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幕間 神子は接客が好き

今日は、神子の休日。

女神の衣からお気に入りのワンピース姿になった彼女は、鼻歌まじりに街へと出かける。


まずは、駅ビルのオシャレな服屋。

入ると、新人らしき店員が顔を真っ赤にして駆け寄ってきた。

「い、いらっしゃいませ! こちら、今朝入荷したばかりの新作で……すごく、その、人気なんです!」

一生懸命ワンピースを広げて見せるも、緊張で言葉が上ずっている。


神子はニコニコしながら、自分の手に持っていたブラウスを差し出した。

「それも素敵だけど、こっちもいいなと思っていて……迷っちゃいます。ねぇ、私には、どっちが似合うと思います?」


店員は一瞬ハッとした顔になる。

「……ええと。お客様なら、そちらのブラウスの方が、似合うと思います。私はそっちが好きです!」

「ありがとう選んでくれて!これくださいな。」

店員が選んでくれたことが嬉しくて、神子は買い物袋を大事そうに抱えた。


街を歩くと、今度は怪しい絵の勧誘に遭遇。

「お姉さん、一生に一度の出会いですよ!」

熱っぽく語るお兄さん。

神子はお兄さんの説明に楽しそうに答える。

「へぇ〜!」「そんなにすごい絵なんですか?」「お兄さん、説明上手ですねぇ!」

興味津々。結局、購入せず。

「とっても楽しかったです、ありがとう!」と去る神子に、お兄さんは毒気を抜かれたように

「あ、はい……ありがとうございました……」

と見送るしかなかった。


午後はクラシックが流れる喫茶店でティータイム。

「マスター、いつもの」

「……はいよ」

年配の店主と常連客の短いやり取り。

神子はその心地よい沈黙に耳を傾け、紅茶の香りを胸いっぱいに吸い込む。


夕暮れの商店街ではお肉屋さんへ。

「神子ちゃん今日もきれいだね!」

「こんにちわ。今日は何がおすすめですか?」

「トンカツがちょうど揚げたてだよ!どうだい?」

「じゃあトンカツお願いします。」

揚げたての袋を抱え、神子の足取りはさらに軽やかになる。


帰り道に寄ったコンビニ。

やる気の欠片もない店員が立っていた。

「……っしたー」

投げやりな挨拶が返ってくる。

神子はアイスを受け取ると、笑顔を向けた。

「こちらこそ、いつもありがとうございます。」

店員の胸がドキッと揺れた。

神子が店を出る時、背後から

「あ、……あざした」

と少しだけ生きた声が聞こえた。


夜。商売の神――おじ様との夕食。

「がははは! 今日は株主総会でな、寝ぼけた経営陣に野次を飛ばしてやったわい!」

「私は色んなお店で色んな人に会ったのです!楽しくてつい、いっぱいお買い物しちゃいました!」

二人の会話は噛み合わないけれど、食卓はとても賑やか。


お風呂上がり。

冷えた甘酒をぐいっと飲み干し、布団に潜り込む神子。

「接客はするのも、されるのも楽しいです!みんな素敵だったです……おやすみなさい」

幸せな寝息が、静かな境内に溶けていった。

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