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八歳で死ぬと予言されたそうで。15

「シス、それはなぜ?」


「うーん。うまく言えないけど。国王の従兄弟って人は王位継承争いを避けるために父親の方針で大人しくしていたわけだよね。表舞台からも遠ざかった。でも予言者なんて怪しげな人をアノ二人に紹介した。それってなんで? そんな怪しげな人と関係があるって、王位継承争いにはならなくても、問題になりそうだけど」


 ロディの問いに、上手い表現が無いのがもどかしそうに、テネシスは答える。

 執事は聞いていてハッとした。


「それはお嬢様、問題が起きないようにひっそりと暮らしていた方が、公爵家という貴族の最高位の位置にいる旦那様と奥様に、予言者という怪しげな人物を紹介したというのは問題行動だ、と仰っていらっしゃいますか」


 執事の確認に「そう」とテネシスは頷く。


「予言者という怪しげな人物を貴族の最高位に位置するお二人に紹介して、前王弟殿下のご子息様……国王陛下の従兄弟君は何を望んでいらっしゃるのか、ということですか」


 うんうん、それそれ、とテネシスは頷く。

 問題が起きないように表舞台から遠ざかっているはずの国王の従兄弟。でも予言者という者を公爵夫妻に会わせた意図は、まるで問題を起こそうという意思を感じられる。公爵夫妻が予言者を信じず取り合わないのなら、悪ふざけではないが、そういった戯事で片付く。

 でも、現状は信じている公爵夫妻。だからこそ従兄弟君にお会いして予言者について教えてもらうつもりでいる。どんな理由があれ、事実だけを見れば公爵夫妻が国王の従兄弟君に擦り寄っている、とも取れる。


「もしや、よからぬ企みを……」


 いや、これ以上口にすれば公爵家内とはいえ、王族に対する不敬になる、と執事は口を噤む。

 ……なのに。


「うーん。王位簒奪とか考えてたらアノ二人を巻き込もうとするのも分かるよねぇ」


 呑気にテネシスが口にした。


「……お嬢様、それはこの場だから良いものの、他では誰が聞いているか分からないので、不敬に問われてしまうかもしれませんし、口になさいませんよう」


 執事が折角口を噤んだというのにあっさり懸念事項を口にしてしまう辺り、テネシスの危機感の無さが怖いので、慮って忠告する。


「問われても別にいいんだけど。処刑されるって言われても八歳まで死なないし」


 のほほんとした口調に執事がキレかかる。


「お嬢様っ! 八歳まで絶対死なないとは言い切れないのですよっ! それに牢に囚われる可能性だってあるのに!」


 執事が牢に囚われると言えば怯えるかと思ったのだが。テネシスには効かない。


「えっ、牢屋? 本当に? それって冒険者の物語に書いてあったけれど、地下にあるのよね? なんだっけ。暗くて光が届かない。ピチョンピチョンと水音が常にしていて、黴臭くて石で出来ているから一年中寒い場所。壁も床も石で出来ていて、入り口は鉄格子の扉。鍵が掛かっているし鉄だから押しても引いてもびくともしない。そんなところに、一人で入れられて一晩だけでも身体中あちこちが痛くなるし、精神的にも気が滅入ってしまう場所よね!

そんなところに入れられるの? 楽しそうっ」


 違う、そうじゃない。

 牢屋は楽しそうな場所ではない。なんだその綺麗な花々が咲き誇るお花畑に足を踏み入れてみたい、というように目を輝かせた発言は。

 執事は、お嬢様の好奇心がここまで成長しているとは思っていなかった。

 怖がらせるために牢に囚われる、と発言したというのにどこかの公園だか劇場だかに行ける、とウキウキする令嬢並に牢屋にウキウキするとは思いも寄らず。

 本当にこの方は五歳児なのだろうか、と考えて今さらだ、と思い直した。

 抑々五歳児の思考で王位簒奪なんて言葉がスルリと出てくることがおかしい。

 この方は色々と普通の子どもと違う。規格外なのだ、と自身を納得させるしかない執事であった。


 ちなみに、兄のロディはぶっ飛んだ思考の妹の発言を完全に聞き流していた。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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