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13 1章 13話 氷霊剣鬼

 ここから2話は過去の話です。シーカはこのタイミングでその歩みを振り返らなければなりませんでした。だからきっと、これは夢の中の物語。

 1章まで毎日投稿予定。

 良いね。賛否感想お持ちしております。

 読み終わったら、星マークの評価をよろしくお願いします。何卒。

 

 長蛇どころかたった3人しか居なかったのに、長い間待たされて、ようやく私の番がやってきた。大層雑談というか、おべっかを使うのに熱心だったみたいだけれど。この受付、幾ら何でも話が長過ぎだった。

 この情けない女も、魔術士のはしくれだというのだからいたたまれない。

 

「えっとー、あ、みあー、みー……。お姉さん。コレで依頼完了ということで良いね」

 

「私の名前はミルアだって。いい加減名前覚えてもらえない。今日だけで3回は名前を言っている気がするのだけれど。あなた話し方は立派なのに。はいこれ。報酬ね」


 硬貨の枚数を数える。鈍い色、四角い穴が空いた硬貨が全部で9枚。90ヒエロか。

 どうやら子供だからとなめられているらしい。

 

「おい。この屍鬼、カッパみたいな怪物を殺したら、70ヒエロ。数が10以上だったら140ヒエロそういう約束だったはずだ。一応あんた、開拓魔術士会の末端なんだろう。両手の指をこえたものは数えられないのか」


「ええ、ごめんなさいね。9つ以上はちょっと」


 ミルアは指が一本欠けた手をひらひらと見せびらかす。

 何だコイツ。そんなに、私を怒らせたいのだろうか。

 

「冗談よ。そんなに睨まなくても良いじゃない。ちょっと、剣納めてよ、ほら報酬払うから、残りも全部」


「金はそこそこ持ってそうなのに、せこいことをするなよ。そんなんだから万年男の出来ないんだ、お姉さん」


 というか、魔術士の依頼もあるはずだろ。魔術士なのに魔術士からから中抜きしてるのか。頭おかしいんじゃねえの、ただの横領じゃねえか。


「なぜそれを。というかガキンチョには言われたくないわよ。子供のくせに生意気なのよあんた。少しは魔術師様を敬いなさい」


 馬鹿め。人を待たせて来た人全て口説いているからだ。大体、全身からモテなさそうなオーラをこれだけ出してりゃ、誰でも分かるわ。後シンプルにちょっと臭い。 この世界の風呂に入る文化の無いこいつらも、事後にぐらい水浴びするだろ。風呂に入って香油でもつけろ。


「それに、そこを強調するなら、魔術の1つでも教えろってものだよ。結局、こんな雑用を受けさせて、魔術を教えるつもりは無いんだろう」


 コイツは魔術士のくせに末端も末端。おまけにこんな辺境地に自らやってきたのでは無く、嫌々に飛ばされてきた出来損ないだ。それでもいいから教えろと迫ってみたが、人に教える能力など無いなどと抜かしやがる。よく問いただすと、ほとんど破門された立場とはいえ、勝手に弟子を取るのは不味いとかなんとか。自分を捨てた連中を裏切る決意すら無く。ダラダラと生きているのだ。


「良いじゃない、どうせあんた、暇があれば怪物を殺しに行くんだから、それをお金に出来てるだけ得をしたと思えば。町でも噂になってるわよ、謀殺された貴族の夫人の子供が化けて出たってね」


「全く心当たりがないね」


「どう考えてもあんたが血まみれのまま、町に入るからでしょうが」


 失敬な。水が自由に使えるならそんな苦労はしない。いくら海辺で真水が出る井戸が貴重だからって、あっちもこっちも井戸に使用量をつけるからだ。海水?磯臭くってべたついていけないね。

 まったく、()()()の検証をしているのだからしょうがないだろう。この世界の英雄たる資質とやらを、条件付けして検証したデータを教えてくれる科学者がいれば、こんな物騒なこと誰が好きでやるものか。英雄を尊び、多くの英雄の誕生を望んでいるくせに、なんとなく暮らしているから、私はこんなに苦労をしているんだ。

