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エンシェント・ロマンズ  作者: スイッチ&ボーイ
第一幕 猫と美少年と伝説と
3/26

時は過ぎれど進展なし

ちょっと早く書けました。

現在、連休中なのでペースを上げれるかもしれません(ただし筆者はスマホ投稿なのでバッテリーという楔がありますけど)



ショコラが里を出て、待望の傭兵であるレオリアを雇ってから一ヶ月あまり。その間、彼は護衛としては実に有能な働きぶりを見せていた。


ぶっちゃけ、ショコラはレオリアの実力を軽く見ていた。本人は実力はあると豪語していたが、如何せんショコラより細い体つきでは説得力がない。

それでも曲がりなりにも傭兵ギルドに登録されてた以上、まったく腕に覚えがないとは言い切れないのだが……それでもし、モンスターなどと戦闘になって窮地に陥った際は華麗に助けてあげようと思っていた。


キャットピープルのショコラは身のこなしは猫並みであり、里ではナイフなどを使った狩りをしてたのもあって実力にはちょっと自信があった。歴戦という程ではないが、そこそこにやれる方だと思ってた--だが、雇ってから初めてエンカウントしたオークの群れとの戦いで、ショコラはレオリアの並外れた戦闘力をその目で拝んだのだ。


まず最初にオークというのはモンスターの中でもそれなりに強い部類に入る。人間の成人男性を上回る筋力、筋肉と脂肪に包まれた体故のタフネスさ、そして知性がない割にはそれなりに高い知能と単体でもなかなかに手強いが、厄介たらしめるのは少なくても三、四匹前後で行動し、多い時には十匹を越える数で活動してること。


つまり、もし戦うことになったら嫌でも集団戦をせねばならないことだ。

なまじ知能がある故に拙いが連携を取ってくることも厄介さに拍車を掛けており、オークの集団との戦いは手練れの冒険者や傭兵でも気を抜けない一戦になる。


そんなオークを五匹ほど相手にした戦闘で、レオリアは凄まじいとしか言えない戦闘の才を見せた。今でもあの戦いぶりをショコラは鮮明に思い出せる--始まりは彼を雇ってから二、三日経ったころ、ある街道で件のオーク五匹に遭遇した。


『オークが五匹、か』

『これはちょっと分が悪いかもね、ここは逃げようか? 幸い、オークは足は遅いし』

『いや、わざわざ逃げるなんて手間をかけることねぇよ……二分だけ待っててくれるか』

『え、二分って? あ、ちょっ!』


言うが早いか正面からオーク達に向かって駆け出したレオリアに、ショコラは腕を伸ばして無茶だと止めようとしたが、そこから始まった彼の戦いはまさに驚きの連続だった。


正面から向かってきたレオリアに先頭のオークが持っていた木製の棍棒を頭を潰そうと振り下ろす。真上から降ってきたそれをレオリアは体を少し半身にさせただけでかわした、あと数センチずれていたら頭が陥没していただろうタイミングで、見ていたショコラは肝を冷やした。

かわし終えた刹那にレオリアは重厚な手甲をつけた拳をオークの顎めがけて撃ち抜くように当てる--ゴシャッ!と生々しい音を上げて下顎が砕けたと思われるオークはそのまま仰向けに倒れた。


仲間が殺られて狼狽えたオーク達にもレオリアの必殺級の一撃が食らわされる。二匹目は厚い脂肪など無意味とばかりに土手っ腹に食らった正拳突きによってその場から吹っ飛んで木に激突して事切れる。

三匹目は鋭い回し蹴りを受けて、首が百八十度曲がって力なく崩れ落ちる。

立て続けに三匹のオークを倒し、漸く反撃に移った四匹目には飛び膝蹴りを浴びてトドメに脳天に手刀を食らわせた。

頑丈な頭蓋骨が手刀の形に歪み、口鼻から血を溢して地面に倒れた。


残る一匹は仲間の死体とレオリアの奮戦に完全に戦意を喪失、ドタドタと不恰好ながらもそこから逃げようと懸命に走ったが、レオリアが倒れたオークから拝借した棍棒をハンマー投げのように投げ飛ばし、それを背中に受けて体勢を崩したところを追い付いたレオリアが上からのドロップキックで背骨を粉砕してやり絶命する。



ここまでレオリアが宣言した通り、二分きっかりで終わった……その間、ショコラは予想外の実力を持つレオリアに純粋に驚くと同時に、意図的にやってはいないだろうが金髪をたなびかせて踊るような立ち回りに完全に魅せられていた。


『言った通り、二分で終わらせたぜ。どうだよ、俺はちゃんと強いって分かってくれて--』

『レオくん、さいこ~~~っ♪ 可愛い上に強いなんてどんだけ私を夢中にさせちゃうつもりなのかな、このこの~♪』

『うわっ!? ちょっ、やめっ……ほ、頬擦りなんかしてくんじゃねぇよっ、そ、それに当たってるって!』


絶賛してくるショコラが胸を押し付けてくるもんなので、赤面するレオリアがますます可愛く見えたことにより、彼女の抱擁はちょっと長く続いた……最終的には拳骨をお見舞いすることで、レオリアはやっとこさ解放された。

