表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後記  作者: Takahiro
2-4_第二次ロッキー山脈攻防戦
401/720

リヤドにてⅤ

サブストーリーです。

その日、イラクのレザー王はイランのムハンマド伯爵に呼び寄せられた。


「それで?本日の要件は何でしょうか?」


レザー王は問う。


あくまで王は王。伯爵よりの数段上の存在だ。だが、国家元首同士という慣例上、命令はせず頼むというポーズを取るのがアラブ連合の常だ。


「陛下もそう焦りなさるな」


ムハンマド伯爵は、最近罷免されたサウジの王を除けば、アラブ連合で最も老齢の指導者であり。だが、しわがれた顔から覗く眼光は鋭く、とても油断できるものではない。


「陛下、ウマル師やサッダーム首相を見て、何か感じませんかな?」


「何かとは?何ですか?」


「おや、そうでしたか。お気づきになられていない」


ムハンマド伯爵はわざとらしく驚いてみせた。


「何を?」


「あの二人、貴族の廃止を企んでいると、思いませんかな?」


「な、何?」


地下での話ではあるが、サッダーム首相もウマル師も、共に正義派の仲間だった筈だ。それが裏切るなど、あり得るのか。


「サウジ王を追い落とすというのは第一歩。ファイサル侯爵も、いずれは蹴落とすつもりでしょうな」


「それで彼らに何の得があるというのですか?」


「得?そんなもの、権力を握れるからに決まっておりましょう。王族の排除というのはあくまで口実。それを使って、一人づつ政敵を排除し、最後には独裁をしようとしている。それが彼らの本音ではないでしょうかな」


ムハンマド伯爵は不気味に微笑んだ。そして、レザー王としても笑えない話だ。


サウード王の時は、彼の不正をでっち上げ、大義を確保した。今回は、イスラム共和制の樹立でも大義にするのだろうか。時代逆行も甚だしいが、言いがかりには十分。


「今の話は聞かなかったことにしておこう」


「陛下がそう言われるなら、私に言うことはありません」


「そうか。さようなら」


「ええ。またお会いしましょうな」


結局レザー王はすぐに席を立った。しかし、彼の中には確実に、シリアとアフガニスタンへの不信が芽生えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