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毒薬短編集  作者: 悪霊
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鏡檻

毒成分は薄目です。

周り見える景色。



ありふれている景色。



何を見ても誰を見ても別の何かを感じてしまう。



自分が見た何かは昔自分が見た何か。



自分が見た誰かはいつか自分が見る誰か。



だから全く違う世界を作りたい。



いつか見た何かではなく、いつか見た誰かではなく。



誰も知らない。どこにもない。そんなものを作りたい。



それが私の願いだった。



だが、結局は同じだ。



どんなに奇想天外のものを作っても。



どんなに複雑なものを作っても。



結局は誰かの影を見てしまう。



結局は何かの記憶を感じてしまう。



まるで私の考えは鏡でできた檻のようだ。



なにかを作っても結局はその鏡に映ってしまうと。



一つの鏡に映ったものがまた別の鏡に映り



いくつもいくつも、天井、真下に至るまで映り。



無限に増え続けたそれは



ただありふれたものになってしまう。



だれにもまねできないような複雑なものを作っても同じ。



鏡というコピーに移してしまえば何も変わりはしない。



そしてその絶望はやがてこの鏡の檻から光を奪うのだろう。



私と同じように特別な何かを作ろうとして



ありふれた何かしか作れなくなった人たちは。



闇に塗られれば鏡はもはや何も映らない。



映らなければどういうものかわからない。



だから、誰かに何かを言われることはなくなる



鏡を割る人もいる。自分の作ったものを見たくないから。



でも気が付けばやはり鏡を探している。



鏡に映っているのは?



自分?



つくったもの?



よく見たら?



違う物?



いくつもの鏡に映るいくつもの自分。



でも、本当は一人一人違う。



鏡に映る世界は本当に現実の世界を映したものなのか。



ただのコピーに過ぎないのか。



角度は少しずつ変わる。



見る方向も少しずつ変わる。



この中に特別なものがあるのか。



いや、違う。



全てが特別なんだ。



他人の真似のような、誰かの模倣のようなものが。





それに気が付いたとき、鏡の檻はバラバラに割れて。





足元にはある一つの筒。覗いてみる。



ああ、そうか。



今まで見たもの。今まであったもの。



それをすべて集めてようやく綺麗な何かが生まれるんだ。



無から何かを




ましてや、今まで誰も見たことのないようなものを作るのはほとんど不可能だけど。




自分の、あるいは誰かの何かを組み合わせて何かを作ることはできる。



最初はありふれているっていわれるかもしれない。



誰かが通った道を通っているだけなのかもしれない。



だけどそれらすべては色として、欠片として足し続けることができる。



色々な色。欠片。積み重ねられたすべてのそれがやがて。



自分だけの、そして誰かにとっての特別なものとなるんだ。



万華鏡のように。

一つだけ言いたいこと。


盗作を推奨していると言うわけでは決してありません。それだけは先に言っておきます。

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