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神話キャラが学校に通う世界線

#13 生徒会

作者: 第3類医薬品

僕らの世界は殺人、強姦、拷問など、普通の世界では禁じられているようなことが禁じられていない。それでも学校は存在している、そして普通の学校と同じように、僕らの通う学校にも、生徒会が存在している…。

でもやっぱり、僕らの住む世界は普通じゃない。生徒会だけでは済まないのだ。

何とこの、"ミソロギア学園"には生徒会だけでなく、反生徒会の派閥も存在している。平和など訪れることも無く、お互いに憎みあって過ごしている学校だからこそ存在する派閥。


まず生徒会。会長はオデュッセウス先輩、副会長はヘラクレス先輩、書記がペルセウス先輩で会計がオリオン先輩となっている。人数が少ないのは、彼らが"英雄"とされている人物だからだ。そんな大人数居なくたって、英雄の彼らなら何とかなってしまう。それに、校長先生であるゼウス先生の後ろ盾もあるのだ。怖いものなんて一切ないだろう。


それで反生徒会派。

生徒会に対し、こちらは人数は多い。しかし、戦闘を行えるものだけが活動をしている。要するに、脳筋。

活動メンバーとしては、ヒドラさん、カルキノス先輩、ケートス先輩……あとさそり先輩。


(さそり先輩については、後々明らかになります。でもまぁギリシャ神話のさそりと言えば…星座で有名なあの子ですよね。)


ちなみに僕は反生徒会派に入れられている。入れられているのだ。僕の本心ではない。

僕自身は英雄だって、怪物だって、みんな嫌いだ。僕が好きで応援したい人なんて居ない。だからどちらにも加担はしたくない。

それなのに、あのバカアポロンは僕を反生徒会に無理矢理入れたのだった。最初は僕は戦闘はできないので、単なる1票として入れられた。しかし、僕がからすという賢い生き物であることをいいことに、作戦会議などに呼ばれることがあるのだ。


ちなみに、ケートス先輩も僕みたいに無理やり入れられている。本人はペルセウス先輩のおかげで3日間の石化拷問を経験するわけだが、石化の根本の原因は調子にのったアンドロメダさんの母親と、やりすぎポセイドン先生なので、ペルセウス先輩は悪くないそうだ。

でもポセイドン先生は嫌いらしい。アンドロメダさんの拉致を邪魔したペルセウス先輩が。なので、ケートス先輩はペルセウス先輩を倒さないといけないのだ。

しかし、ポセイドン先生は生徒外側のオリオン先輩の父親でもある。それでも、生徒会は支持せずに、半生徒会へ力を注いでいる。それほど憎いんだそう。


そして、今度生徒会オリエンテーションというものがある。単に生徒会が話すだけのイベント。

今は放課後、反生徒会派閥のみんなで集まってその生徒会オリエンテーション時の計画について話を進めている。ちゃんと暴れるつもりらしい。


小さめの教室に僕、ヒドラさん、カルキノス先輩、ケートス先輩、さそり先輩。それに加えて、ヘラ先生、アポロン先生、ポセイドン先生もいる。本当はもう1人ポセイドン先生の支配下の生徒が来るみたいだったけど、忙しくて来れなかったそうだ。


「絶対勝てないよ…」


ヒドラさんがそう呟く。ヒドラさんにしては珍しい、ネガティブな発言だが、それもそのはず。これが初めてじゃない。生徒会の人たちとは何戦も何戦もしたことがある。その中で完全勝利した回数は……0だ……。

生徒会の人達はめちゃくちゃ強い、さっきも言った通り英雄で構成されているのだ。勝てるわけもないよ。


計画をする前提として、"誰が誰を倒すか"というのは既に決まっている。前々から、分担されていて、今でも変わらない。


どういう分担の仕方かと言うと、例えば、アポロン先生。アポロン先生はオリオン先輩が嫌いだ。だからアポロン先生の下僕である僕はオリオン先輩を討伐しなくてはいけないと、されている。

でも僕に関しては武力的な力は全くないので本当にただ1票の支持としてか、作戦を一緒に考えるだけである。


「オデュッセウスくん誰が倒すの」


カルキノス先輩が言う。何故か、オデュッセウス先輩を恨んで、倒してやろうなんて思うやつはいなかった。


「ケートスがまとめて倒せるってさ」

「え!?」


ペルセウス先輩にも勝てないケートス先輩は、ポセイドン先生からの無茶ぶりに戸惑う。


ポセイドン先生はオデュッセウス先輩も嫌いらしい。息子がいじめられたとかで暴れていたことが過去にあった。ポセイドン先生の相手だし、倒すならケートス先輩が1番妥当に思えなくもない。


「…余裕があれば倒してくれる?」


カルキノス先輩はそうケートス先輩に問いかけるが、ケートス先輩は何も言わなかった。きっと余裕はないだろうしな。


「…あの……メデューサ様とか…使っても良いですか?…ポセイドン先生……」


それはいい考えだと僕も思う。メデューサさんで石化しちゃえばこっちの勝ち目しかない。実際、生徒会書記のペルセウス先輩もメデューサさんの頭を振り回してるだけだ。難しいことを言うならば、ペルセウス先輩から取らないといけないってことだけ。でもポセイドン先生の愛人なので、ポセイドン先生が取り返してもらいに行けば済むだろう。

でも、ポセイドン先生はその案に賛成することもなく、暗い顔をして、ケートス先輩を睨みつけて言った。


「人の妻を戦場にぶち込みたいってことか?なら傷ついた分の対価はどうなる?」

「……」


ケートス先輩な何も答えられなそうに、俯いて黙っていた。


「何も出来ないなら勝手なことぬかすんじゃねぇよバカ」


そう言って、ケートス先輩の頭をポセイドン先生は足で何回もぐりぐりする。暴言も添えて…

そんだけ奥さんのこと想ってるんだったら浮気とかするなよ…

ポセイドン先生っ!!

