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閑話→とある少女の日常破綻

 『きもい。学校来るな』

 そんな内容の手紙が、私の下駄箱に入っていた。

 五通ほど。

 昨日、一昨日は三通だったのに、少し増えてる…。

 本当のことを言えば、私には苛めを受ける心当たりが全く無い…のだけれど、こうして受けている以上、私の何かが彼女たちには気に入らなかったのだと思う( クラスの男子は直接何かしてくるから、彼らのやったことではないはず )。

 それが何なのか教えて欲しかったけど、もし他のクラスの人なら話しかけるのも怖いし、そもそもこの手紙には名前が書いてない。

 どこにぶつけたらいいのかわからない憤りを吐き出すように、手紙をくしゃくしゃにしてごみ箱に投げつけた。

 人の手紙をぞんざいに扱うのは良くないけど、内容も良くなかったから、おあいこだよね。


  ◇


「うん?元気ないねぇ、どしたの?おはよー!」

「…何でもないよ。おはよう」

 苛め( って呼んでも構わないよね、あれ )が起きてからしばらくして、やっとるかちゃんが異変に気付いた。

 …もうちょっと早く気付いてほしかったというのが私の素直な気持ちだったけれど、これは私が上手に取り繕えていた証だと、前向きに捉えることにする。

 その後は他愛のない話をして、先生が来てからそれぞれの席に戻った。

 先生が配ったプリントを、すぐランドセルにしまう。

 私の机はごみ箱じゃないのにという不満を、呑み込みながら。


  ◇


 だからって何でランドセル?

 ごみ箱なら教室の前のほうにあるのに…。

 何で私なの…。

「あれ?お前何それ?」

 そんなことを考えて泣きそうになっていたら、後ろから男子の声がした。

 振り返って見てみると、いつも私に何かしてくる男子が立っていた。

 クラスの女の子は、みんなこの子のことが好きらしいけど、私は嫌い。

 だっていつも、私のリコーダーを奪い取ったりとか友達と一緒になって私をからかったりとか、私だけに意地悪するんだもん!

 男子も女子も、私の何が気に入らないのよー…!

 どうせまた、何か意地悪しに来たんだ。そう思ったけど、意地悪男子は私の予想を裏切った。

「おいこれやったの誰だよ!出てきて謝れよ!」

「ちょっ…!?やめてよ、私平気だから!」

「いいわけねーだろ!隠れてこういうことするやつは最低だ!」

「えぇっ…何これ!?そういえば最近元気なかったけど…まさかこれのせい!?」

 騒ぎを聞きつけ、るかちゃんもやってくる。

 心配かけないように黙ってたのに〜…!

「私は大丈夫だから、ほっといて!余計なことしないでよ!」

「余計ってなんだよ!犯人捕まえなきゃずっとこのままなんだぞ!?」

 わかってたよ、それくらい。

 でもね、結果として、それはやっぱり余計なことだった。

 その騒ぎの2日後。


 下駄箱の中の十通近い手紙の中に、るかちゃんの名前が書いてある封筒を見つけた。


 信じられなかった。

 信じたくなかった。

 だから、私は確認した。


 その封筒を、開封して。


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