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第21回:剛毅なる将軍呉起

ミニコラムの続きです。

古代こだい中国ちゅうごく兵法書へいほうしょ有名ゆうめいなのは「孫子そんし兵法書へいほうしょ」です。それに匹敵ひってきする兵法家へいほうか戦国時代せんごくじだい登場とうじょうします。それが呉起ごきです。


 呉起ごきも「呉子ごし兵法書へいほうしょ」を書きのこしています。二人分ふたりぶん合わせて「孫呉そんご兵法へいほう」と言われたりします。


 呉起ごきはげしい気性きしょうでした。わかとき仕官先探しかんさきさがしに苦労くろうし、そのこと馬鹿ばかにしたやつころしました。物騒ぶっそうですね。


 そののち故郷こきょうのが孔子こうし門弟もんていである曾子そうし弟子入でしいりします。しかし、そのころ呉起ごきのおかあさんがくなります。


 呉起ごき故郷こきょう人殺ひとごろししちゃってるのでノコノコかえれる立場たちばではないのです。しかし、儒教じゅきょう門弟もんていとしては大問題だいもんだいです。


 「親不孝物おやふこうものめ!」として破門はもんされます。


 そののち亡命ぼうめいして名君めいくん文侯ぶんこう運命うんめい出会であいをします。


 実は文侯ぶんこう呉起ごき登用とうようするにあたって、名臣めいしん李克りかつ相談そうだんしました。李克りかつは「呉起ごき欲張よくばりで女好おんなずきの俗物ぞくぶつです。しかし、軍事的才能ぐんじてきさいのう過去かこ名将めいしょうをもしのぎます」とこたえました。


 それをいた文侯ぶんこう呉起ごき将軍しょうぐん抜擢ばってきしました。


 呉起ごき性格せいかく横暴おうぼうでしたが、将軍しょうぐんとしてはじつ繊細せんさい部下想ぶかおもいでした。


 兵士へいしおな場所ばしょ寝起ねおきをともにして、兵士へいしおな食事しょくじをします。


 兵士へいしがケガするとみずか傷口きずぐちうみして治療ちりょうします。兵士達へいしたち感動かんどうします。


 うみってもらったへいははきました。感動かんどうしたのではありません。


 「あのちち呉起ごき将軍しょうぐん心酔しんすいしていのちてました。あの呉起ごき将軍しょうぐんいのちささげるでしょう。それがかなしいのです」というなげきでした。


 実際じっさい兵士達へいしたちは「呉起ごき将軍しょうぐんのためならいのちなどしまん!」という気概きがいでした。


 その結果けっか呉起ごきぐんはめちゃつよかったのです。


 実戦じっせんではしんち、5つのしろうばいました。


 そののち名君めいくん文侯ぶんこうに、武侯ぶこう即位そくいします。


 そこで呉起ごきは「われこそ宰相さいしょうに」と名乗なのりをげます。


 しかし、田文でんぶん論戦ろんせんして敗北はいぼくし、宰相さいしょうゆずりました。


 田文でんぶんは「呉起ごき殿どの軍略ぐんりゃく政治力せいじりょく威信いしんすべわたくしよりうえです。しかし、あたらしい主君しゅくんはまだたよりない。これにイラつかずえますかな?無理むりでしょ?我慢強がまんづよさはわたくしほううえですな」とって呉起ごき説得せっとくしたそうです。


 そののち秦軍しんぐんが50ごじゅうまん大軍たいぐんで、めてきますが、呉起ごき撃退げきたい成功せいこうします。


 武勲ぶくん比類ひるいない呉起ごきでしたが、そののち権力争けんりょくあらそいにやぶれて、亡命ぼうめいします。


 でも能力のうりょく重宝ちょうほうされ、古臭ふるくさ制度せいどあらためること富国強兵ふこくきょうへいつとめました。


 しかし、かれ信頼しんらいしていた悼王ていおう老齢ろうれいだったため、もなくくなります。


 既得権益きとくけんえきのあった連中れんちゅうからうらまれていた呉起ごき政変せいへんいのちねらわれます。


 敵兵てきへいかこまれのがれられないことさとると呉起ごきは、悼王ていおう死体したいおおいかぶさりました。


 呉起ごき悼王ていおうからだ無数むすうさります。


 には「おう遺体いたいきずつけたもの死罪しざい」というルールがありました。


 かつて伍子胥ごししょ平王へいおう死体したい鞭打むちうったため追加ついかされた規則きそくでした。


 このため、呉起ごき殺害さつがい実行犯じっこうはんは「おう死体したい弓矢きゅうしやきずつけた」という理由りゆう全員ぜんいん死罪しざいとなったそうです。


 呉起ごきは、死後しご自分じぶん殺害犯さつがいはん復讐ふくしゅうすること成功せいこうしたのですね。


 呉起ごきは、軍事面ぐんじめん政治面せいじめんともにすぐれた能力のうりょく発揮はっきし、国力こくりょくたかめました。


 しかし、その強烈きょうれつ改革かいかく守旧派しゅきゅうは反発はんぱつまねき、悲劇的ひげきてき最期さいごむかえました。


 呉起ごき生涯しょうがいは、その才能さいのう悲劇的ひげきてきによって、後世こうせいかたがれています。

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