流星作戦始動
今回は、なんと、挿し絵入りです。(挿し絵という表現しか存在しないから、この表現を用いるが、絵とは言ってない)
崩壊暦214年7月03日07:03
さて、セントポールの占領は完了し、連合艦隊は五大湖要塞へと侵攻しようとしている。
連合艦隊は、セントポールに集結し、出撃の時を待っているのだ。そしてハワイの時のように、東郷大将は、全艦に訓示する。
「全艦に告ぐ、これより、連合艦隊は、アメリカ連邦五大湖要塞攻略作戦、『流星作戦』を開始する。
作戦は、流星1号から3号までの三段階に分けられる。
流星1号作戦においては、連合艦隊は、スペリオル湖上要塞を攻撃、無力化し、そのままスペシガンを占領する。
また、この段階で、伊藤少将の第二艦隊がミルウォーキーを占領し、ミシガン湖の敵戦力を拘束する。
流星2号作戦においては、スペシガンを橋頭堡とし、ヒューロン湖要塞を攻略し、その後背のデトロイトを制圧する。
流星3号作戦においては、デトロイトよりエリー湖、オンタリオ湖要塞を攻略し、最後にミシガン湖を攻略する。
以上をもって、五大湖を完全に制圧し、ワシントンの攻略へと、新たな一歩を刻むのだ。
しかし、五大湖には、米軍の戦力の大半が集中するばかりか、無数の高射砲が配備されている。その攻略は、想像を絶するほどに困難となるであろう。
当然ながら、広大な五大湖を制圧するには、長期戦となるのは避け得ず、諸君のなかには生きて帰らぬものもいるだろう。
だが、ここでの勝利は、我々の後の世代、数億の民たちの幸福に繋がるのだ。
帝国の未来の為に、諸君には、全てを賭して戦ってもらいたい。
米軍を撃滅してやるのだ!
帝国万歳!
天皇陛下万歳!」
在りし日と同じく、皆々は熱気に駆られた。ここから流星作戦が始まるのだ。
「ふう、終わった」
演説を終えた東郷大将は、戦艦大和でため息をつく。
「私は、こういう仕事は苦手なんだ」
「いえいえ、閣下。名スピーチでしたよ」
近衛大佐は東郷大将に軽口をたたく。やはり、近衛大佐はどんな時でも揺るがない男だ。
「そうか。ならいいんだが」
艦内に微妙な沈黙が訪れた。しかし、東郷大将はすぐに沈黙に終止符を打つ。
「よし。これより、流星作戦を開始する。全艦、離陸せよ。大和も離陸だ」
東郷大将は告げた。そして。連合艦隊は、轟音をとどろかせながら、次々と空へと飛び立つ。
ロッキー山脈で損傷した艦も既に修復済みである。
その戦力は、空母6隻、戦艦18隻、巡洋艦36隻、駆逐艦48隻と、帝国最大の大艦隊である。
「いよいよ、敵の最大の牙城に攻め入る時ですね」
「そうだな。これを制すれば、戦争に終わりが見えてくる」
「ひとまずは、スペリオル湖からですね」
まず、彼らが目指すのは、五大湖でもっとも北東に位置するスペリオル湖である。
スペリオル湖には、多数の砲台が浮かべられ、その領域内なら、敵に自由に砲火を浴びせられる。更には、簡易的な空港も浮かんでおり、飛行戦艦は何処からでも出撃できる。
まさに、湖上要塞である。
「一番の脅威は敵艦隊ですね」
「ああ、対空砲を沈めるのは容易だろう。だが、艦隊はそうはいかないな。常に、快勝せねばならんしな」
スペリオル湖にはチャールズ元帥率いる大艦隊が待ち受ける。それは大きな脅威だが、ここが敵のホームグラウンドである以上、帝国軍は、無闇に兵力を失う訳にはいかない。敵の方が圧倒的に補給において有利だからである。
「スペリオル湖に到着しました」
やがて、連合艦隊はスペリオル湖の端にたどり着いた。ただただ青い水が地平の果てまで広がっている。五大湖はどれも巨大な湖だ。その為、湖にたどり着いても、敵の姿はまったく見えない。
「よし、横陣をとれ」
東郷大将の号令で、連合艦隊は、敵がいる方向に対し、ほぼ直角に艦隊を並べる横陣をとる。
そして、そのままの陣形で、東に進撃するのだ。この時代、飛行艦は横向きに進める。それは、もはや水など関係なくなり、スクリューで押すのではなく、ヘリコプターのように全方向に進めるように進化したからだ。
そんな奇妙な陣形はなおも進んでいく。