 まあ、剣にもなれてきたし、返り血を浴びない戦い方というのを考えてみるのも良いかもしれない。

 見つかる剣全ておっかなくて嫌いなのだけれど、大抵、槍を壊してから死ぬものだから、拾い物は大抵剣になる。槍なら血まみれにならないのに。


「そういえばあんたって年はいくつなの。背丈だけなら8才ぐらいにみえるけど、強さも、頭もそんな子供には思えないのよねー。実は小人とか亜人種との混血ってわけじゃないんでしょう」


「さ、さあ。どうだったかな7才ぐらいだと思うよ」


「あんた本当化け物よね。貴族か英雄の息子として生れていれば歴史を変えていたでしょうに」


 私も生まれを初期設定できるのだったら良かったと常々思うよ、そうしたらこんなインチキ魔術士のところには来なくても良かったのだから。


「ほら、良いから早く残りの報酬を出してくれ」

 

 確かに硬貨を14枚を受け取った。しかし、ちぐはぐな世界だ。硬貨はかなり精密で、おおよそ同じ模様が描かれている。古い時代のかつての祖国のように、価値のある金属、金銀の棒を千切って重りで計っている訳ではない。国家が価値を保証している丸い硬貨が存在しているのに、一般市民の科学力はてんでダメだ。

 いや一般人の学力が低いのは同じか。ただ民の暮らしはとても安定している。かと思えば、狩猟民族のように周りの怪物を狩ることを、国家規模で生業としていて、まるで自由な軍隊だ。

 国家自体は神を最上として、宗教色が強いように見えるけれど、聖職者の立場が弱いどころか、この大都市にすら数名しか存在していない。


「さて、確かに受け取ったよ。なんでこんな長々と時間がかかるのだか、他に用がないのなら私は帰るからね」


 建物の扉に手を掛けたところで後ろから声を掛けられる。

 

「そうだ。思い出したわ。あんたに耳寄りな情報があるのよ。はぐれ魔術師の話なんだけれど」


 まったくどうしようもない女だが、偶には役に立つらしい。きっと明日には彼氏も出来るに違いないね。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 キーマン・ストルトム男爵邸。

 貴族の家といっても高層ビルや豪邸のような威圧感のある建物ではない。それでも周囲の建物と比べると、やはり広く大きい。だが趣のあるというか、私の好みなだけかもしれないが、かなり興奮する。

 まあコテージを巨大にして、その基礎を石にしただけと言えばそうなのだが。たったそれだけでまるで違う建物だ。他の建物の壁は土が主な素材だったり、基礎がなかったりすることを考えると、なかなか豪華な建物である。

 更に金持ちの家だと

 本土と呼ばれる、このニューケイオスが所属する国家の首都がある大陸なのか島なのか。そちらの土地の屋敷には立派な地下室があるとも聞くが、この町は海岸沿いということがあってか、あまり見ない。

 地盤が緩いだとか、下水にぶつかるからだとか、色々あるらしい。

 警備兵の姿もいくつか見える。古代コンクリートのようなものの塀に区切られて見えにくいが、倉庫か別宅のようなものも見える。

 玄関をノックすることすら難しそうだ。


「それで。今度は何を企んでるんだ。また遺体から剥ぎ取ってきた武器を手直ししろとか言うんじゃないだろうな」

 

「ねえ」


「何だ」


「名前を伺っても?」


「ロッシュだ。お前この間も名前、聞いていたよな。たった2文字だよ。自分からやってきて、何なの新手の嫌がらせなの」

 

 ここはロッシュがやっている武器屋で、拾ってきた武具を市場に流したり、痛んだ中古品を実戦レベルまで修復してもらっている。

 何事も躊躇って、思い願うだけでは無価値だが、猪突猛進かつ無計画で良いとは思っていない。キーマン・ストルトム男爵邸に用がある。そのためにはそれなりの準備が必要だった。


「お前さあ、もう少し店に来るのにふさわしい格好ってのがあるんじゃないか。それを見たら客が逃げ出すぜ」


「何だよスラムの中流階層なら似たような格好じゃないか」


 私の今の格好はボロ布のシャツの上にベルトを締めて、皮や木の防具を着けて、クロークを羽織る。クロークは無く、防具なんてあってないようなものだが、血まみれでベトベトしていること以外、どこもおかしなところは無いはずだが。


