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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
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艦隊建て直し

今回は、これまで名前しか出てこなかった、伊藤少将が出てきます。

崩壊暦214年8月2日15:32


「第二艦隊の指揮権の継承、完了しました」


「結構。引き続き、艦隊の整備に勤めてくれ」


現在、東郷大将と大和は、五大湖に最も近い都市であるセントポールに落ち着いている。


第一艦隊、第四艦隊、第五艦隊からなる連合艦隊は、スペリオル湖より逃げ延びてきた。そして、セントポールには、ミルウォーキーから戻ってきた伊藤少将指揮する第二艦隊も合流していた。


第二艦隊は、殆ど米軍と戦わない内に東郷大将旗下の部隊が敗退したため、ほぼ無傷の一個艦隊として、帝国軍の有力な戦力である。


この4艦隊を併せ、現在の戦力は、空母5隻、戦艦15隻、巡洋艦22隻、駆逐艦42隻となった。


「伊藤少将、第二艦隊の指揮権は委ねるが、基本的には私の指示に従って欲しい。また、非常の際には、全艦隊の指揮権継承を任せる」


その伊藤少将は、現在、大和の船室に来訪し、東郷大将と作戦のすり合わせをしている。東郷大将は、作戦の大枠に従う限り、各艦隊の指令長官へ指揮権を認めている。


また、伊藤少将は、ロッキー山脈攻略戦での米軍の増援阻止や、甲号作戦において北方のバンクーバーを落とした実績を残す名将である。


よって、東郷大将は、最大限の権限を彼に与えている。


「了解しましたよ、閣下。我が第二艦隊が、米帝の鬼畜を、必ずや撃滅してみせましょう」


伊藤少将は、帝国軍の将官の中では、最も若い将軍である。そして、どことなく、所作をカッコつける傾向がある。優秀さを鼻にかけているという訳ではないが、若者といった雰囲気の抜けない男である。


「結構。第二艦隊は、現在の最有力の戦力だ。他の艦隊を助けてやってくれ」


「もちろんですよ、閣下」


伊藤少将は、自信満々に応える。外見から来る印象とは正反対に、その性格は非常に善良で、無駄な名誉欲などはないのが伊藤少将である。


「それで、他の艦隊は、どんな状況ですか?」


「ああ、第一艦隊は、およそ戦闘可能な状態まで回復した。最も被害が少なかったからな」


第一艦隊は、デトロイトでの奇襲や、ヒューロン湖での疑似核攻撃の被害が割合少なかった。また、艦隊の中で最も練度が高いというのも、復旧がすぐ済んだ要因だろう。


「他の艦隊は?」


「第四、第五艦隊は被害が大きい。修復に時間がかかっているし、指揮系統はボロボロだ。近いうちに、両艦隊を統合するつもりだ」


第四艦隊と第五艦隊は、特にヒューロン湖での疑似核攻撃をもろに受けたため、多くの艦が失われている。そのため、一個艦隊としての戦闘能力が著しく低下している。


東郷大将は、2つの艦隊を統合して、まともな一個艦隊をつくるつもりである。


「艦隊の統合は、妥当ですね。それと、修復の資材は足りていますか?」


「いや、足りん」


東郷大将は、きっぱりと物質不足に頷く。


「だったら、第二艦隊の分をお使い下さい。今の調子だと、資材が相当余りそうなので」


「おお、そうか。頼む」


「ええ。すぐに用意させます」


セントポールでは、多くのゴタゴタがあったせいで、物資の管理が混乱していたが、第二艦隊にはそれなりの余剰があるようだ。もっとも、戦闘艦が運べる資源などたかが知れているが、無いよりはましだろう。


「最悪の場合、動けない艦が出ようとも、戦艦を動かせるようにするべきですね」


「ああ、第二艦隊の資材も大型に振り分けよう」


ここは、米連邦の領域の目と鼻の先である。いつ米軍が襲ってくるかは計り知れないが、恐らくはすぐに来るだろう。その為、限られた時間で最大の戦力を用意しておく必要があった。


「それでは、私は第二艦隊の指揮に戻ります。閣下も、無理しないで下さいね」


伊藤少将は、友人を気遣うような態度で東郷大将を労う。


「ああ、そうだな。では、また後で会おう」


伊藤少将は、清々しく船室を去って行った。


新たな連合艦隊は、編成にまだ暫く時間がかかりそうである。しかし、それが、帝国軍がいま用意できる最高の戦力である。





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