ケートス先輩はずっとぐりぐりされてる。髪で顔が見えないけど、たまに鼻をすする音が聞こえるから多分泣いてるんだろうな…可哀想だ…


「まだ決まらないのー?もういいや、ヘラせんせー♡」


ヒドラさんは飽きて話し合いを放棄し始め、ヘラ先生の元に駆け寄っていく。ちょっと…やる気なさすぎ!!僕だってこんなのやりたくないんだぞ!?

呆れたから自分の標的の方をさっさと終わらせて、帰ってやろうと思ったその時。


「ヘラ先生ってば!可愛い!ぎゅー♡」

「ちょっとヒドラっ…♡」


僕は真剣にやってるのにイチャイチャする声が聞こえる。

可愛い…。これをGLって言うのかな…。頭を使わなきゃいけないのに、彼女達の声が邪魔する。別に…聞き入ってるんじゃないけど!!続けてくれ!!


「待って僕も!先生ー♡」


カルキノス先輩も椅子から立ち上がって行ってしまった。カルキノス先輩のイチャイチャ音声はキツかったのでスルー。


なにやってんの…教師もろくに働かないし…!!イチャイチャするヘラ先生とハラスメントするポセイドン先生…こりゃ…ダメだな……。

残ってるのは僕とアポロン先生とさそり先輩のオリオン討伐隊のみ。


「…終わったな」


うん。あの人たちが英雄に勝つのはもう少し先だね。


『…さそり先輩は…どうするつもりですか……』


何も喋らないもののまだ席に着いて静かにしていたからこっそり声をかけた。


「……そうだな、まず…」


そして、さそり先輩は意見をしっかりくれた。その作戦は僕がいらないぐらいにしっかりした出来の作戦だった。そうして、オリオン先輩討伐計画"だけ"はしっかり完成したのだった。


でも結局このまま当日になる。そりゃあさ…大失敗だよ…

本当に大惨事だった。


まずヒドラさんやカルキノス先輩はヘラクレス先輩に一瞬でボコボコにされてった。装備のない2人で挑むなんて無茶だ。

なのに…ヘラ先生にめちゃくちゃ褒められてたんだけど?悔しい……


ペルセウス先輩はまたもメデューサさんを振り回しケートス先輩を撃退、石化。さすがに今回の石像はすぐに戻してもらえたみたいだが、ケートス先輩は結構悲しんでたみたいだ。

石像はかっこよかった。


ケートス先輩が撃沈したことから、オデュッセウス先輩に手を出す人は不在に終わってしまったためオデュッセウス先輩は放置。

急に場を荒らしに来てぼこぼこ負傷していく場面を僕はしっかり見ていた。コントかな?


そんな中で、僕らオリオン討伐隊はもちろん大成功。さそり先輩の一撃で勝った。ちなみに死んだわけじゃないから安心してね。


さそり先輩は今は学園にいないガイアさんのところのさそりで、めちゃくちゃ強い。

オリオン先輩を倒す時は、サソリ先輩自作の猛毒を塗った針を吹き矢でピュッって吹くだけ。可愛い。


そんなことはさておき、僕は負傷したヒドラさんやカルキノス先輩を見に保健室まで行った。


『大丈夫ですか…』


「からすくん!」


扉を開けて、声をかけた瞬間ヒドラさんは飛び起きた。カルキノス先輩は…全く動かず寝てる…


『…この人生きてる?』


めちゃくちゃ深く眠ってたから苦笑いしながらネタで言っておいた。

その時、保健室の扉が開いて、ヘラ先生が来た。お見舞いかな。


「2人とも大丈夫?…ヒドラは大丈夫そうね、カルキノスは…生きてるの…?」


僕と同じ反応だった笑

それぐらいぐっすり寝てた。


「起きてます!!」


急にカルキノス先輩が飛び起きた。きっと、ヘラ先生が来たのわかって嬉しさで起きたんだな。


「…あ、からすくん…ヒドラもいたの…2人きりだと思ったのになぁ…」


『僕達は2人の邪魔らしいから一緒にどこか行こうか、ヒドラさん』


カルキノス先輩に邪魔者扱いをされたので、ちょっと嫌味を含めて言ってやった。その発言を聞いて顔がニヤニヤしてるのはバレてるよ、カルキノス先輩。


「うん!」


そうして僕はヒドラさんと保健室を出た。出た瞬間に「結婚してくださぁい」ってカルキノス先輩の声で聞こえた気がするけど、聞こえなかったことにしておこう。よっぽど好きなんだな…。

僕とヒドラさんは適当にそこら辺のお店をブラブラして歩いた。


もう反生徒会派閥なんて廃止だ、廃止。

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