表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後記  作者: Takahiro
2-5_バトル・オブ・ブリテン
438/720

大本営Ⅳ

サブストーリーです。

その日、帝国に不可解な報せがもたらされた。


「ソビエト共和国が主力艦隊を西方に引き抜いたという。これは本当か?」


天皇は問うた。


このつい先刻にもたらせた報せ。それは、バイカル湖に控えていたソビエト共和国軍のうち、2個艦隊が突如として西方に向かったというのものだった。


これが南方なら理解出来なくもない。やもすれば、アラブ連合制圧を試みていると解釈も出来る。


しかし、今回は西()()だ。まさにヨーロッパ国がある方向である。今ヨーロッパ国に攻め入る理由はない筈なのだが。


「全ての情報を統合して、確実と思われます」


山本中将は答えた。帝国が誇る全ての諜報網がこれを証明していたのだ。最早これは紛れもない事実に他ならないのである。


「ならば、どうするつもりだ?」


選択肢は二つに一つ。


この期にソビエト共和国への全面攻勢を仕掛けるか、或いはアメリカ連邦へ兵を増派するか、であろう。


「ここは、アメリカ連邦に圧力をかけるべきであります。ソビエト共和国を落とすには、時間がかかります。しかし、アメリカ連邦を攻撃すれば、即座にアメリカ連邦は欧州より軍を退きましょう」


陸軍大臣は言った。そしてそれは大本営の総意に等しかった。


欧州合衆国を救う方が、対ソ戦の前線を少々進めるより余程価値がある。どう考えても費用対効果が高いのは前者であった。


「皆様、異論はありますか?」


沈黙。これが最善だというのは、議論の隙も残さぬ絶対の解であったのだ。


「天皇陛下、宜しいでしょうか?」


「良い」


「はっ」


大本営が決定に要した時間は僅か5分であった。


その後、鈴木大将にもこの旨が伝えられ、最終的には2個艦隊を対米戦に投入することとされた。


鈴木大将は相当嫌がったが、最後には「優秀な副官がおります故」と承諾した。


これは同時に、対米戦で先に決着をつけ、後にソビエト共和国を打倒するという方向転換を意味した。少なくとも、米ソを同時に相手取るという考えは、いつの間にか消えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