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フィーンド・ルインカルマ  作者: 臣将汰
第一章【憂鬱なる魔王】
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5話『三番目・猪』


「ようやく見つけましたよ! 雛! その少女を頂きます!」


 そう言い、獣人に指示を出す。獣人の豪腕が進九に迫る。

 本当なら、その拳によって、進九は叩き潰される所だった。故に、千尋は目を瞑った。

 しかし、進九は潰れることは無かった。

 獣人の拳は空中で何かに押し返され、止まっていた。


「おや?」


 少女を守っている少年の姿に気付いた時、ログスは驚きの声を上げる。


「やれやれ、今日は本当に客が多いな」


 そう言った進九の右腕には『猪』の装飾が象られた籠手が身に付けてあった。


三番目(ザ・サード)=ガレス・バッファ」


 そう呟き、空中に留まっている拳に籠手を叩きつける。


「ぶっ飛べ」


 次の瞬間、何かに弾き飛ばされたように、獣人が吹き飛ばされ幾つもの壁を貫き、激突し体をめり込ませる。

 進九がつけている籠手は進九の王獣僕が姿を変えたものだ。

 その正体は進九に宿っている九体の王獣僕の一体、三番目の猪の姿のガレス・バッファだ。ガレス・バッファの能力は斥力を操る能力だ。斥力は物体に対して反発する力のことをいう。

故に最初は、拳と同じ強さで反発させ、空中で止め、次は圧倒的な斥力で獣人を吹き飛ばしたというわけだ。


「おっと」


 その衝撃に巻き込まれながらも、ログスは獣人から飛び降りることで事なきを得た。


「やべ、ちと加減を間違えたな」


 進九の力に目を輝かせるログス。


「素晴らしい力だ。聞いたことがあります。魔王の中でも、唯一、王獣僕を武器に変換する力を持ったものがいると。もしや、あなたはロスト、憂鬱王ですかな?」


 はぁ、とため息を吐き進九は言う。


「全く俺の憂鬱を増やすなよ」


 そんな一言で明確な敵意を感じ取ったログスはすぐ行動に出る。


「おやおや、嫌われてしまいましね。今日は退くとしましょう。ですが、準備が整いましたら、またすぐお会いするとします」


 ボンッと、煙を出し、ログスは消えた。

 しばらくすると、治安維持部隊『ガート』の専用車両のサイレン音が聞こえてくる。


「残っていると面倒な事になる。とりあえず、ここから離れるぞ」


 進九はそう言い、レクドを抱え千尋の手を掴み、走り出す。



《〇》



 それを監視カメラから見ているものがいた。


「おやおや、進九の奴、幼女と美少女ボクッ娘を捕まえて愛の逃避行か?」


 それは進九の学友、棒飴を加えた星木の姿だった。


「まったく、いいご身分なこった」


 はぁ、とため息を吐き、パソコンを弄りだす。


「さて、監視カメラにハッキングして記録改竄しときますか? ウチの王様には困ったモンだぜ」


 そう言いながら、電話をする。


「あ、もしもし。進九が雛と接触しました。ええ……、ええ。定期報告ですよ。後の事はお願いします。こっちはこっちで忙しいので。はい……、はい。また何かありましたらご相談を。ええ。どうも」


 そう一通り電話を終える。


「全く、ホントに忙しいよ」


 星木はそんなことをぼやいた。



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