嫌いな人ほど正しくて厳しい
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
ざっぱで、メンタル豆腐なので、几帳面で歯に衣着せぬ物言いの人とは反りが合いません。
――仕事中に頬杖突かない。
――『なるほど』は使わない。耳障り。
――今まで何して来たの?
なおこれ、本日彼女が言われた言葉である。隣の席で痛烈な指摘を傍で聞きながら、我が事では無いながらも肝を冷やした。様子を窺って見ると無表情にも頷いて、淡々と作業に戻っていた。
しかし会社を離れて、飲みの席になると、彼女の不満が爆発した。
「本当、あの人嫌い。マジで嫌い。一緒に作業したくない」
頭を抱えながら、拒絶の言葉を吐く。声は弱々しく、もぬけの殻の様に虚しく辺りに反響する。
まぁ、自分があんな事言われたら、少なくとも傷が付くと思う。それでも彼女は愚痴ひとつ零さずに、今日を終えてここに居る。その鬱憤が今に当たるのだが。
「本当、お疲れ様……」
明日がどうなる事やら、少し不安になった。
そして翌日、彼女の方を窺った。相変わらず顔は無表情だった。淡々とパソコンに向かっている。しかし、昨日と違って頬杖を突いては居なかった。返事の時には『はい』か『畏まりました』に集約されている。相変わらず、資料については指摘を受けていたが、それを黙々とメモにとって、自分の保存用のノートに書き写していた。
そうして彼女と顔を合わせたのはコピー機の前だった。少し疲れている。ぼんやりと上の空。
「大丈夫?」
「あぁ、うん、まぁ……」
存在に気が付くと、曖昧な返事をした。コピー機は未だに稼働を続けており、ずっと機械的な音を辺りに響かせている。周りには誰もいない。だから、ひっそりと低い声で一言。
「荒れてたから、反発するのかと思ってた」
すると彼女の目に光が戻る。パソコンの対峙する時の目。一種のトランス状態だった。
「しないよ。それはしない。あの人が言ってる言葉は私が納得した言葉だったから。それに自分に厳しい人の言葉は素直に聞くもんだよ」
そう言うと、溜まっていた書類の束を指で挟んで、確認する。どうやら全て出し終えた様だ。それから此方を見て、僅かに口角を上げた。
「でも心配、有難うね」
同期から心配されて、デスクに戻った。戻ったと同時に、手書きの修正用紙が渡される。どうやら私がコピー機で書類が吐き出されるのを待つ間、私の資料に目を通していたらしい。
「字が汚いので、読み上げます。分からなかったら聞くように。メモもとるように。良いですか?」
「はい」
素直な人が社会に出て重宝される。
なんて言いますが、私的には死ぬ程の疑問が。
渡された問いを全て受け入れて、疑問も持たなければ、成長はしないんですよ。
だから、多少穿った見方を持っていた方が良いかと。
あと納得出来るまで、執拗く聞く執念深さの方が大切です。
嫌いな人ほど、ぐうの音も出ない正論述べますし、自分にも厳しいんですよね。
そうして大抵、歯に衣着せぬ物言いです。
それでも正しいと思ったことは受け入れた方が良いです。
今後の自分のためにも。