ホワイトハウスにてⅥ
サブストーリーです。
時は、セントポール攻防戦の最中である。
ホワイトハウスでは、いつものように、ルーズベルト大統領たちが、秘密会議を開いていた。
「ついに、我が軍の反撃が始まりましたな」
「これで、戦争は長くなりますな」
「確かに、そうだな、諸君。だが、一つの可能性を、諸君は忘れているがね」
ルーズベルト大統領は、相変わらず、皮肉るように、大臣たちに告げた。
「可能性?何のことでしょうか」
大臣たちの多くは、皆、首をかしげている。だが、中には、気づいたものもいたようだ。声を上げたのは、参謀総長であった。
「我々が、一方的に勝つ可能性、ですね、閣下」
「その通り。諸君、そもそも、戦争の結果の望ましい優先順位は、わかっているかね?」
「最も望ましいのは、大日本帝国との相討ち、即ち、両国が衰退することです。但し、これは、実現可能性が極めて低いですな」
「そうだ。そして、次善の策は、緊張状態を残したままでの終戦だ」
「地域的な紛争は継続させる、ということですな」
「そして、三番目の手段としては、軍部独裁下の大日本帝国に、我々が降伏することだ。我々が勝利するのは、この次だ。最悪なのは、天皇親政下の大日本帝国が勝利することだが。従って、今の状態では、引き続き、勢力の均衡を保つ必要がある」
「なるほど、さすが、大統領」
「では、どうする、参謀総長?」
「大日本帝国からの情報によると、日本軍は、草薙の剣を実用化したそうです。これならば、我が艦隊に大打撃を与えてくれるでしょう。ニミッツ大将に命じて、これとチャールズ元帥を戦わせ、相討ちになってもらいましょう」
「私は、賛成だ。諸君はどうだね?」
「ええ、もちろん、賛成ですとも」
ここに居る者は皆、首を縦に振った。彼らには、アメリカより大事な大義があるのであった。




