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エンシェント・ロマンズ  作者: スイッチ&ボーイ
第二幕 巨樹と狩人と刺客と
23/26

目指すは巨樹



二つ目となるクリスタルの所在ーーこの国の南方地域に当たり、国境沿いに広がるジャングル。その中心部にある巨樹〝エターナル・ツリー〟にそのクリスタルがあるらしいというのが分かったショコラ達は、トゥルードゥランで宿を取って休息をし、食糧等の調達を終えてから三日後には街を出発した。


街を出る際にはフランクリンからの見送りもあった。先のアルクスラ平原で戦闘があったこともあり、危険な目に逢ったら逃げることも視野に入れておいてくれとショコラに念を押していた。まだ知人程度でしかないが、彼としてもせっかく共通の夢を語れる人が帰れぬ者になるというのは避けたいことでもあったのだ。


もちろん、ショコラもフランクリンの心情は察したので「また見つけたら無事に報せに帰ってきますから」と嘘偽りない返事をした。

そして一行は南方のジャングルに向かって進み始める。



「南方地域まで馬車と徒歩を併用して、大体三週間は掛かりそうかぁ。結構長旅になるね」

「遠いね~、あたしとしては馬車でのんびりゆったり行きたいところだけど~。そういう訳にもいかないよね~」

「まぁな。流石にずっと馬車だと旅費も掛かるし、削れるところは削っていかねぇと金欠になるからな」



という訳で、今の彼女達は手持ちの懐事情が潤沢でないのもあって徒歩で移動してる途中である。またその内に適当なモンスターを狩って、素材をギルドに売り払う必要もあるだろうが戦闘要員にエルフォルトも居てるので差程に苦労はしないだろう。


その中でショコラの出で立ちはこれまでとは少し異なっていた。探検家のようにラフな服装から軽装備ではあるが防具などを身に付けている。

これは行き先となるジャングルには多数のモンスターだけでなく〝ジェロディア〟なる部族もいるという話なので、ショコラはレオリアからの薦めもあって武器屋で肩当てや革鎧などを購入していたのだ。

神殿で得体の知れないモンスターと戦う羽目にもなったことから、レオリアは殊更に気にしていたのだ。よって軽戦士風という装いになったが、あくまでも彼女は戦闘になっても撹乱、もしくは援護役という立ち位置なのは変わらない。


最初はそういう扱いにちょっと不満を抱きもしていたが、最近ではショコラも自分の為すべきことを分かってもきたのであからさまな文句などは言わなくなってきた。


「ちょっと無骨な感じだけど、レオくんが選んでくれたし逆にテンション上がるよ。ありがとね、レオくん♪」

「まぁ、無いよりはマシってぐらいだけど少しでもあんたの身の危険のリスクは減らしとかないとダメだしな」

「レオくん、呼び方。あんなに言ったのにもう忘れたの?」

「うっ……」


ズイッと詰め寄られてレオリアは呻いた。


何がと言うと、昨日の買い出し中にショコラが不満を言い始めたのが始まりで「エルフォルトはちゃんと名前で呼ぶのに私だけ呼ばれたことがない」とレオリアに食って掛かったのだ。

実際、レオリアからちゃんと呼ばれたことがなくショコラは前々から内心で不満に思っていたことである。

これは下手に名前呼びしたら、調子づくかますます迫られかねないと思ったレオリアが意図的にしてこなかったのだ。実際、出会った当初からぐいぐいアプローチしてきたので英断だったろうがそれを突っぱねるや否やショコラは恥も外聞もかなぐり捨てた。


『やだやだやだーーっ! エルフォルトだけ呼ぶだなんて贔屓だよ贔屓っ、エルフォ贔屓だよっ! もうストライキ敢行しちゃうんだからねっ、呼んでくれなきゃここから動いてあげないんだからぁっ!』


と、往来のど真ん中で道に寝っ転び駄々っ子のようにじたばたとやりだし、形振り構わぬその所業にレオリアは周囲の通行人からの痛い視線も相まって遂に屈服してしまい、今後はちゃんと名前で呼ぶようにと確約を結ばれてしまった訳である(この際、一緒に居たエルフォルトは全力で他人のフリをしつつ事の成り行きを見て面白がってた)


……当然ながらこのごり押しの代償として、後でレオリアからチョークスリーパーをかけられたが失神してもその表情は大事をやり遂げて悔いはないといった表情だったそうな。



「わ、忘れてねぇよ、ショ、ショコラ……」


いざ言うと気恥ずかしさがあって、どもりながらだったがショコラはこれ以上ない幸せというように満面の笑みだった。


「それはそうと今度はジャングルってことだけど、私は元々森育ちだからそういう環境には慣れてるけど二人はどう?」

「俺はまぁまぁってところだけど、流石に全く人の手が入ってないとこを歩くのは初めてだから少し不安はある」

「あたしは全然かな~、せいぜい森林浴目的で歩いたことがあるぐらい~」

「あ、そうなんだ。レオくんはあちこち巡ってたって聞いてたから慣れてるもんだって思ってたけど」

「あくまでも俺は傭兵なんだ。仕事でも無かったら未開のジャングルなんてとこに好き好んで行かねぇよ」


冒険者なら素材の収集などで依頼関係なしにそういう場所に赴く機会は多いだろうが、傭兵をしているレオリアにはそういうことはあまり無かった。

エルフォルトも大体同じ理由なので、現状では森を比較的歩き慣れてるのはショコラぐらいである。


それもあってか「歩きがたさを感じたら私にバンバン頼ってね、レオくん♪ 肩車でもお姫様抱っこでもしてあげるから♪」とか言ってきたが、もちろんのことレオリアは即座に世話をかけることはないから安心しろと切って捨てた。まぁいつものことである。



その後は徒歩と馬車移動を繰り返し、中間地点となる街までは滞りなく旅は進んだ。




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