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オリュンポスの聖なる炎  作者: 絵之空抱月
一章『戦いの始まり』
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6話「見えざる敵を倒す者たち」


 土曜の朝でも寝坊することなく起きた3人が朝食を食べながらテレビの電源を入れると聞き逃せないニュースが流れてきた。

 『超常現象!?老朽化!?街灯転倒!』

 右上には勢いのままに考えたような見出しが出ている。ひと目見るだけで街灯が倒れたのだけは分かる。3人が気になったのは超常現象の4文字。

 老朽化は妥当な見出し。だが、超常現象は普通のニュースで使われるのは珍しかった。使われてもせいぜい未確認飛行物体を見た等のニュースだろう。

 見ていた勇気が口を開く。


 「まさか…これって…?」

 「インタビューです。聞いてみましょう」

 

 画面の向こうでは高校生カップルがマイクを突きつけられている。どちらも街灯が倒れる現場に居合わせていたようで。

 

 『あの時は本当にびっくりした。2人で歩いてたら目の前でいきなり街灯が倒れたんだよ!なぁ!?』

 

 男の言葉に彼女であろう人物も頷いている。表情から見て彼氏と同じ驚きより恐怖が勝っているようだ。

 続いてカメラが切り替わり、倒れた街灯が映し出される。

 街灯は明らかに刃物で切られたような綺麗な切り口があった。子どもが見ても老朽化だとは思わないほどの綺麗な切り口だ。

 突然倒れた街灯。

 刃物で切られたような切り口。

 

 「間違いなく兵士の仕業だな」

 「刃物と言っても普通の人では街灯をスッパリ切ることは不可能ですからね…」

 「どうしてそんなことを…」

 「腹いせか俺たちを誘き出そうとしてるかだな。食べ終わったら見回り行こうぜ」

 

 ヘスティアだけを考えれば家でじっとしているのが安全策と言える。

 しかし、2人の所為で関係の無い民衆が危険に晒されるのは龍二にとって見過ごせない事態である。

 

 「うん。行こう」

 

 勇気は二つ返事で承諾した。

 そうなると扱いに困るのがヘスティアだ。

 

 「一緒に居ても足手まといになってしまいますから私はお留守番したいところですが…どうでしょう?」

 「僕たちを狙ってても結局はティアが本命だから…1人にするのは危険なのかな」

 「俺らと違って殺される可能性は無いだろうから連れて行くか。俺もそりゃ守るけど誰より勇気、お前が全身全霊で守れ」

 

 ヘスティアは勇気にくっ付いて上目遣いで甘える。

 

 「絶対に守ってくださいね?勇気様っ!」

 「う…うん…任せて…!」

 

 ヘスティアの人知を超えた可愛さに打ち拉がれながら勇気はなんとか返事をした。

 龍二は2人の微笑ましいやり取りを見て呆れるしかない。

 一行は勇気の学校の近くにバイクを停めて、事件のあった街中を歩き出す。

 休日と、朝のニュースの影響で近辺には人が多く集まっていた。特になんのイベントが無くとも人が多い場所なのに今は更に数を増している。

 面白半分で人が増えてることが龍二は気に食わない。

 

 「なんで危険な場所にわざわざ足を運ぶんだよ…ったく…野次馬根性も大概にしろ」

 「危険の正体が分からないのが更に人を集めてるんだろうね」

 「野次馬は基本スマホ構えてるだけでなんもしねぇ奴がいるからな。邪魔なだけだから二次被害避ける為にもその場から離れるのが吉なんだよ」

 「ですが兵士の姿は見えませんね。ニュースからそれほど時間は経っていませんよね?」

 「確かに。なんでだ?」

 

 普通の犯罪者と同じように兵士が逃げる必要は無い。どれだけ悪事を働いて東京がパニックに陥っても視認出来ないのだから。

 朝の事件が勇気たちを誘き出すものなら待ち伏せされているのも覚悟していた。

 

 「あれ…兵士じゃない?」

 

 路地の奥に青い鎧を装着した足が見えたような気がした勇気がその方向を指差す。

 

 「行ってみるぞ」

 

 龍二が先陣を切って、その後ろを勇気とヘスティアが続く。

 人があまり通らないような路地裏には3人の兵士が倒れていた。頑丈な鎧はハンマーで何度も打ち付けられたかの如くあらゆる場所がひしゃげている。

 

 「死んでるな」

 「この凹み、人の拳に見えない?」

 「んなわけ……マジか…マジだわ…」

 

 鎧の凹みは人の拳で潰されたような跡があった。そんなことが出来るのかと龍二が唖然としている。

 