これより以降は、戦闘の際はレオリアが積極的に前に出てショコラはサポート役に徹することによって、大きな怪我を負うこともなく旅を続けてこられたのだった。




そして今、ショコラとレオリアの二人はとある遺跡の前までやって来ていた。



ここはショコラの故郷でキャットピープル族の集落がある国……エンドア王国内で調べた限りでは最後にあたる古代遺跡である。

これまでも似たような遺跡をレオリアと共に調べてきたが、いずれも”永遠なる富”に繋がる有力な手がかりは得られず、空振りばかりであった。


「さーてっ、今度こそ何かしらの手がかりを掴まなくっちゃね。レオくんも張り切って探してよ」

「へいへい」

「んも~、やる気があるのかなレオくんは? そんなつまんなさそうな顔してちゃ、こっちのテンションも下がっちゃうじゃん」

「そうは言われてもなぁ……」


今度こそはと意気込むショコラに対して、レオリアの方は期待半分といった表情である。

今まで、王国の各地にある遺跡を聞き込みなどして探して回ってきたがどれもこれもろくな手がかりが見つからなかったので、どうせこの遺跡もハズレだろうと半ば思っているのだ。

ショコラは「最後の最後には奇跡の逆転劇があるんだよ!」と望みを捨ててなかったが(往生際が悪いともいう)



そして意気揚々と遺跡内部に入っていったが--結果は惨敗の一言であった。



「なんて……なんてこったい。ここまでもが収穫なしに終わってしまうだなんて……これは現実? それとも私の悪い夢?」

「遺憾ながら現実だよ」


地面に手足をつけてがっくり項垂れるショコラに淡々と事実を述べるレオリア……ご覧の通り、一縷の希望を懸けていた彼女だったが結果は無惨な有り様でこの遺跡にもなんら手がかりらしいものは皆無であった。

こういう結果はレオリアはあらかじめ予期してたが、ショコラは見ている方が気の毒に思ってしまうぐらいに落ち込んでいる。


「うぅ、もう駄目だよ、鋼のメンタルを誇る私でもこれは堪えられない……という訳で、レオくん、君の柔らかすべすべお肌の膝枕で私を癒してっ!」

「そうか、けど嫌だから代わりにこれでも使っとけよ」

「おぉ、これはザラザラした手触りに仄かに香る樹木が何ともいえないリラクゼーション効果を出して……って、丸太じゃんっ!」


差し出された丸太を受け取って律儀にノリツッコミを披露するショコラ。思ってたより落ち込んではなかったようだ。


「酷いよ、レオくんっ。傷心を苛んでる私にこんな仕打ちはあんまりだよっ! 君には人情というものが無いのっ?」

「悪いが、あんたの見え見えのスケベ心に応えてやるほど俺は器用じゃないんで。そんで? これからどうするつもりなんだよ、聞いてた限りじゃここがエンドア王国にある中で最後の遺跡だったんだろ?」

「う~ん、私もまさか全部の全部がスカに終わるとは予想してなくってねぇ。やっぱり、この古文書を完全に解き明かす必要があるのかなぁ」


荷物の中から後生大事にしている古文書を取り出し、中身を確認するショコラ。ここまで古文書の解読作業をほぼ独学でやってきたが、やはりそれ専門の学がない彼女では解読にも限界はあった。

こうなればこういったことに精通している知識人を頼る他はないかと思案するが、生憎と最近まで故郷の集落で生活してたショコラにはそういった宛はなかった。


そこで、ショコラと出会うまでは幾つかの国を経由してきたというレオリアにそういった心当たりがないかどうかを訪ねる。


「そうだなぁ……あるっちゃあるぜ、そういったのに詳しそうなのが居そうなとこ」

「どこなんだい、そこは?」

「貿易都市”トゥルードラン”ってとこだ。隣の国”ターレン”にある貿易業が盛んな都市だよ。ちょっと前に小耳に挟んだ程度だけど、その都市には有名な考古学者が住んでるって聞いたことがある」

「おお、考古学者とはうってつけの人じゃないか。でも隣国に行くのかぁ……ちょっとばかし旅費が心配かな」


財布の中身を確認して迷うショコラ。親から貰った道中に必要な分と小遣い分を合わせて二万ゴールドほどあった手持ちの金は半分ぐらいに減っている。たまに遭遇したモンスターの素材を商業ギルドなどに卸して工面してはいるが宿代や食費、それにレオリアへの雇用料なんかの出費もあって支出の方が若干多いがために目減りしていってるのだ。


他国への移動の際は公共馬車などを使えば幾分安全ではあるが、その分だけ馬車代などの費用が嵩む……なので、国境を越えるまでは徒歩で行き、そこから公共馬車を使って”トゥルードラン”まで行くこととなった。





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