第51回:悪女呂皇后のこそこそ話
ミニコラムの続きです。
「あ~アレね。呂雉さんでしょ?あの人は怖いのよ。だって中国の三大悪女の1人ですもんね。
え?知らないの?呂雉さんと武則天と西太后の三人ね。権力ゲットして、権力をブンブン振りかざしたオンナたちね。怖いのよ。三人とも。
そしてね、呂雉さんはね、劉邦さんの奥さんなのよ。劉邦さん知っている?そうそう、この漢の国を作った人ね。立派な人なのかも知れない。けど、劉邦さん女癖が悪くてね。呂雉さんも苦労したのよ。
そもそも、劉邦さんね、大ホラ吹きのニートだったのよ。それをね、呂雉さんのお父さんの呂公さんが気に入っちゃってね。「ウチの娘の婿に是非来てほしい」って言っちゃったのよ。勝手よね〜。
そして、呂雉さんは劉邦さんの奥さんになったのよ。ちなみに呂雉さんの妹さんは樊噲さんの奥さんになったらしいわ。樊噲さんは真面目な人で出世もしたらしいわ。だから、姉妹のどっちが幸せだったんでしょうね。
呂雉さんは劉邦さんの実家に入って義父さんの畑の手伝いをしたそうよ。健気にね。
そして、一男一女を生んだんだって。でも、その頃から劉邦さんは天下取りみたいな事を始めちゃったの。なんの道楽かしらないけど困るわよね。妻としては。
でも、呂雉さん凄いのよ。劉邦さんが敵から逃げて雲隠れしたときも、呂雉さんはなぜか場所がわかるのよ。劉邦さんの潜伏先を探し当てて「アナタの居る所には雲気があるからわかります」といったそうよ。凄いわね。
でも、劉邦さんは変な魅力があったの。だから、慕う人が多くてね。どんどん大軍団になっていくの。しまいには国までつくっちゃったのよ。漢って国。だから、呂雉さんも呂皇后って言われるようになったのよね。
玉の輿になったんだけど、本人はどう思ったのかしらね。何しろ、ずっと呂雉さんの実家のスネをかじってた人が皇帝さまさまになったわけだから「ちょっとは呂一族に恩返ししなさいよ」と思ったでしょうね。でも、劉邦さんは次々と側室を作って呂雉さんの事は知らんぷり。これって、積年の恨みも募るわよね。
しかも、劉邦さんは特に戚夫人ってお妾さんを気に入ってね。彼女が生んだ劉如意って皇子を皇太子にしようとしたの。皇太子は呂雉さんの息子の劉盈さんが皇太子って決まっていたハズなのに変えようとしたのよ。これは呂雉さんもキレるわよね。結局、話は立ち消えになったけど、呂雉さんには恨みとして残ったの。
その後、劉邦さんは亡くなるわ。その後は呂雉さんの息子の劉盈さんが皇帝になるわ。恵帝って呼ばれるわね。そして、皇帝の母である事を利用して、権力を手に入れるの。ただし、権力はダンナの家の劉氏ではなくて、自分の実家の呂氏に持たせたわ。劉邦さんが貧乏な時代にたくさん支援したからそれが当然だと思ったみたい。
そして、いよいよ始めるのよ。復讐を。まずは、劉如意さんを捕まえて殺すの。そして、戚夫人も捕まえて拷問するのよ。そりゃあもうひどい拷問を。手足を切り落とす。目を潰す。耳も潰す。喉も潰す。そして、五感を奪った上で、トイレに放置したの。そして、息子の恵帝を連れて来て言ったのよ「御覧なさい、あれが人豚ですよ」ってね。
恵帝さんはあまりの母親の残虐行為に心を痛めたの。ノイローゼになってしまったわ。その結果、お酒に溺れて死んでしまうのよ。気の毒な二代目皇帝ね。
その後、恵帝の息子を三代目皇帝に据えて、呂氏の一族を重職につけるの。でも、それが漢建国の元勲達に嫌われちゃってね。呂雉さんが亡くなると、呂一族は粛清されてしまったわ。嫌われすぎたから仕方がないわね。
呂雉さんも女としての幸せが欲しかっただけなのにね。権力は手に入れたけど、幸せにはなれなかったのね。