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終末後記  作者: Takahiro
3-3_最終決戦
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第二次ヴォルゴグラードの戦いⅢ

投稿忘れてたやつです。

その後は目立った動きはなく、作戦は順調に進んだ。


その間、敵飛行艦隊の撤退に伴い、ソビエト共和国艦隊はヴォルゴグラードの北方へと戻った。敵高射砲の砲撃を避ける為である。


そして最初の上陸よりおよそ8時間後。


「第十五中隊が敵砲台と接触。攻囲戦を始めます」


「現場の判断に任す」


「はっ」


やっと目的の高射砲に辿り着いた部隊があった。これはまだ時間がかかりそうである。


「戦況はどうだ?」


ジューコフ大将は例の第十五中隊について尋ねる。


「抵抗が激しく、突破にはまだ暫し時間がかかるとのことです」


「各中隊に戦車をつけていたな。それでもか?」


「はい。敵はかなり強固な陣地を構築している模様です」


「これは参ったな」


戦車をもってしても簡単には突破出来ないとは、アラブ帝国軍の抵抗は予想よりかなり本気のもののようだ。


しかし、都市を爆撃しない為の地上部隊であり、空からの支援は本末転倒であるから、ジューコフ大将に出来ることは殆どないのである。


「多少時間をかけてしまうのは仕方がない。確実に陣地を破壊させよ」


今言えることはこのくらいなのであった。


「しかし、都市のゲリラ、全く出なくなったな」


「確かに、出たのは最初だけでした」


パヴロフ少将は応える。


ソビエト共和国軍を散々怯えさせてくれたアラブ帝国軍ゲリラなのだが、最初の攻撃の後はそこら中に湧いたものの、暫く経つとどこにも見られなくなった。


「まあ、事実我々の侵攻が遅くなっているから、敵の作戦勝ちといったところか」


「閣下がそれを認めてしまうのですか?」


「失敗を認めない人間が真の無能だからな」


結果的にソビエト共和国軍はありもしない脅威に怯え続けて進撃を遅らせることとなってしまった。敵からしたらこれ以上ない成果だろう。


結局、寡兵を以て抵抗する際のゲリラ戦の有効性を思い知らされた形となってしまった。


「しかし、中東の兵士はゲリラ戦に慣れていたりするのか?」


「どうなんですかね?大昔こそゲリラ戦の大家でしたが、その教訓が今にまで受け継がれているとは、あまり思えません」


中東は歴史的にアメリカなどの侵略を受けてきた。そして当然ながら正面からの殴り合いではアメリカに勝てない。そこで中東諸国が取ったのがゲリラ戦である。


一人でも多くの米兵を殺害し、それによってアメリカ国内に厭戦感情を起こし侵略の継続を難しくする。侵略が大好きな癖に自国民が死ぬのは嫌う自分勝手な性格を利用する。


こうした条件を満たしたゲリラ戦こそが唯一の勝機であった。


それ故に多くの中東諸国の軍はゲリラ戦の経験が豊富だったのだが、それも300から400年前の話。今どうなっているのかは分からない。


「まあ、少なくとも敵の頭がゲリラ戦を理解しているのは間違いない」


「そうですね。今でも我々はゲリラに警戒し続けなければいけませんから」


「アフガンの悪夢が甦るな」


「そういう縁起の悪いことは言わないで下さい」


ゲリラ戦に苦しめられたのはアメリカだけではない。旧ソ連もまた、アフガニスタンでアメリカの支援するゲリラに苦しめられた。国家として息も絶え絶えであったソ連にとどめを刺したのはこの戦争と言われるものだ。


「まあ、流石にそんな泥沼にはならないと思うがな」


「そうでないと困ります」


そうして高射砲を中心とする陣地に立て篭もるアラブ帝国軍との戦いが始まった。


機関銃や迫撃砲、対戦車ミサイルで強固に武装した陣地に対し、遠距離からの砲撃や狙撃によって確実に敵兵を削っていく。武器こそ豊富だが、敵兵は少ない。兵士を確実に殺していけばその抵抗は弱まっていく。


そして更に6時間くらいが経ったころ。


「第四地区の砲台、完全に制圧しました」


「初勝利か。なかなかかかってしまったな」


やっとの事で最初の砲台が落ちた。その後砲台は着々と制圧され、9時間も経ったころには全てが制圧された。これにより、飛行艦隊への直接的な脅威は完全に排除されたことになる。


「次は空港の確保だ。まずは全部隊を市内の空港に向かわせ、その安全を確保せよ」


損傷した艦に応急処置を施すにも、補給を行うにも、空港は必要である。この先へ進行するにも空港は必要だ。


「空港に脅威は認められません」


「設備はほぼ万全の状態です」


「よし。では中破以上の艦を着陸させよ。また地上部隊も回収せよ」


空港の制圧は何の問題もなく完了した。


しかし、一部の艦を着陸させたその時だった。


「西部空港で爆発!テロ攻撃かと思われます!」


「ここでゲリラか…」


敵のゲリラは決してその活動を停止した訳ではなかったのだ。次の彼らの目標は、飛行艦隊にとっての生命線、空港であった。



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