 「つまり兵士は素手の人に殴り倒されたのですね」

 「いやちょっと待て。この鎧めちゃくちゃ硬いからな?素手で跡が付くなんて馬鹿力じゃ済まねぇぞ」

 「でも龍二が鬼だってこと考えるとあり得ない話ではなさそうじゃない?」

 「英雄の線で行くとオリオンか…ヘラクレス!ヘラクレスを味方に出来れば百人力ですよ!」

 「味方になればな」

 

 喜ぶヘスティア。しかし、龍二は違う。

 兵士と対立している馬鹿力を持った存在が決して味方とは限らない。ゼウス陣営の敵であり、龍二たちトロイの木馬の敵でもある可能性も考えられるのだ。

 パワーには自信がある龍二も流石に兵士の鎧をここまで押し潰せたことはない。

 (敵だったらオデュッセウスに相談しよう…)

 未知の存在に恐怖を覚えた龍二は智将に相談を決心した。

 

 

 「「「うわああああああああああ!」」」

 


 「「「!?」」」

 

 兵士の死体を調べていた3人の耳に悲鳴が飛び込んでくる。しかも1人だけじゃなく大勢の悲鳴だ。

 3人が路地から顔を出すと人々が雪崩のように逃げ惑っていた。

 悲鳴と同時にガラスが割れる音や破壊音が聞こえてくる。人々は音のする方向から全力で遠ざかっている。

 

 「話を聞ける状態じゃなさそう」

 「ならさっさと行くぞ!」

 

 龍二は勇気とヘスティアを置き去りにして1人で走って行く。

 

 「私たちも行きましょう」

 「うん…っと!?」

 

 路地から飛び出した勇気は逃げてきた1人とぶつかりそうになる。なんとかお互いに回避して直撃は避けた。

 

 「危ねぇだろうが…って勇気じゃんか!?」

 「唯人!?なんでここに……今日休日か」

 「そんなこと話してる場合じゃねぇんだ!ヤベェんだよ!なんかいきなりガラス割れたりしててもうパニック状態だ!逃げるぞ!」

 「ごめん」


 慌てて逃走を促す唯人に勇気は頭を下げる。

 唯人はその謝罪に戸惑う。危険だと言ってるのに勇気はどうするつもりなのか。


 「僕は行かなきゃいけないから!唯人は早く逃げて!」


 詳しい説明もせずに勇気はそれだけ行って龍二の後を追う。見えないと知っているはずのヘスティアも唯人に頭を下げて勇気を追いかける。

 呼び止めるには遅かった。

 

 「あっ…おい!なんだ勇気の奴…でもやる気に満ち溢れてたからいっか!」

 

 唯人の知る勇気はバイク以外に大した興味も持たずに淡々と時間を無駄に過ごしているイメージが強かった。両親が行方不明になって財産目当てに近寄ってくる人が多かった時期もあるのでしょうがないと言えばしょうがないのだが。

 つい最近になって唯人と話している時以外も明るくなった。唯人にはそれが嬉しい。危険に向かって行った理由は謎のままだが勇気なら大丈夫だろうと見送ることにしたのであった。

 

 

 先駆けて到着した龍二が状況を把握する。

 ハンマーを持ったレムリア兵士と槍を持ったレムリア兵士が暴れていた。自分たちは災害だと言わんばかりの暴れっぷりに龍二は強い憤りを覚える。

 姿が見えないのを良いことに縦横無尽に破壊のかぎりをし尽くしている。既に周りに人の姿は見当たらない。

 これなら当分人が来ることはない。そう確信した龍二は兵士に聞こえるよう声を張り上げる。

 

 「おいテメェら!何してやがんだ!!」

 

 理由など分かり切っている。

 ヘスティアの協力者の2人を誘き出す為だ。

 それでも龍二は声を出さずにはいられなかった。

 兵士たちは龍二を見て笑みを浮かべる。

 

 「やっぱり出てきたぞ。お人好しの人間だ!構えろ!」

 「あぁ…やっぱりか…」

 

 怒りのままに声を上げた龍二はやはり、聞いて良かったと思い直した。

 何の罪もない人々を恐怖に貶めた事実。叩き潰す理由には十分だった。

 

 「俺に喧嘩売ったんだ…きっちり支払ってやろうじゃねぇか!」

 

 龍二は最も近くにいたハンマー兵士に詰め寄り、振り上げられたハンマーを持つ右手を左手で鷲掴み。

 武器を封じて透かさず兵士の股間に膝蹴りを入れる。

 

 「んぬぉっ…!」

 

 男にしかわからない痛みで悶絶する兵士を近寄ってきていた槍兵に投げ飛ばす。

 仲間の兵士でも鎧を着ているのだから当たったらひとたまりもない。飛んでくる兵士を目で追って避ける。

 そう、仲間の兵士を目で追ってしまった。

 回避が終わった頃には視界に龍二の姿はない。

 龍二は槍兵の懐に潜り込み——掌底で顎を打ち付けた。

 先日の対策をしているのか兵士たちは顔を覆い隠す兜を装備している。軽くて頑丈な鎧は斬撃も打撃も防ぐ。

 しかし、龍二が狙ったのは顎。

 外へのダメージがないだけで衝撃は兵士の頭部に伝播する。

 

