閑話→とある少女の追憶手記
彼女に出会ったのは、土の中の虫さんたちが眼を覚ます頃のことだった。
…こう言ったら、るかちゃんはまた、私を変な子みたいに言うのかな。
私は普通だよ!
あの日の私は、新たな環境への期待よりも、新たな生活への憂鬱さのほうが大きかった。
ひねた小学生だったと、自分でも思う。まだ入学式の前だったから、厳密には小学生じゃなかったのかもだけど。
小学校への入学を控えた子どもって言うのが1番正確かな。
えっと、とにかくそんな感じのときに、私は彼女と出会ったんです。
後に親友と慕い、多くの時間を共に過ごすことになる女の子と。
後に裏切り、とても悲しいお別れをすることになる女の子と。
るかちゃん。
私たちは、何のために出会ったのかな。 私たちの出会いは、あのバッドエンドの前振りでしか、なかったのかな。
…ごめんね、変なことを言って。
私たちの出会いが何であれ、るかちゃんはきっと、私と出会ったことを後悔はしていないよね。
私も同じだよ。
あの出会いがバッドエンドの前振りだとしても、私はるかちゃんに会えて良かったって、やっぱりそう思う。
久しぶりに、あの頃を思い出してみよう。