表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/94

第32回:王翦の望みは「子孫に美田をゲット」

ミニコラムの続きです。

王翦おうせんは、白起はくき廉頗れんぱ李牧りぼくと並ぶ戦国せんごく四大名将よんだいめいしょう一人いちにんです。キングダムとか史記しきとかんでるひとには説明せつめい必要ひつようない有名人ゆうめいじんでしょう。ほか戦国七雄せんごくしちゆうのライバルこくを次々(つぎつぎ)と撃破げきはしてしん天下統一てんかとういつ貢献こうけんしました。


 わかころから戦場せんじょう活躍かつやくしていましたが、同僚どうりょう白起はくき朝廷ちょうてい命令めいれいころされてからは、王翦おうせん負担ふたんおもくなりました。なにせ、しんは「うたがわしいしょうも、無能むのうしょう不要ふよう」という方針ほうしんだったからです。


 戦国時代末期せんごくじだいまっきになると、秦軍しんぐん有力ゆうりょくなのは王翦おうせん一族いちぞく蒙武もうぶ一族いちぞくぐらいになりました。


 実績じっせきある名将めいしょうでありながらすで高齢こうれいになっていた王翦おうせんかたかんがえるようになります。さいわかれには有能ゆうのう息子むすこである王賁おうほんがいました。


 王翦おうせん息子むすこ王賁おうほんきびしく指導しどうしました。これによりかれもまた有能ゆうのう将軍しょうぐんとして才能さいのう開花かいかさせます。


 王賁おうほん戦国七雄せんごくしちゆうの国々(くにぐに)を次々(つぎつぎ)と陥落かんらくさせます。とした首都しゅとかずちちよりもおおかったそうです。ちち王翦おうせん息子むすこ王賁おうほんもすごかったのです。


 しかし、あんまり自分じぶん一族いちぞく武勲ぶくん集中しゅうちゅうすると粛清しゅくせい対象たいしょうとなります。よって、息子むすこ王賁おうほんとも燕国えんこく滅亡めつぼうさせた段階だんかいで、始皇帝しこうてい引退いんたいを申しもうしでます。


 つぎ時代じだい将軍しょうぐんとして、王賁おうほん蒙恬もうてん李信りしんなどがそだってきておりかれらにまかせようとかんがえたのです。


 しかし、大国たいこくとの天下分てんかわいくさいで、総大将そうたいしょうとなった李信りしん調子ちょうしってしまいます。


 始皇帝しこうていに「ほろぼすいくさいに兵力へいりょくはどれくらい必要ひつようだ?」とかれたさい李信りしんは「20にじゅうまんもあれば十分じゅうぶんですぜ」とこたえます。


 王翦おうせんおなじことをかれ「60ろくじゅうまん必要ひつようですな」とこたえました。りすぎなのは自覚じかくしていましたが、には項燕こうえんという名将めいしょうがおり半端はんぱ兵力へいりょくでは逆撃ぎゃくげきされるとかんがえたからです。


 始皇帝しこうてい弱気よわき王翦おうせん主張しゅちょう退しりぞけて、威勢いせいのいい李信りしん起用きようします。李信りしん総大将そうたいしょうとして討伐軍とうばつぐん派遣はけんしたのです。


 ちなみに副将ふくしょう当時とうじわかくてイキがよかった蒙恬もうてんです。しかし、主将しゅしょう李信りしん副将ふくしょう蒙恬もうてんひきいられた20にじゅうまんぐん大負おおまけしてかえってきました。敵将てきしょう項燕こうえん大活躍だいかつやくして、李信りしん蒙恬もうてんぐん奇策きさくにハメたのです。


 結果的けっかてき王翦おうせん慎重しんちょう意見いけんただしかったことになります。


 始皇帝しこうていあせって、引退いんたい宣言せんげんしていた王翦おうせんします。「ワシのあやまりだった。貴殿きでんただしかった」と王翦おうせんおおげさにあやまりました。


 そして王翦おうせんに60ろくじゅうまんへいあたえて、への再侵攻さいしんこう依頼いらいしました。


 王翦おうせん始皇帝しこうていいました。「にはきますが、引退後いんたいごには贅沢ぜいたく生活せいかつがしたいです。子孫しそんにも美田びでん(きれいなんぼ)をのこしたいです。だから、たっぷりのご褒美ほうびを下さい」と。


 そして、王翦おうせんかう途中とちゅうでも何度なんど始皇帝しこうていいます「褒美ほうび間違まちがいなくもらえますか?金額きんがく満額まんがくですかな?」と。


 始皇帝しこうていは「王翦おうせんもずいぶんともうろくしたものだ」と苦笑くしょうします。


 息子むすこ王賁おうほんちちたずねます「父上ちちうえはそこまでかねにがめつくなかったはずですがどうしたのですか?」と。


 王翦おうせん息子むすこいます「わが皇帝こうていうたがふかひとでな、60ろくじゅうまんぐんひきいたワシが逆撃ぎゃくげきしてしん皇位こうい実力じつりょくうばこと警戒けいかいするはずじゃ。ワシが欲深よくぶかいボケ老人ろうじんだとわかれば、安心あんしんして粛清しゅくせいするきないじゃろう?」


 王翦おうせんは、てきよりも主君しゅくん始皇帝しこうてい疑心ぎしんおそれていたのです。白起はくきのような悲惨ひさん最後さいごむかえたくはありません。


 このため細心さいしん注意ちゅういはらっていたのです。


 王翦おうせんは60ろくじゅうまんへい万全ばんぜん運用うんようして討伐とうばつしました。


 敵将てきしょう項燕こうえんたおしてしん最大さいだいてきほろぼしました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