「そのベトベトだよ。お前、その血糊が固まったら絶対臭うし、固まって取れないしで後悔するぞ。ほら井戸を貸してやるから。頭から水かぶってこい。間違っても商品には触るなよ」


 ただ井戸にありついて、真水をしこたま浴びて、ついでに水を盗れるだけ飲んでおく。

 石鹸なんて小洒落た物は在庫にないので、袋に紛れていた灰汁と油で作った洗剤で汚れを落とすが、全体的にパキパキしていけない。香りの良い植物油でも持ち歩こうか。そうすると荷物がかさばるけど、リュックサックでも作って貰おうかな。クソナードみたいなレッテルを貼られがちだけれど、リュックサックはバック界最強候補の一つだ。次点でキャリーバックである。

 さっぱり一息ついて、腹も落ち着いて髪も乾いた頃、ようやくカウンター越しにロッシュに対面した。

 店には多種多様な武具が並んでいて、それらの多くは今は手が届かない品物ばかりだ。この世界での仕事には困ったことがないが、給金には困ってばかりだ。体格からして侮られているか、それとも私の能力がたりない為か。分からないが、金銭以外の部分を、私が値踏みしていなければやめているところだ。


「それで今日はなんのようだ。やっと俺の商品を買う気になったか?最高級の防具でも何でも見繕ってやるぞ」


「そこは武器じゃないのかよ」


「血まみれで町を歩くようなガキに渡す武器はねえよ。大体よく衛兵に捕まらなかったな」


 とても親切な衛兵の友達のおかげで、衛兵の行動はある程度知っている。

 私だって井戸の水を自由に使えるのなら、こんな血まみれでは来なかったし、あるいはもっとましな服があれば、こそこそと街道を避けて歩く必要もなかっただろう。

 そろそろ、小柄な女物の服を直せば着ることが出来るぐらいには背が伸びるだろうし、そうすれば新たな服を作れるのだが。

 まあ今はボロ布で我慢するほかない。


「今回の注文も別であるのだけれど、武器は欲しいね。この剣は脆くていけないよ。骨とかに当たるとすぐに曲がってしまう」


「欠けるのならともかく、曲がるってお前。とんでもない馬鹿力だな。どうせ壊れるならブラックジャックでも使えば良いんじゃないか。坊主の力なら当たれば大体死ぬだろ」


 それも良いかもしれない。布と棒があれば後は砂を詰めればできあがりの簡単鈍器だ。殺傷力と手軽さにはまあ私の場合は、革袋でも耐久性に不満があるのだけれど、コストパフォーマンスとしてはとても優れている。いや、剣も拾い物だからそんなに変わらないのか?

 

「でもそうだなあ。全金属の杖とかなら欲しい、杖じゃなくてスタッフって言うんだっけ」


「そりゃ坊主にはおあつらえ向きかもしれんが、それなら槍でも良いんじゃないか。何でわざわざマイナー武器を」


「だって、スタッフなら血まみれにはならないだろう」


「おいおい、たったそれだけのために、刃のアドバンテージを捨てるのかよ」


 別に刃が付いていて得をした場面にあまり会わないし、重い槍の突きなんて使い物になるものか。その理論なら斧槍のほうが100倍ましだ。


「別にそんな事を話しに来たわけじゃないんだ。少し聞きたいことがあってね。キーマン・ストルトム男爵について知っていることを教えて欲しいんだ」


「男爵だあ。俺は今疑問符しか浮かんでいないんだが。なんで俺に聞いた、なんで男爵だ、何を企んでいる」


 少し聞いてみただけで企んでいるとは。随分と信用されたものだ。

 

「私と同い年ぐらいの娘が男爵家に居ると聞いてね。是非とも友達になりたいと思って」


 そう、友達になりたいのだ。無料で沸いてくる知識の源泉。その可能性のあるものを調べないわけにはいかない。誰だってそうだろう。

 

