを書いてください。
あまりに評価が悪いと、2章が永遠にやってこない可能性もあるので何卒評価を。
1章最後まで、読んでいただけた方のために、今別で書いている作品の前日譚の短編を投稿しましたのでそちらも読んだいただけると私が喜びます。
ベットライフオン~かつての世界最強が、人生を賭け玉座に座る
https://ncode.syosetu.com/n4355hq/
こんな稚拙な作品ではありますが、皆様の応援が私の元気に、そして作品の続きと品質向上に役立ちます。
良いね。賛否感想お持ちしております。
読み終わったら、星マークの評価をよろしくお願いします。
そしてブックマークをして待たれよ。




