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終末後記  作者: Takahiro
1-3_五大湖攻防戦
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決死の防戦

昨日、1日のアクセス数が300人を初めて超えました。本当にありがとうございます。

まあ、アクセス数が多かった日の次の日は少なくなるのが常なのですが。

コウと佐伯少尉が奇妙な邂逅をしている時、連合艦隊の主力は危機に瀕していた。


現在、連合艦隊は、地上から動けないまま米艦隊の襲撃に晒されている。かろうじて敵を払えてはいるが、状況は最悪である。


東郷大将は、迫る敵に砲火を順次に集中させることで、敵にこちらを撃たせないという戦術を使い続けている。いや、それしか取り得る策はないのである。


大和も、その例外ではない。


「7時の方向の敵戦艦を狙え!」


東郷大将は、早速、大和に迫ってきた一群に対し、地上から砲撃を浴びせる。何度目とも知れぬ砲撃戦である。


大和らの主砲弾は敵に辛うじて辿り着く。しかし、同時に米艦隊の砲弾も連合艦隊に降り注ぐ。両軍が同じ高度にいるならば、日本艦隊の方が有利に砲撃戦を運べるが、今回は対等な勝負となった。


「被弾!」


大和に重い衝撃が走る。大和は撃たれたのだ。


遂に、大和にもその手が及ぶまでに、敵は迫っている。


「大和、ダメージレポート!」


「第三区画が全滅。第12対空砲大破」


「重症だが、戦闘に支障はないな」


大和が撃たれたのは、左舷前方の迎撃システムが集中する区画である。だが、主砲は無傷であり、主機も損害なしであれば、ひとまずは問題なしだ。


被害が判明するや否や、大和は即座に反撃を開始する。周囲の艦も呼応し、敵の戦艦に報復をとばかりに砲撃を敢行する。


「敵艦、退きます」


「結構。引き続き、攻撃に備えよ」


連合艦隊の反撃をもろに食らった敵戦艦は、ゆらゆら揺れながら後退していった。同時に、その周囲の敵艦もゆっくりと下がっていく。だが、その動きに隙はない。


「いつになったら僚艦は治るんだ?」


「もうすぐなはずです。あと少しだけ、耐えて下さい」


電磁波攻撃によって、艦隊の電子機器が一斉に壊れた。そして、その修復は米艦隊の来襲により、どんどんと計画より遅れていっていた。


だが、技術少佐によれば、もうじきで修理が完了するようである。


「いっそ、大和だけで暴れまわるのはどうでしょうね、閣下」


「却下だ。大和も無敵戦艦ではないんだぞ」


実は、大和だけは今すぐにでも動けるのである。だが、敵艦隊の中に単艦で突撃するなど、自殺行為もいいところである。近衛大佐も、そのくらいはわかっているだろう。


現実的には、艦隊が離陸する時の先鋒あたりが関の山であろう。


「敵、再度接近」


「うむ、8時20分の方向の戦艦を狙え」


米艦隊は、懲りずにまた東郷大将の元に迫ってきた。戦闘開始からこのかた、敵は、攻めては退き、攻めては退きの繰り返しである。完全に状況は膠着した。これでは、いたずらに被害が増えるだけである。


「閣下、敵の新手を確認しました」


「新手、だと?」


更に悪いことに、デトロイトの外から新たな敵が来襲した。敵は9隻。戦艦2隻と空母1隻が含まれた十分な打撃戦力である。


「くっ、厄介な。全艦、ありったけの対艦ミサイルを用意しておけ」


戦力が判明するや否や、東郷大将は、最大限の備えを支持する。そしてそれは、対艦ミサイルでなんとかなるという思考を示していた。だが、それは容易に裏切られる。


「っ、敵発砲!」


「なに、この距離だと!」


それは、ヒューロン湖でアルテミスと初めて遭遇した時を思い起こさせる。


敵の新手の戦艦は、連合艦隊の射程の外から砲撃してきた。それは、その戦艦の主砲が日本艦隊にそれと同等、もしくはそれ以上の性能を保持していることを意味する。


大変よろしくないことが判明してしまった。連合艦隊は、タコ殴りに遭うだけとなってしまう。


「第一艦隊、整備完了しました!行けます!」


「結構!

全軍に告ぐ。もはや、デトロイトを保持するに利益は失われた。これより、スペシガンまで撤退する!」


こんな状況でも、やはり世界は神のダイスの上である。やっとのことで、艦隊は五体満足に快復した。東郷大将は、全軍に撤退命令を下す。


屍人に覆われたデトロイトなど、守る価値はないのだ。





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