「ふん。まあ良いけどよ。だがあの男爵に息子は居ても娘は居なかったと思うが。あの家に武器を送ったこともあるが、見たことはねえなあ」


 ふうん。娘が居ないか。


「他には。もっと基本的なことでは良いんだ。この際そこらの商人が男爵のことをどう思っているかとかそんな程度のことで良い」


「そーだなあ。男爵ってのは知ってるとは思うが貴族の中でも最下級、特にストルトム家の評判は最低だ。まずこの都市での立場が弱い。男爵の先祖、初代ストルトムは開拓者として、自ら怪物を打ち倒しそこを領土としたんだ。それで男爵として代々領土を治める権利を役目を領主として命を受けたんだが、それが今ニューケイオスで暮らしている」


「領地を放棄しているということか?」


「間違っちゃいないが少し違う。そもそも今ストルトム領は人の支配下にないんだよ。100年ぐらい前に、取られちまったのさ。

 おまけに5年前のゴタゴタで、今現在あそこは忌々しい蜘蛛どもに赤く染められちまってる。不幸なことに。建物が残っているかも怪しいもんだ。

 つまり周囲に住まう怪物に逆侵攻され、貴族の称号を持ちつつも、事実上領地を失っている訳だな。

 ストルトムも、そりゃ初代は立派な英雄だった。だが、まぁー、その子孫が、それと同等に優秀とは限らないんだな。初代が腰巾着だの漁父の利だの言われるのもある程度は仕方ねえよな、結局は死んじまったわけだから。

 まあ俺は無能とは違うと思うがな。代々ニューケイオスを治める伯爵家に文官として仕えていて、都市運営に貢献しているし、大体ここ200年間の教訓を活かせず、人は新たに領土を獲得していないんだから。

 かつての栄光すら取り戻せないってのは、領主の力じゃねえ。開拓者の力不足だ」


「どういう意味だい」


「何だしらんのか。今ニューケイオスがあるここら一帯、つまり森神ジャッカーロープを殺して以降、人は他の領土を獲得していない。つまり他の土地の支配種。神に負け続けているんだよ。だから殺したのがジャッカーロープの眷属だとしても、200年停滞し続けているばかりで開拓者を名乗っている半端者とは違う、本物の英雄だったんだろうよ。領土を失うだけならともかく、殺されていなきゃ大体250才ぐらいだ。そうすりゃ今も初代が治めていたかもしれないのにな」


 なるほど。そういう歴史がこの土地にはあったのか。やはりこの世界は面白い。まだ見ぬ神秘、力、神、そして英雄。それら全てを手に入れて、あの竜に手を届かせる。やがては私がその神とやらを殺してみてもいい。要は土地の支配者である事が先か、超常の力が先か、神と呼ばれるまでになれば、世界を滅ぼす竜を掴めるというもの。


「なあ、今のこの土地の支配者ってのは誰になるんだ」


 その理屈で言えば。このニューケイオスにも神と呼ばれるにふさわしい存在が居るはずだ。人間なのか怪物なのか。やはり200年以上を生きる化け物には違いないと思うが。


「誰だって、一体どういう意味だ?そりゃ魔神様に決まっているだろう」


「魔神?」


「そう魔神様だ」


 魔神ね。

 まあそれは今は良い。

 その影も形もない娘とやらが重要だ


「実はここだけの話なんだが。ある筋から男爵が家庭教師を必要としているという話を聞いてね。それも魔術士のだ」


「ほう、それはまた横着な話だな」


「だろ。おかげで私の所まで話がやってきたわけだけど。やっぱりはぐれ魔術士見習いの娘ってのは実在すると思うんだよ」


 例えば、そうだな。

 下女やらメイドとして屋敷に仕えている女の幼子が魔術士の娘だったってのはどうだ。孤児の中から美人を見つけ、それを手ずから育てようとした。そうしたら、その娘がたぐいまれな魔術の才能で、それをものにするために密かに底辺魔術士に相談した。

 王道でありきたりな駄文だ。ないとは言えないが、そんな簡単に魔術士が生まれてくるなら、私がこんなにも苦労することはなかったはずだ。そんな事は魔術士のまの字を知らない私にも分かる。

