ホワイトハウスにてⅢ
サブストーリーです。
時は、ロッキー山脈陥落の直後である。
「大統領、ロッキー山脈要塞が落ちたのですよ!どうするおつもりですか!?」
会議は、早速大統領への問責から始まった。
「まあまあ、落ち着きたまえ。確かに、我らが軍は大敗はした。だが、そんなものは、偉大なアメリカ軍の一部に過ぎないだろう。まだまだ、我々は余力を残している。心配には及ばんよ」
ロッキー山脈という、アメリカの二大要塞のひとつを失っても、ルーズベルト大統領は余裕綽々であった。
「しかし、これは、日本軍に重要な拠点を与えてしまうことになりますぞ。この大陸から日本軍を追い出すのが困難になります」
「別段、日本軍を追い払う必要はないだろう。ロッキー山脈より東の日本艦隊を殲滅すれば、敵も講話にのるのではないか?」
「では、やはり、五大湖の『アルテミス』を使いますか?」
国防大臣は、次の切り札の投入を提案した。
「ああ。あれならば、日本艦隊など敵ではないだろう?」
「それは、五大湖以西の都市は要らない、ということでしょうか?」
「そうだ。それらの都市は、戦略物資を五大湖に輸送し次第、放棄する。それと、艦隊も損害がでないようにな」
「全ては、アメリカの勝利の為、でありますな」
政府は、国民よりも国家を優先した。
「ああ。正確には、ワシントンの為だがな」
「まさに、その通りですな」
そして彼らは、内心で民衆を嗤うのだった。