 「舐めてんじゃねぇぞ!」

 

 ふらつく槍兵を容赦無く蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされた槍兵はガチャガチャと騒がしい音を掻き鳴らしながらアスファルトを傷付けた。

 この短時間で一気に2人だ。

 昨日、2人が撃退されたと聞いた時は偶然で、取るに足らないと考えていた兵士たちの認識が反転する。

 

 

 こいつはヤバい。



 「なんなんだ…お前は…」


 兵士の1人が口にした。

 龍二はオデュッセウスから貰った平べったい布の紐で宙に円を描き、その円の中に右手を通す。何もないはずの空中、円から引き抜いた右手には木刀が握られていた。

 引力に従ったままの前髪を左手で掻き上げる。

 額には真っ赤に輝く鬼の角。真っ黒な髪が角の朱を一層際立てている。

 作り物ではない。

 兵士たちは瞬時に理解した。

 かつて、遠い遠い昔の話。ジパングと呼ばれる国に角を生やした強靭な種族が存在していたのを聞いたことがある。

 冥府の獄卒が地上に現れた時の名を人々は『鬼』と呼んだ。

 

 「俺は少しだけ強くて少しだけ正義感があるちっぽけな人間だ」

 「そんな人間がいるわけ——」

 

 戦闘中だと言うのに口が減らない兵士の頭を唐竹割りの要領で叩く。

 木刀である故に斬れないが攻撃としては申し分ない。

 

 「御託は良い。俺が目当てならどっからでもかかってこいよ!全員ぶっ潰してやっからよぉ!」

 

 鍛冶の神が作り出した鎧と武器を持ったレムリア兵士に木刀とパワーだけで龍二が立ち向かう。迫り来る槍の雨を潜り抜け、一撃必殺のハンマーに木刀で力勝負を挑み、勝ち続ける。

 鞘を失くした抜き身の刀は収まるところを知らなかった。

 


 同刻、大通りで大暴れしている龍二から離れた細い路地で勇気とヘスティアが槍兵と対峙していた。

 3人が横並びになるのがやっとなくらい狭い道を選んだのは大量の兵士から少なくとも両サイドに陣取られ、囲まれるのを避ける為。龍二のように絶対的な力がない勇気なりの工夫だ。

 勇気は深呼吸しながら心を落ち着かせる。

 (ふぅ…大丈夫…ティアを助けるんだ…)

 大丈夫。と頭の中で何度も唱えて全身にまとわりつく恐怖の支配から抜け出した。

 勇気は過去に一度、喧嘩をしたことがある。しかし、今は喧嘩とは違う。下手打てば死ぬ殺し合い。


 「死ね!人間!」

 

 レムリア兵士は槍を問答無用で勇気に突き出す。

 青緑に輝く一筋の光が勇気には見える。目で追える。

 胴体に向かって一直線に向かってくる槍を勇気は体の向きを変えて避ける。避けながら槍の持ち手を掴んで一瞬引っ張り——押し込む。

 釣り合っていた力関係が槍兵の方向に流れる。

 

 「おぉ!?」

 「「うぉ!大丈夫か!?」」


 バランスを崩した槍兵を両サイドにいた仲間の兵士が支える。

 ハルバードの時は離した手。今回、勇気は槍から手を離していない。緩んだ手から槍を奪い、走り出す。


 「ティア!」

 「はい!」

 「追いかけろ!逃すな!」


 物陰に隠れていたヘスティアを誘って路地の入り組んだ路地を進む。やがて勇気は3階建ての小さなビルを見つける。

 後ろからは兵士が追いかけてくる音が聞こえてくる。

 そのビルを地面から上に見てみると貯水タンクが見える。屋上にスペースがありそうで高過ぎないビル。


 「ここなら大丈夫かも。ちょっとごめんね」

 「うわわ…!」


 左腕で小さなヘスティアを抱えた勇気は目的の建物とは反対側にあるビルの壁に向かって飛んだ。

 そして壁に向かって右手の槍を突き刺し、更に壁を蹴って反対側のビルの壁にまたもや槍を突き刺す。何度か壁キックを繰り返して屋上に逃げ延びる。

 人間離れした行動を目の前で見せられた兵士たちの足は止まり、お口あんぐり。


 「…はっ!外階段がある!早く追いかけるのよ!」


 正気に戻った女兵士が呆然とする仲間の意識を大声で呼び戻す。自分の意識を飲み込んだ兵士たちは意識を逃さぬよう口を閉じて勇気を追いかけた。

 屋上には既に勇気とヘスティアがいる。


 「何故わざわざ手間をかけてここに?」

 「正攻法じゃあの数は大変そうだから」


 ここでどうやって兵士を倒すのか。

 ヘスティアは続けて聞く。


 「それと…勇気様は槍を使えるのですか?」

 「使うのも触るのも今日が初めて。お守り程度だけどなんかしっくり来るから大丈夫だと思う」

 「えぇ…」

 