 キーマン・ストルトム男爵の不貞の子。とある魔術士との逢瀬の後生まれた娘。魔術士の元で育てられていたが、貴族としての権力財力をを行使して取り上げ急に術士の力が必要となった。

 結果がすでに間抜けだが、魔術士として頭角を現している人を捕まえるのならともかく、無名、それも子供を魔術士から奪うだなんてリスクを冒す理由が分からない。魔術士がコミュニティーを大事にしているのなんて、傍から少し観察していれば猿でも分かる。魔術士単体を力で押さえるだけでも同等の力、つまりコストが必要だ。私が言うのだから間違いない。魔術士を生きたまま無理に従わせるのは事実上、一般人には不可能だ。何かしらの、切り札をキーマン・ストルトム男爵が手に入れたとしても、開拓魔術士協会に泣きつくのは馬鹿過ぎるというものだ。

 キーマン・ストルトム男爵は実はゲイのサディストで、配偶者の制止も聞かず、後継者となる息子以外、つまり自らの娘は不要らと地下室に監禁している。配偶者はただの社交的に必要な要素であり、愛する男娼が恨む正妻の娘を監禁するのだった。

 などと妄想してみたのだけれど、どれもあり得そうにない。私の想像力ではいまいち納得のいく答えが出せない。


「お前、絶対いつか不敬罪とか侮蔑罪で断頭されるぞ」


「実際どう思います?なんとかって名前の魔術士の女が私を騙すメリットも感じられない、男爵が相談を持ちかけた事、自体は事実じゃなかろうかと。私は詳しくないけれど、自分の家から魔術師が輩出されるというのは名誉なことでしょう」


 そう、この世界で魔術士は、多くを学者や英雄として尊敬される存在だ。見せびらかしこそすれ、隠しておく理由は思いつかない。なぜなら今回のように魔術士は部外者に対し排他的だからだ。

 人は時に不合理な行動をするものだが、その不合理を行う本人の中には、確かにロジックや原因がどんなに辻褄が合わなくともあるはずだ。それをなくしたものはもはや人ではない。

 必ず状況に当てはまる事実が何かあるはずだ。


「さあな、よく分かんねえけどよ。娘が白痴だったとか、醜聞を気にするほど醜かったとかそんなんじゃねえのか、俺だって子供が白痴だってんならよ、赤子のうちに殺すのもその子のためだと思うぜ」


 ひどい言いようだが、まあ飢えや惨たらしく獣の餌になるぐらいなら、赤子の内に殺すというはある種の慈悲なのやもしれない。生きていればなんとかなると言うには、この世界はあまりに無責任すぎる。私はそんな事ごめんだが、この世界は弱者にとても厳しく、そして。

 

「醜女はともかく白痴に魔術が使えるのかよ。そんなもの術じゃなくて超能力じゃないか」


「自分で言ってるだろう、良い言葉じゃないか超能力。気に入ったぜ。馬鹿なヤツほど何かデカいことをやらかすもんだろ。それが魔術だって事もあるだろうよ」

 

 それは困るね。醜女はともかく、天才型だと魔術を教えてもらうのは厳しい。

 

「あー、そういえばもし隠しておきたいものががあるのなら、あそこかもな。この町は下水道が地下にあるからな、うかつに地下室は掘れないんだよ。一歩間違ったらネズミの大群や動く死体、あるいはサハギンに襲われることになるからな」


「それで」


「あの家は四方を塀で囲われていて、正面にのみ門があるんだが、門から屋敷を挟んで、最も遠いところに別宅があるんだよ。小さなものなんだけどな。大工の知り合いが3年前ぐらいに、ボロ小屋がどうこうって言ってたぜ。たしか改装工事を頼まれたのは良いが、資材を入れるのだけでも大変だってな。酒をしこたま飲んで、嘆いていたから良く覚えている。客もまず入り込まず、周りからの視線もない。そこに行くには必ず警備の目に触れることになる。人一人を隠すのに丁度良い入れ物だとは思わないか」

 

 良いね。賛否感想お持ちしております。

 読み終わったら、星マークの評価をよろしくお願いします。何卒。

 

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