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49階層最奥へと戻ってきた薫とアインスは、襲撃者などいない為みんなと無事に合流した。春人とドライは、アインスが無事に戻ってきた事に安堵し、ハグを交わしていた。
初めてダンジョンから地上に出たアインスには、特に影響は見受けられなかったことを全員に説明した薫。
序に、野犬化した元飼い犬たちを保護したことも伝えた。世話をするのがアインスであると付け加えるのを、薫は忘れなかった。
「そんなことがあったのか。捨てたくて捨てた飼い主はいないと思いたいな。しかし、薫が犬好きだったとはな。父さん知らなかったぞ」
「母さんも初めて知ったわ。でも、大型犬なら餌の量も大変でしょうからね。そう考えると、動物園とかはもっと大変じゃないかしらね」
「檻の中の動物たち……餓死するしかないなんて、かわいそうですね」
「仕方ねえんじゃねえの? 動物だけじゃなくて人間だって死んでんだし。俺らはキャンペーンが終わるまでに沢山稼いで、強くなるしかないじゃん。同情しててもキリねえじゃん」
春人もきちんと現実を受け止めているようで、両親も薫も嬉しく思った。
「……春人君の言う通りだね。たくさん稼いで強くならないと。これからのダンジョンは、モンスターだけを警戒していてもダメなんだよね」
「そうだぜ春香姉ちゃん。ダンジョンで他のパーティーとバッティングすると、争いになる場合もあるしな。狡い奴になると後をつけて、ダンジョンコアを掻っ攫おうって奴もいるからな」
「対人は面倒なんだよな。こちらにその気がなくても、襲ってくる輩はいるからな。レベルだけでも上げておかないと、薫みたいなスキルを持った相手と遭遇した時に、逃げることも出来なくなるからな」
「[迷宮移動の宝珠]は必需品よね。こまめに登録しておく癖をつけるのが、命を守ることに繋がるのよ」
薫はそれなりに情報提供をしたので、人間を助ける気はほとんどないが、人のエゴで犠牲になる動物を哀れに思い、助けようと考えた。
「仮に動物園に迷宮化防止結界を施しても、人間の避難所になるだけだろうし、餌の問題はどうにもならないだろうし。……うん、決めた」
「兄貴、決めたって何を?」
「さっさとハイエルフを捕まえてここをクリアして、日本中の動物園の動物たちを僕の[開拓地]で保護する」
「薫、それをやれば窃盗罪になるぞ」
「薫が義心からやるのは母さんうれしいわ。でも、盗んだことになっちゃうのよ」
「兄貴、犯罪にも躊躇しなくなったな」
両親は困ったように、犯罪であることを教える。春人に至っては、こうなると思ってたんだと失礼なことを言っている。家族から酷い言われようであるが、薫は全く動じていない。
「早とちりしないでよ。SNSで保護することを表明してからだよ。保護を断って死なせてしまえば、悪評が立つのは動物園なんだからさ。そうそう、拒否はされないと思うよ。園が再開できる段階になれば、返すつもりだからね」
「薫くん、それってすごく名案だと思うよ」
春香は薫の説明を聞いて、手を叩いて喜ぶ。
「済まなかった、薫。しかし、そうすると識別用のタグとかを付けてもらった方がよくないか?」
「ごめんなさいね、薫。あの[開拓地]には、池なんかはなかったわよね? 作ってから表明した方が良いんじゃないかしら?」
「兄貴の言い方が紛らわしいんだよ。水族館とかはどうすんだよ?」
「水族館は、ほぼダンジョン化してるんじゃないかな? イルカのいるプールとかは分からないけど、ラッコのいるエリアだとダンジョン化してそうだし」
「「「……」」」
「まあ、面倒見てとか保護してって依頼があれば考えるよ。ダンジョン化していたらパスだけど。[寛ぎの温泉宿・海]や[寛ぎの温泉宿・小島]の海へ放しておけば大丈夫だと思うからね。それじゃ、50階層へ行こうか」
「よっし。絶対テイムするからな」




