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第41回:とある漫画でめちゃ有名な李信

ミニコラムの続きです。

 ある青年せいねん雑誌ざっしで「しん始皇帝しこうてい天下てんか統一とういつする時代じだいあつかった漫画まんが」が人気にんきだといて「ほう、すごい!」とおもったものでした。


 そして、その主人公しゅじんこうが「李信りしん」だといて、そりゃおったまげました。「え? あの李信りしん? あの時代じだいあつかうなら、主人公しゅじんこう始皇帝しこうてい王翦おうせん蒙恬もうてん李斯りしあたりでしょ? 逆張ぎゃくばりするにしても、項燕こうえんとか春申君しゅんしんくんとかでしょ?」とおもったのです。


 李信りしんは「ポッとだけど、中盤ちゅうばん大活躍だいかつやくするわか将軍しょうぐん天下てんか決戦けっせん大失敗だいしっぱいする」というイメージがあったからです。ごめんなさい李信りしんさん。


 そもそも、李信りしん出身しゅっしんあきらかではありません。武官ぶかん名家めいけともわれますがはっきりしないのです。さらに、どのような経歴けいれきだったのかも不明ふめいです。


 わかっているのは、王翦おうせんぐん中隊長ちゅうたいちょうあたりからのしがって昇進しょうしんし、えん攻略こうりゃくとき大活躍だいかつやくして歴史れきしに華々(はなばな)しく登場とうじょうしたということです。


 当時とうじは、荊軻けいかによる始皇帝しこうてい暗殺あんさつ未遂みすい事件じけんしん大騒動だいそうどうでした。始皇帝しこうてい幼馴染おさななじみの燕公子丹えんこうしたん実行犯じっこうはんかり「燕許えんゆるすまじ」の時期じきでした。


 そんな最中さなか李信りしん燕討伐戦えんとうばつせん参加さんか数千すうせんへいひきいてまど燕軍えんぐん追撃ついげきし、始皇帝しこうてい暗殺未遂犯あんさつみすいはん太子丹たいしたんとらまえます。大殊勲だいしゅくんでした。


 このころから李信りしん始皇帝しこうてい異常いじょうられるようになります。だから、もうちょっとカッコイイ文体ぶんたい李信りしん紹介しょうかいしないといけないのかもですね。


 あ、えー、コホンコホン。


 トキは中国ちゅうごく戦国時代せんごくじだい末期まっき天下統一てんかとういつ目指めざ秦国しんこくに、一人ひとりわか将軍しょうぐん彗星すいせいのごとくあらわれた!


 かれは、李信りしん


 李信りしんは、わかくしてその才能さいのう発揮はっきし、秦王政しんおうせいのち始皇帝しこうてい重用ちょうようされたのである。


 かれ特徴とくちょうは、なんといってもそのスピード! 電光石火でんこうせっかのごとく敵陣てきじんけ、てき翻弄ほんろうするのであった。


 李信りしんは、まず趙国ちょうこく攻略こうりゃくでその手腕しゅわん発揮はっきするのだ! 王翦おうせんひきいる大軍たいぐんとはべつに、少数精鋭しょうすうせいえい部隊ぶたいひきいてちょう北部ほくぶ攻略こうりゃくてき意表いひょう電撃的でんげきてき戦術せんじゅつで、趙軍ちょうぐん混乱こんらんおとしいれたのである。


 つづいて、燕国えんこく攻略こうりゃくにも参加さんか王翦おうせん王賁おうほんともに、燕都えんとけい陥落かんらくさせ、燕王喜えんおうきとららえるという大功たいこうげたのだイエイ。


 とく天下分てんかわ討伐戦とうばつせんでは総大将そうだいしょう大抜擢だいばってき


 このとき始皇帝しこうていは「ほろぼすのにへい何名なんめい必要ひつようか?」とかれたさいに、王翦おうせんは「60万人ろくじゅうまんにん必要ひつよう」とったのにたいして李信りしんは「20にじゅうまん十分じゅうぶんです!」と強気つよきこたえたのダ!


 そして、李信りしん副将ふくしょうわか蒙恬もうてんしたがえ意気揚々(いきようよう)と進軍しんぐんしたゾ!


 でも連戦連勝れんせんれんしょう本来ほんらいならこのままたおして凱旋がいせんするハズだったのダ。


 …のですが、運悪うんわるく、には名将めいしょう項燕こうえんました。項羽こうう祖父そふです。


 項燕こうえん決死隊けっしたい結成けっせいすると三日三晩みっかみばん不眠不休ふみんふきゅう強行軍きょうこうぐん進軍しんぐんします。そして、項燕こうえんぐん侵略しんりゃくして秦軍しんぐん急襲きゅうしゅうします。


 快勝かいしょうかえしてぐん合流ごうりゅうさせたばかりの李信りしん蒙恬もうてん不意ふいかれて壊滅的かいめつてき被害ひがいけます。大敗北だいはいぼくです。


 これによりしん一気いっき危機的状況ききてきじょうきょうになります。ここで登場とうじょうするのは引退宣言いんたいせんげんをしていた老将ろうしょう王翦おうせんです。


 かれは60ろくじゅうまんぐんひきいてほろぼします。


 敗北はいぼく責任せきにんって李信りしん処罰しょばつされたのかとおもいきや、とくにそんなことはなく、そののちせい攻略こうりゃくえん攻略こうりゃくなどで挽回ばんかい機会きかいあたえられています。


 そして、このとき無難ぶなん活躍かつやくしています。

不思議ふしぎなのは李信りしんたいする始皇帝しこうてい異常いじょうなまでの信頼しんらいです。


 とある有名ゆうめい漫画まんがでは嬴政えいせい李信りしんとはつよきずなむすばれているようです。


 しかし、現実げんじつではそのような歴史的事実れきしてきじじつはなさそうです。


 あくまで憶測おくそくですが、当時とうじ成果せいかわる将軍しょうぐんたちは淘汰とうたされていて、王翦おうせんおう一族いちぞく蒙恬もうてんもう一族いちぞくが、敵国討伐てきこくとうばつ戦果せんかのほとんどをめていました。


 始皇帝しこうていからして見ると、王一族おういちぞく蒙一族もういちぞくんで叛意はんいてばカンタンにしんうばえます。


 これは恐怖きょうふでしかありません。


 よって、これに対抗たいこうできる第三勢力だいさんせいりょく将軍しょうぐん育成いくせいしたかったのかもれません。


 結果的けっかてき李信りしん始皇帝しこうてい粛清しゅくせいされることはありませんでした。


 しん統一後とういつご李信りしん将軍しょうぐんとしてつづしんつかえました。


 しかし、晩年ばんねんについては、史料しりょうくわしい記述きじゅつのこっていません。


 項羽こうう劉邦りゅうほう楚漢戦争そかんせんそうころすで李信りしん名前なまえてきません。


 始皇帝しこうてい前後ぜんごして李信りしんくなったのかもれません。

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