0530 逆転の発想で家出美少女探し
「ヴィーが今日は家に戻らないと書置きを・・・何か心当たりはありませんか?」
3月11日の土曜日の夕食の席。
護衛のピーナと一緒に教会で免罪符を買ってから帰宅すると、先に帰って食事の支度をしてもらったエマから、ヴィンヴィンの家出(仮)を伝えられた。
原因は生理にあると思うんだが、そこまでするものかな。
俺は男だし、童貞だからよく分からんが、ツンドラ女王様が理由を書いてないということは、みんなに知られたくないってことだろう。
「事情は分からないけど、ヴィンヴィンさんなら心配いらないよ」
「そうだと良いのですが・・・ピーナは何か知りませんか?」
「昨夜、そこのエロ助とひと悶着あったようです」
ピー助!
やられた。昼間の仕返しのつもりだなこれは。
だが、この後でさらに倍返しにしてやるからな。ククク
「それは大袈裟ですよ。部屋にお邪魔したら体調が優れないということだったので素直にお暇しただけですから」
「体調が悪いならワタクシに相談すれば良いのに・・・やはり心配です」
「本当に大丈夫だってば。病気ってわけじゃないから」
生理って俺から言うのもなぁ。ここはお茶を濁すしかない。
「エマさん心配しすぎ~、ヴィヴィっちは本当に病気じゃないから~♪」ニタァ
あっ、このビッチ気付いてやがったんだ!
それなのに、昨夜は知らんぷりして俺をからかって遊んでたのかぁ。
「そうですヨ、ヴィーの身体がヘンなのはお婿さんの子種の魔力が異常だっただけデス。変態の子は変態なのデス。あ、そういう意味では今後が心配ですネ」
黙ってローラ!
確かにそのせいでヴィンヴィンの髪質や肌質が変わったらしいが、今回の件とは関係ないんだよ。生理なんだよ生理。あぁ、もう言っちゃおうかなぁ。
「そうでしたか・・・」
ほらー、エマが青肌美少女と俺のイチャコラを想像して凹んだじゃないか。
ここは未来の夫として嫁の気分を回復してやらナイト。
俺は足元に置いていたバッグから封筒を取り出し中から書類を引き抜いた。
「エマ、これを見てよ」
「これは・・・贖宥状(免罪符)ですか!?」
「うん、僕たちの妊活のために買ってきたんだ」
「まぁ」ポッ
「これさえあれば、婚前交渉どころか婚前出産もOKだってさ」
「その通りですわぁ」
魔乳司祭が俺の手に柔らかい手を置いて熱い眼差しを向けてくる。
よしっ、すっかり機嫌が直ってまたラブラブモードになってくれたぞ。
「お兄ちゃん、私もいつでもOKだからね」ポッ
「レイラちゃんは三等昇格試験で大事な時だから、その後でね」
「うん、直ぐに昇格するから待っててね」
ふふふ、天然ロリピュアもお年頃だな。おませさん。
「イクっちも早くエマさん孕ませないとね~♪」ニヤニヤ
「分かってますよ。後がつかえていますからね」
エマと見つめ合い手を握り合いながら幸せな未来を想い描いた。
「随分とお楽しみだったようだな」ゴゴゴ
薄幸の退魔忍の部屋に入って2秒ですごまれた。
「また盗み聞きしてたのか。趣味が悪いぞ」
「この馬鹿者、真下であれだけ大きな声を上げれば嫌でも聞こえてくる」
「それは寂しい思いをさせてしまったな」
「す、するかっ!」アタフタ
あれれ~、冗談だったのにこの慌てぶり、マジでしたかぁ。
「期待に応えてイチャコラしてやりたいところだが、先に話がある」
「だ、誰が何を期待していたというのだ。ふざけるな!」
ふいに立ち上がったピーナは、部屋にある簡易キッチンに行き茶を淹れ始めた。何だかんだ言いながら俺に帰ってほしくはないようだ。
「話とはなんだ?」
女忍者はテーブルに茶と菓子を置くなり照れ隠しのように訊いてきた。
「今、ギルドで噂になってることだ」
「どんな噂だ?」
パーティーの情報収集担当のお前が知らないはずがないだろ。
「もちろん、俺とレイラちゃんのことだよ」
二人が結婚する噂が流れてて、俺はヒモ、レイラちゃんは馬鹿扱いだ。
「一体何事かと思えば、そんなことか」
「いや、ほっとくわけにいかんだろ」
「雑魚どもに何を言われようがパーティーに影響はない。ギルドのマスターはお前が抑えているし、幹部たちはエマ様を崇めている。何も問題は無い」
「雑魚を笑うものは雑魚に泣くぞ」
「フン、偉そうなことを。で、何が言いたいのだ?」
「俺たちはエマのためにウェラウニのギルドを弱小から強豪へ改革せねばならん。その雑魚たちの中から精鋭を育てなきゃならんのだ」
「ふむ、お前たちが馬鹿にされていては誰も特訓に付いてこないか」
「そうだ。それにエマも直ぐに孕むだろうからギルドで噂になる。そうなったら今度はエマが馬鹿だ何だと中傷されるが、それで良いのか?」
バリーン!
