7話『蘇理』
蘇理またの名をリターン。……それは代が途絶えた魔王に起こることである。
代が途絶えた魔王は次に突然、その強大な力を持ち、突然、赤子として生まれるのだ。それが蘇理と呼ばれる現象だ。
『つまり、メランと同じだ』
メランとは先代の憂鬱王の事だ。メランも蘇理の魔王だった。
そして紆余曲折あり、進九がその力を受け継ぐ事になったのだ。
「そうか。で、俺に頼みたい事はなんだ?」
『流石、話が早い。お前にはレクドを守って貰いたい』
進九にとって予想通りの答えが返ってきた。
「いいぞ。その変わり、何が来ようとぶっ倒すが、構わないな」
『ふふ。好きにしろ』
プツッと通話が切れる。
そして進九は、レクドを見る。いつの間にか見つけたチョコレートをパクパク食べていた。それを見て進九は拳を強く握り締めた。
《〇》
とある倉庫にログスが入っていく。
「ふふふふふ。ようやく、準備が整いました。さて、始めましょうか。戦争という破壊を!」
あははははと、とある倉庫の中で、ログスの笑い声が響いていた。
その後ろには、大量の巨大な獣人達が雄たけびを上げていた。
《〇》
一方その頃、進九家では。
レクドを守ることを決めた日、結局二人は進九の家に泊まる事になった。幸か不幸か、進九は一人暮らしだったため、泊まることになったのだ。
「ああ、憂鬱だ」
レクドと千尋が風呂に入っている間、コーヒーを飲みながら、夜空を見上げながら、そんな事を呟いていた。
そして色々な事を思い出していた。何を思い出していたかというと、メランとの生活を思い出していた。
メランとは色々あったし、ロリババアだったが、それでも仲良くやっていたのだ。
しかし、あの戦い『ベルセルクリベリオン』さえなければ、今も、メランは永遠の憂鬱にため息を吐いていたことだろう。
すべては終わったことだ。だが、忘れてはならない。メランの教えを。
『敵は容赦なく、自らの憂鬱を増やす前に叩き潰せ』
忘れてはならない。メランの心を魂を。進九はそのために生きているのだから。
《〇》
『さて、読者諸君。彼らの関係が分かってきたところで、残念ながら、ミレイお姉さんの時間だ。
おっと、ここで話を切らないでくれたまえ。
私は休憩を入れたいだけなのさ。
いや、正確には嫉妬したいだけなのさ。
だって私、悪くない。私は引きこもりの魔王だよ! あ、間違えた嫉妬の魔王だよ! 引きこもるのが仕事なんだよ!
え? 違う? は、また間違えた。私は嫉妬の魔王、嫉妬王。
嫉妬するのが仕事なんだよ!
だって私にだって『ティアマト』とかいう、こんなにカッコいい二つ名付いてるんだよ!
付いているんだよ!
なのにこの仕打ち! どういうことだい。
(長いので以下略)
ぜ――ぜ――。どうだ言ってやったぞ。
え? それよりも早くナレーションしろって? 分かったよ。
これは二人の物語ではない。
そこに運命の歪みが発生し、三人目の少女が現れた。
あの物臭女郎、何ボクッ娘とか増やしてやがんだ!
……オホン。それはさておき、そのお陰で二人の運命も大きく変わる。
三人の運命は大きく動き出す。
そして進九は因縁の相手と激突する。
さあ、お楽しみが始まる。
でもそこに私いないんだよな――。
出番欲し……(回線が切断されました)』