 根拠のない自信を抱える勇気に不安を感じながらも兵士が追いついたのを見たヘスティアは邪魔にならない場所に身を潜める。

 女兵士を筆頭に6人の兵士が勇気に詰め寄ってくる。

 たった独りの勇気に兵士たちはゆっくりと距離を縮めていた。勇気が曲がりなりにも奪った槍を構えているからだ。

 それに気付いた勇気は喋り出す。


 「え!僕1人に対してそんなに警戒してるの!?嘘でしょ?」


 勇気は兵士たちを煽った。

 (うーわ…勇気様そんな手も使うんですね…意外です…)

 火を見るよりも明らかな挑発。

 ヘスティアはこんな見え見えな釣り針に引っかからないだろうと思ったのだが。

 

 「なんだと…!人間如きが!」

 「後悔させてやる…!」

 「地獄を見せてやりなさい!」


 兵士たちは乗っかった。

 (えぇ!?嘘ですよね!?)

 それもそのはず、レムリア兵士は神と共に生活している人間で少なからず自分たちを人間より高い位置にいる存在と自負している。

 隊長の女兵士が勇気に急接近。

 ハンマーを振りかざして走ってくる女兵士の足を勇気は槍を使って掬い上げた。

 勇気の釣り針に引っかかった所為で勢いが増していた女兵士の体は地面と向き合う形になり、前進する体は止められない。

 

 「あっ…」


 女兵士の目に飛び込んできたのは離れた地面。飛べない人間は迫り来る地面に対処など出来ず、衝突した。

 鎧を着ている兵士が高いビルから地面に落下した音は勇気たちの場所まで反響する。

 

 「よくも隊長をおおおお!」

 「うぉおおおおお!」


 一瞬の硬直の後、直ぐに怒りで我を失った槍兵2人が襲いかかる。

 勇気の真後ろに足場は無い。

 前方も兵士2人で塞がれ、更にその背後には残った3人の兵士。

 勇気は自分の真ん前の地面に槍を突き刺し、棒高跳びに似た要領で2人の兵士の頭上を飛び越える。

 立場は逆転。

 槍を大きく横に振って兵士2人をビルの屋上から押し出した。

 (後…3人…!)

 しかし、残りの3人は勇気を取り囲む。際からも離れて突き落とし戦法は使えない。 

 ハンマーの兵士が2人と槍兵1人。

 

 「「「はぁっ!!!」」」

 

 心臓を狙う槍の一閃を。

 粉々に砕こうとする2振りのハンマーを。

 勇気は死の物狂いで防ぎ——躱す。

 攻撃をいなし続けていても状況は好転しない。良いタイミングで切り上げなければ1人の勇気が負けるだろう。

 勇気の力で鎧を貫けるのか、分からない。

 槍を持ったことも、こんな命のやり取りをするのも初めてだ。

 でも、勇気は謎の自信を抱えている。

 もしかしたら鎧を貫けるのでは?なんて曖昧なものではなく、絶対に貫き、串刺しに出来る自信が湧いていた。

 勇気は疑いもせずに自分を信じて槍を右手で突き出した。

 その槍は槍兵の胴体を捉え、鎧ごと体を貫通した。

 勇気の想像よりもあっさりと鎧は破壊されたが、手に伝わる『人を刺した感触』は気持ちの良いものではなかった。

 後2人残っているのでそんな感傷に浸っている暇はなく、勇気は槍から手を離す。

 ハンマーの攻撃を避けた勇気は1人を押し込むように蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされた兵士はもう1人の兵士と衝突。

 

 「うおおおおお!」

 「や、やめろ!?」


 2人まとめてタックルを仕掛ける勇気を兵士は言葉で制止を訴える。

 兵士に耳を貸さずに勇気は最後の2人をビルから突き落とした。

 

 「ふぅ…なんとかなった…?」

 「勇気様!逃げましょう!」

 「え?どう言うこと?」

 「神に近しい存在が来ているのを感じます!龍二様と合流を…」

 「もしかして…あれ?」


 勇気が見たのは身長が3m程の大柄な怪物。人間ではないと分かるのはその顔。

 髪の毛は生えておらず、口も鼻も耳も人間と変わらない。唯一違うのは目だ。

 ヘスティアが体を震わせながら名を口にした。


 「キュクロプス……」

 

 真ん中に付いた1つしかない丸い目玉が勇気とヘスティアを見つめていた。

 

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