うわ、握り潰しやがった。
それ薄いワイングラスじゃなくて焼き物の湯呑みだぞ。
とんでもない握力してやがる。これで俺の肉棒をやられたら・・・ゴクリ
「ど、どうやら、事態の深刻さを理解してくれたようだな」
「何を落ち着いている!? 全て貴様が不甲斐ないせいなんだぞ!」
「それは十分に理解している。だから計画を伝えに来たんじゃないか」
「えーい、キリキリ話せ。早くしろ」
上体をずいっと詰め寄せて夕日の様な赤い目で睨まれる。
眉を吊り上げた真剣な顔も美人だ。さすが俺の許嫁。
「俺は身分だけでなく、冒険者としても人の上に立つ」
「お前自身で依頼を成功させて上級冒険師になると言うのか?」
「そのつもりだ」
「戦闘力どころか体力もゼロの貴様にできるのかぁ?」ゴゴゴ
「その点はリサーチ済みだ。俺でも達成できるクエストはある」
「ほぉ、聞かせてもらおうじゃないかぁ」ゴゴゴゴゴ
おぉぅ、下手なことを言ったら殺されそうな雰囲気だな。
「美少女、もとい、田舎少女専門の人探しをやる!」
「失踪者の捜索か・・・だが、都会で一人の女を見つけるのは、干し草の中から一本の針を探すようなものだ。お前にはそれが出来るというのか?」
「できる! 俺には『逆転の発想』という秘策があるからな。ククク」
「逆転の発想で失踪者を見つける? どういう意味だ?」
「えーここまで言って分かんないのぉ。斥候の専門家なのにぃ」
「くっ・・・早く言え」キラリ
待て。早まるな。
その手に持ったクナイをまず下ろせ。話はそれからだっ。
「捜索依頼書の特徴に合致する一人の女を探そうとするから大変なんだ」
「当然だ。それで?」
「都会にいる不幸そうな多数の少女たちとお知り合いになれば良いのさ」
「はぁぁぁん?」
「その中に必ずいる筈だ。捜索依頼を出されている少女がな」
「・・・なるほど」
どうやら、俺の作戦は及第点だったようだ。
一考の価値があると判断した女忍者は、しばし目を閉じて考えに耽っている。
そして、パチッと赤い瞳を再起動させると簡潔に問い質してきた。
「どこに網を広げるつもりだ?」
「この町の隣にあるアトレバテスは工業都市だったよな」
「そうだ」
「となれば、田舎から出てきて不当な扱いを受けている少女が大勢いそうなのは、うす汚い悪徳工場だろう」
娼館という筋も考えたが、ルークに聞くと17歳以下の娼婦は親の同意書が必要になるらしい。故に捜索依頼も出されてはいない。
だから工場の一択だ。間違いない。
「この文明レベルじゃあ『女工』なんて不幸の代名詞だからな・・・」
「何を言っている?」
おっと、考えてることが口から漏れちまってた。
「いや、それよりこの件はお前にも手伝ってもらうぞ」
「私が見つけたらお前の功績にならんではないか」
「少女たちは俺が見つける。お前が見つけるのは捜索依頼だから問題ない」
「詭弁だ」
「グレーゾーンなやり方なのは認める。だが今は手段を選んでられん」
「・・・はぁ、やむを得んか」
「エマのために汚れる。それが俺たちエマ同盟だ」
「良いだろう。だが、この機に乗じて家出少女と懇ろになろうなんて考えていたら痛い目を見るというのは肝に銘じておけよ」ギラッ
むむむ、お見通しでござったか。
さすが女忍者、油断ならないでござるよ。ニンニン
「当たり前だ。俺にはエマがいるし、お前という麗しい女もいるしな」
俺は立ち上がってピーナの隣に座り直した。
夕食の席でチクってくれた恨みを倍返しにさせてもらうぜ。
というわけで、女忍者が降参するまでイチャコラした。
「よくもこんなにベトベトにしてくれたな」ゴゴゴ
「お前の体に定期的にマーキングして俺の匂いを付けておかねば、他の男に口説かれてしまうからな。そんな所は見たくない」
「むぅ、そういうことなら仕方あるまい」
チョロい!
魔力(子種)が抜け過ぎたせいか急に寒気がした。
というわけで、俺は愛する許嫁の身体を抱き締めながら同じベッドで眠った。
なろうポリシーに抵触するのでエロい部分はカットしています。
完全版が読みたい方は以下でどうぞ。
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