ある男の記憶IV
サブストーリーです。
石井から教えられた場所に、男は迫っていた。
天気は曇天。地上には、当然ながら、人の気配などなかった。ただただ、生ける屍が跋扈する大地が広がっていた。
「大和、何か異常は検知したか?」
男は、大和に問いかけた。一応、ここが教えられた座標であったからだ。
「いえ、マスター。地上には、屍人が蠢くだけですよ」
「そうか」
「ひとまず、行ってみましょう。何かあるかもしれませんよ」
大和にしては珍しく、少し楽しみにしているようだった。
やがて、大和は目標地点上空の到達し、降下していった。
大和は着陸し、男は艦を降りた。
「これは……死体、か」
男の周りには、複数の屍人の死体が転がっていた。しかも、直近で死んだようだった。保存状態は非常に良かった。
「これに一体何があるって言うんだ?」
「まあ、調べてみるか」
男は、死体を調べ始めた。まず、男はあることに気づいた。
「撃ち殺されているな」
転がる死体は、皆、銃で撃たれたものだった。どうも、この場所では軍によるものか、武装集団のものかはわからないが、大規模な戦闘が発生したようであった。
そして、男は発見した。折り重なった2つの死体を。そして、……
「これを、見せたかった、と?」
その死に顔は、男には、満足しているように見えた。
「こんなものを見たら、屍人なんか憎んでられるかよ」
そう言った後、男は、嘲笑を浮かべながら、大和に戻っていった。
「どうでした?」
大和は問いかけた。まだまだ気遣いを知らないAIは、男の様子に気づかなかったようだ。
「まあ、見たくないものを、見たよ」
「そうですか」
「ああ。」
大和は、早速離陸した。そして大和と男は、その場を去っていくのだった。




