とりあえず落ち着こう
さぁ、どうしようもなく突っ立っているうちに、なんと1時間も経ちました。
はい。もちろん女神様も神様も現れていません。
クロ探しのためにスマホと餌とリードだけは持ち歩いていたのだが、それだけはここに来ても離さずに持っていた。
スマホがあるから時間は分かるが電波がないから誰にも連絡は取れないけどね。
それに充電がなくなったら時間すら分からなくなることは間違いない。まだ90%以上はあるが電源は一応切っておくか。
とりあえず疲れたので座ろう。木すらない草原だからそのまま座るしかない。ジーパンが汚れるかもしれないが仕方ないか。
「よっこいしょ」
昔のような無尽蔵の体力のカケラもないな。
そりゃそうか。あと3ヶ月で俺ももう29歳だ。
彼女もなく、都内のペット可のアパートでクロとの素朴な2人?暮らし。仕事で稼いだ金はクロに使い、そして仕事に疲れた俺をクロが癒してくれる。
そんなかけがえのない存在だったんだ。
あぁ、クロ。お前、どこに行っちまったんだ。
こんな何もない場所に放り出されているより、俺にはそれが辛い…。
「クロを見つけたい」
そう呟いた、その時だった。
主人公は28歳独身、サラリーマン。彼女なし。
身長175cm、細身。ぼさっとした黒髪で童顔。
黙っていれば大学生くらいに見える。
仕事はWEBデザイナー。残業が多くお疲れ気味です。
休日はひたすらクロちゃんを愛でてます。
クロちゃんだけが生き甲斐です。