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          1 遭難

 祖国がアーリア帝国に攻められる事になり救援要請のためルイスとマリエールは東の国へ海路で向かった。

             1  遭難


 極秘任務だった。アーリア軍が祖国に攻めて来る情報も我々が東の国に救援を求める事も極秘だ。我々は特使のマリエール、準使のルイス、護衛の3人だった。マリエールとルイスは親が定めた婚約者同士、いずれ公爵と公爵夫人になるはずだ。

 東の国には海路で向かった。ここまで天候も問題なく順調だ。表面的には観光旅行だ。マリエールとルイスで甲板に出た。穏やかな海だ。ルイスはマリエールに声かけた。

「青い海の色は君の瞳のようだ。白い雲の色は君の肌のようだ。金色に輝く太陽は君の髪の色のようだ。自然は何もかも君に似ていて美しい。マリエールはこの世の頂点だ。全て物が君に比べるとあせて見える。」

マリエールは笑った。マリエールは類稀な美少女だ。ルイスがマリエールに夢中なのは誰にでも判る。

「ありがとう、ハリス。でも婚約者は口説かなくてもどこにも行かないわ。私はあなたの物よ。」

ハリスはパッと笑顔になった。

「今でも信じられない。この美しいマリエールが僕の婚約者なんて。僕は何時までも君を口説き続けるよ。愛が満ちるまで。」

マリエールはぽっと頬を染めた。

 その時、甲板が大きく揺れた。立ってられないほどだ。原因が直ぐに判った。クラーケンだ。クラーケンの腕が甲板を掴んだ。

「救命ボートだ。救命ボートを下ろせ。」

船員が救命ボートを下ろす。何人かが乗り込む。狙いすましたように救命ボートをクラーケンが襲う。何度か救命ボートが下ろされる。その度に何人かが乗り込む。クラーケンが襲う。その繰り返しだ。クラーケンに剣で立ち向かう者がいる。槍で立ち向かう者がいる。適うわけがない。相手は海の魔物だ。

 クラーケンは再び船に掴みかかった。マリエールとルイスは甲板にいた。大きく船が揺れ、2人海に飛ばされた。2人は木切れにつかまってただ漂った。船はクラーケンと共に沈没した。

 周りには2人と同じように、木切れにつかまって漂う人もいる。救命ボートを何とかしようとする人もいる。ルイスはマリエールに、

「マリエール、大丈夫だよ。僕が何とかするよ。君は心配しなくていいさ。救難船が助けに来てくれるさ。」

救命ボートは残念ながら何ともならない。マリエールは、

「ルイス、あなただけが頼りよ。」

ルイスは鍛錬を積み重ねてきた。水練もその一つだ。周りから集めた水や食料をマリエールに与える。周りから木切れ集めてマリエールが休める所を作る。しかし、マリエールは衰弱してきた。残念ながらルイスにはそれを止めるすでがない。

「マリエール、心配しないで。僕が何とかするよ。」

マリエールが死んだら僕も死のう。そう決意した時天啓があった。転生によってマリエールを救う事が出来ると。ルイスは衰弱していくマリエールを見て決意した。

「マリエール、死なせはしないよ。君は僕の命だ。君がいなければこの世は闇だ。僕には君しかいない。僕は君のため転生するよ。最後に聞きたい。一言でいい。僕を愛していると。」

ルイスは懐からナイフを出して握った。マリエールは言った。

「ルイス、愛しているわ。」

ルイスはそれを聞いた瞬間、自分の胸を突き刺した。

 息を止めたルイスは再び蘇った。彼は、

「ルイスに呼ばれた転生者だ。呼び名はルイスでいい。マリエール、ルイスの頼みだ。君を助けるぞ。中型船と乾いた服とタオルが必要だな。」

中型船が突然現れた。ルイスはマリエール抱き上げ中型船の甲板に降りた。ルイスは乾いた服とタオルをマリエールに渡し、

「下に行って着替えてきなさい。」

マリエールはルイスから服とタオルを受け取り、下で着替えをした。甲板に戻ると食事の用意してあった。暖かいスープを飲んで心が和らいだ。

 途中旅客船がクラーケンに襲われ船は沈没した。ルイスに天啓があり、転生によってマリエール命が救われると。

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