10日目
疲れる右手と疲れる目はピークを迎え、もう体に限界が来ていた。
「あれからもう10日目か…」
俺はずっとこの水場に残されたまま、10日間が経とうとしていた。
ここは何処なのか… 見当もつかない。がしかし、ひとつわかる事がある。毎日遠くの方の水場で水を汲んでいる若者がいるのだ。あれはなんなんだろうか。
毎日決まった格好で、毎日同じ時間帯に水を汲みに来るのだ。ただ、ごく稀にポケットに銀色のものを入れていることがある。
やっとの思いで水場から這い上がった俺は、看板を見つけた。そこには――
「境川」
そう書かれていた。