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序章
わたしの母はわたしが幼い頃に亡くなった。
それから数年後父、継母、わたしの3人で暮らし始めたが、そんな父もまた去年の暮れに亡くなった。
継母は父の会社を引き継ぎ、今は会長の座にいる。そして、贅沢にお金を使いゴージャスな毎日を送っている。特に美容にはお金をかけていて、毎日何時間も鏡を見ては独り言を言っている。
「世界で1番美しいのは誰?そう、この私。うふふふ」
少し不気味だ。
わたしは美容にお金をかけてはいないが、亡くなった実母に似て容姿にはかなり自信がある。
わたしと継母は仲が良いとはいえない。むしろ継母は、実母に似ているわたしのことを嫌っているかのように思えた。父が亡くなってからは更に冷たい態度をとるようになった継母。高校を卒業したら絶対に一人暮らしをしようと心に誓った。
そんなある日、ぼーっと外を眺めていると年上のイケメン青年が歩いているのが目に入った。わたしは人生初めての一目惚れをした。