誓い
──大日本帝国にて
大日本帝国では1936年4月、真っ二つに割れていた。
天皇をあくまでも元首とする陸軍が主な皇道派、そして豊聡耳神子を新たな指導者とする海軍を主とする大政翼賛会である。
しかし、天皇が自ら「自身は日本臣民の象徴である」と宣言し、神子を統治者と認める旨の発言をラジオを通して行った。
結果として大日本帝国の事実上の元首となる豊聡耳神子であるが、陸軍から忠誠と引き換えにある条件を出されていたのだった。
かくして日本は一枚岩となるが、神子に陸軍は「北進論」の検討を要求した。
陸軍と海軍は、日本の拡張先を巡って対立していた。
ソ連やモンゴルへの拡張を行うべきとする陸軍の「北進論」、南方の豊かな資源を狙って米英への拡張を行うべきとする海軍の「南進論」である。
いずれにせよ、日本との対立を深めつつある中国と雌雄を決する必要もある。工業力も列強国としては不足気味である。資源も足りない。経済も低迷している。
しかし、豊聡耳神子はある誓いをたてた。最悪に近い状況にあるこの大日本帝国を、絶対に立て直すと。「神子」の名に恥じないように、「神」を信じる日本臣民のために。