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朝、学校にて

朝、教室に一番乗り。

人影も疎らな学校、誰も居ない教室。

視線を校庭に移すと運動部の連中が朝練に精を出してる。

青春だなぁ。


何故こんなに早く登校したかと言うと、少し考え事をしたかったからだ。


昨日の話、流れの非組合員を俺が始末(出来ればと言うことだが、出来るかっ!)しろとの事。


取り敢えず、ある程度調べてみて、雪江さんに報告をする事にしよう。


で、会合の後俺が家につく前に、資料と僕の両親へ宛てた手紙が届いていた。


母親は


「流石!あたしの息子だわっ!」


と、組合の仕事を回された事に感激していたようだ…。


父親は


「何事も経験だ」


と、放任の構え。


こっちはやる気もないのに。

はふぅ…



で、だ。


雪江さんから送られてきた資料の中身について、概略はこういうものだった。



依頼者:


■■■■■(黒塗りされて読めず)


被害者の状況:


大量の毛髪と血痕を残し消失。

恐らく■■にされた模様。



被害場所:


W市末広町3丁目


推定被害時間:


○月○日午後10時23分(今日から4日前、適当な能力を持った組合員の協力により算出)




対象に関しての特記事項:


夜半であることを差し引いても、被害者に気づかれることなく犯行に及んでいる。

移動方法に特別なものを持っているようだ。


備考:


流れの非組合員の模様。

関係各署及び、他組合から情報の提供を求めている。


当組合での対処について:

専任の担当者を任命

1週間以内に何らかの報告を出すように依頼済み。

その他当組合員には注意をする旨連絡済。


資料は思いの外、厚いものであったため、読んで頭の中を整理するのに時間が掛かってしまった。


…ええ、察しの通り僕はあまり成績のよい方ではありません。

ふへへ、何も言えねぇよ。


お陰で寝不足です。

今日は、授業時間=睡眠時間になりそうだ。



問題点は…


・対象者とは何者か

・どのように被害者に接近したか

って事


「組合」でもわからないから僕に調べる様に言ってきたんだけどね。


手がかりすらねぇよ。

どうするかなぁ…。


机に頬杖を付き、昨日の出来事の整理とこれからの方向性。

そんなことをあれやこれやと考えていると。


「おっはよー、我友よ!」


吉田の奴が、朝からやけに高めテンションで挨拶をしてきやがった。

はぁ、こんな時は決まって…


「ふふふっ、新しい都市伝説を仕入れたぞ!」


…やっぱりそうか。

予感的中。

何となく重くなった気分を変える切っ掛けになるかもしれない、ここは吉田の与太話に付き合ってやるとしよう。

「その新しい都市伝説とやらはどんな話だ?」


「おぉ!お前がこの手の話に食い付きが良いなんて。明日は雨だな。」


珍しい事を見たと言わんばかりの表情の吉田は、嬉しそうに話を続ける。


都市伝説「影から来る殺人者」

とあるOL…仮にAさんとしようか…。


ある日Aさんは、残業で仕事が遅くなってしまった。

家に向かって急いで帰ろうとするAさんは、いつもとは違う近道を使うことにした。


その道は街灯も少なく、人気も少ない道。


ただ、民家が近くにあるため何かあれば回りの家に逃げ込めると考えたからだ。

Aさんは足早に近道を進んで行く。

街路灯は力無さげにAさんの足元に影を作る。


と、その時Aさんを呼ぶ声が…


「そこの、別嬪なねーちゃん。ちょっといいかえ?」


Aさんは逃げようとするのだが、走っても走っても、ちっとも前へ進まない。


「逃げようったってそうはイカンぞい。ワシはもうお前の影に居るからの」


Aさんはもう、訳もわからない。

その刹那、街路灯の明かりが消えた。


翌朝、Aさんが失踪したと思われた場所には大量の血痕とAさんのものと思われる大量の髪の毛だけが残されていたそうだ。



そして



…その後、Aさんの姿を見たものは居ない。






と、まぁ。こんな話だ。

「面白いだろ?」

吉田は得意気に語った。

………

色々突っ込みたい。



「なんで、影から声がするんだよ?しかも、血と髪の毛だけ残したってAさんは生きてるかも知れないぜ?」


思いついたところだけ突っ込んでみた。

教室には級友達が徐々に登校してきており、野次馬根性丸出しで見に来ている奴もいる。


「お前ならそういうと思った。いいか?人面犬や口裂け女・ベットの下の殺人鬼どれも突っ込み所満載だけど、そういうものを引っくるめての存在なの!」


なんと言う理屈。

しかも、なんでそんなに勝ち誇った顔をしてるんだ?

お前は、


「それがどうした!」


と言い放った直後のダ○ティ・○ッテン○ローかよ。


一気に疲れた、精神的に。


「お前、あきれてんの?この都市伝説はつい2日ほど前から流れ始めた鮮度のいい話なんだ。類型の話も出来ていないんだぞ。そんなレアな話を聞かせてやったというのにお前と来たら…」


「どういうことだ?」

都市伝説に鮮度とかってあるのか?


予鈴がなる。


「おっ!嬉しい反応をしてくれるねぇ。だが、語るには時間がない。続きは昼飯時にしてやるよ」

吉田は満面の笑みを浮かべ自席に向かっていった。

これからSHRだ。

今日も一日が始まる。


読んでくださいました皆様。

誠にありがとうございます。



また、よろしくお願い致します。

感想や内容等についての指摘等ありましたら、頂けると嬉しいです。

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