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終末後記  作者: Takahiro
1-3_五大湖攻防戦
52/720

逃避行

今回から、第三章スタートです。因みに、第三章は、ストーリー全体からすると、序盤の中盤に差し掛かるあたりです。

あと、恒例の二本立てもします。

崩壊暦214年6月4日15:27


「物資の搬出は完了しました」


「よし、全軍、撤退だ」


チャールズ元帥は、全軍に東への撤退を指示する。


ここは、アメリカ連邦北部の都市、ウィニペグ。因みに、旧カナダ領域の都市ではもっとも南に位置する。


「閣下、鉄道の破壊もお忘れなく」


「わかっている。ハーバー中将、手配を」


「承知しました」


鉄道の破壊など、市民を守ることを至上とするチャールズ元帥では、絶対にしないことだ。


そして、それを要求するのは、如何にも正義面をしている、政府派遣のニミッツ大将である。


「全ては、連邦の為です」


「そうだな…」


ニミッツ大将は、徹底した国家主義者であるのだ。そして、日本軍の行動を遅らせる為、インフラの破壊も辞さない男なのだ。


やがて、米艦隊は東の都市、セントポールへと去っていく。


「また、戦わずして敗走か」


ロッキー山脈の陥落以降、米軍はひたすら東に撤退し続けている。艦隊の被害はほぼゼロだが、当然ながら多数の都市を失っている。


現在、日本軍はロッキー山脈以西全域と、五大湖以西の高緯度地域を掌握しており、右に倒した「L」のような形の地域がその支配下にある。


そして、ウィニペグを撤退すれば、五大湖以西に残るのは、セントポールただひとつである。


そして政府は、五大湖に全戦力を集結し、決戦を行う予定のようだ。


チャールズ元帥も、一応は合意できる策だが、市民をひたすら見捨てているという事実は、彼を迷わせている。


「閣下、五大湖での決戦はもはや決定事項です。それも、ルーズベルト大統領直々の策であることを、お忘れなく」


この男、ニミッツ大将こそが、政府のメッセンジャーである。


それだけなら問題はないが、彼は度々、越権に近い行為をしてくるのだ。


チャールズ元帥がニミッツ大将の意見を無視すると、ルーズベルト大統領に文句を言われる訳で、チャールズ元帥は彼に従わざるを得ない。


文民統制を維持するのは、チャールズ元帥のポリシーのひとつでもある以上、名目では正当な大統領の命令を、無視はできないのだ。


「次は、セントポールも棄てるのか」


「もちろんです。戦略物資を五大湖に運び込めば、セントポールは用なしです。それに、日本軍を撃滅さえすれば、全ての都市を奪回するのは容易ではありませんか」


「まあ、そうだが」


確かに、日本軍は、南の旧メキシコ領域はほぼ無視し、ひたすらに五大湖目指して侵攻してきている。


敵の狙いが五大湖要塞の攻略と、ワシントン制圧であるのは間違いない。


その戦力は、五大湖に集まるだろう。それを殲滅すれば、戦局は一気にアメリカ連邦に傾く。


「閣下、私も、ニミッツ大将に賛成致します。最も少ない犠牲で勝利するには、これが最善でしょう」


「ハーバー中将も、そう言うのか」


チャールズ元帥は、残念そうである。


「……ご安心下さい、閣下。私は、決して民衆を見捨てはしません。……」


ハーバー中将は、チャールズ元帥以外には聞こえない声で話かける。チャールズ元帥は、小さく頷いた。


「何だね、ハーバー中将」


ニミッツ大将は、不思議に思ったのか、何を言ったか尋ねてくる。


「いえ、独り言です。お気になさらず」


「そう、か。ならよい」


米艦隊は、屍人の上を、ただただ進んでいく。既に、セントポールまでの行程の半分を切った。


もっとも、それもすぐに棄てることになるだろうが。


「はあ、もうじき、日本軍がウィニペグにたどり着くかな」


チャールズ元帥は、怒りと悲壮の混じった声で呟いた。



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