ホワイトハウスにてⅣ
サブストーリーです。
時は、日本軍がアルテミスによって撃退された直後である。ホワイトハウスでは、大臣と大統領が奸計を巡らせていた。
「いやはや、アルテミスの活躍は予想以上でしたな、大統領。」
「うむ、そうだな。これで、戦争は長引くだろうな、諸君。」
ルーズベルト大統領は、戦争が長引くことを言祝いだ。彼らにとっては、アメリカ連邦の命運は重要ではない。
「そうそう、諸君。今回は、お客が来ているのだよ。V.I.君、来てくれ。」
「皆様、お初にお目にかかります。V.I.と申します。」
ホワイトハウスの議場に入ってきたのは、きっちりと整った燕尾服に身を包み、紺のシルクハットを被った若い紳士であった。
「ほお、あなたが一番目ですかな。」
「いかにも。私こそ、『I』の起源です。」
「そんな人が、どうしてここに来たのですかな。」
「貴方方に、少しの頼みごとがあって、ここに参りました。」
紳士はルーズベルト大統領に目配せをした。大統領は、軽く頷いた。
「貴方がたには、この世界の手綱を握って頂きたい。不穏分子を排除し、Nのユートピアを助けて欲しいのです。」
「ゆ、ユートピアだと。」
議場はざわめいた。大統領その人を除き、その真意を推し量れた者はいなかった。
「諸君、つまりこういうことだ。彼が望んでいるのは、現状維持そのものだ。そうだろう?」
「事物の表層を見れば、そうなりましょう。しかし、本質を覗けば、この世界にはノイズが混じっています。それを消して頂きたい。」
「なるほど。おっしゃることは理解しました。」「私もだ。」「ああ。」
大統領とV.I.の言葉は、大臣を納得させるに足るものだったようであった。大臣達は、次々と理解を示した。
「それで、諸君は、これを受け入れるかね?」
ルーズベルト大統領は、わざとらしく問いかけた。最早、答えなど聞くまでもないのだ。
「もちろんですとも。」
彼らが、こんな好条件を捨てるはずはなかった。




